UIデザインと概念モデル

上海・杭州のキャッシュレス事情

中国のキャッシュレス事情を垣間見に上海・杭州へ行ってきました。旅行の思い出も兼ねて見てきたこと感じたことをレポートしたいと思います。

旅前にやったこと

銀聯カードを作った
中国ではVisaやMastercardなど国際ブランドのクレカでも使えない店があります。そこで、銀聯カードという中国で利用できるクレカを作っておきました。ANAの提携カードとして日本でも作ることができます。

ANA銀聯カード

WeChat Payに登録・チャージした
中国の都市部ではAlipayやWeChat Payなどスマホ決済が主流ですので、それを体験するべくサービスへの登録とチャージを行いました。以前は中国の銀行口座や身分証で本人確認が必要でしたが、日本人でもクレジットカードによる本人確認が(最近は)出来ます。ただし、登録したクレジットカードではチャージ出来ないので、空港や都市部に配置されている外貨両替端末Pocket Changeにより日本円でチャージを行いました。ちょくちょくメンテをしており、わざわざ行ってもチャージできないことがあるので、事前に公式Twitterでメンテ情報(@PocketChangeOps)を確認しておくと良いと思います。
また、中国サービスへの登録方法など詳しくは以下サイトが非常に参考になりました。私もこの記事を参考にWeChat Payの登録・チャージを行いました。

中華ライフハック

Mobikeに登録・チャージした
中国の都市部や観光地ではMobikeやofoなどスマホを使った自転車のキャッシュレスレンタルができます。好きな時に近くの駐輪場にある自転車をスマホでレンタルして、目的地に着いたら近くの駐輪場にロックしてそのまま立ち去れるサービスです。日本では使える場所は限られていますが、アプリは日本語にローカライズされており、クレジットカードによりチャージすることができます。

VPN対応のモバイルWi-Fiをレンタルした
中国でネットを不自由なく使うにはVPNを構築できる専用のWi-Fiをレンタルする必要があります。中国はグレートファイアウォールと呼ばれるネット規制が敷かれており、TwitterやGoogleにアクセスすることが出来ません。それを合法的に利用するために専用のモバイルWi-Fiをレンタルしておく必要があります。私はワイホーをレンタルしていきました。レンタル日数やデータ使用量によっても変わりますが、私の条件で調べた中では一番安く、返却も空港の返却BOXに投げ入れるだけなので楽です。

現地にて

ショッピングモール・スーパー
Alipayを提供しているアリババグループのお膝元である杭州のショッピングモールでは、全てがAlipayか銀聯による決済しか対応していませんでした。Alipayにはチャージしていかなかったので、商品の購入は店員さんが自分のAlipayアカウントで代わりに購入してくれ、現金を店員さんに渡すということをしました。さすがに現金やクレカ決済が不可だと観光客には厳しい。。

またスーパーではタッチパネル端末によるキャッシュレスセルフレジが導入されていました。商品のバーコードを自分で端末にスキャンし、全てスキャンし終わったら自分のスマホのQRコードを商品と同じように端末にスキャンさせると決済が完了するというものです。数分レジ前で観察していましたが、スタッフが常時サポートしており、何人か操作方法を教えてもらっていたので、まだ当たり前の感じではないのかも。

観光地
日本で言う京都みたいな古き良き観光地のお土産屋さんでも、AlipayやWeChat Payによる決済に対応していました。商品にQRコードが貼られており、それを読み込むとスマホに商品情報や決済ボタンが表示されます。また、商品を店員さんに渡して「WeChat Payで」と言ってもお買い物が出来ます。自分のスマホに表示されるQRコードをレジのスキャナで読み込んでもらい、アプリ側で認証すると決済完了になります。
この自分で商品のQRコードを読み込むか、自分のQRコードをレジのスキャナで読み込んでもらうかは、商品が特定のものであれば自分が読み込む側、複数商品の購入など価格が変動する場合は自分が読み込まれる側になるケースが多いように感じました。これは店側にスキャン端末を購入する費用問題などもあり一概に言えないと思いますが。。

鉄道
地下鉄では日本のSuicaのように改札にスマホをかざして通れるようですが、日本で採用されている通信速度の優れたFeliCaでは無いようです。また、新幹線の切符の購入にはAlipayやWeChat Payが使えますが改札は切符でした。鉄道に関しては特に日本よりキャッシュレスが進んでいるという印象はありませんでした。

シェアサイクル
日本で使ったことがなかったので中国でMobikeを使えて感動しました。自転車に貼り付けてあるQRをスマホで読み込むと通信が走り、自転車のロックが外れます。そのまま目的地まで走って自転車にロックを掛けるとスマホ側は利用完了になり、ライド履歴として利用時間や距離、消費カロリーや地図情報が表示されます。日本で登録したアプリで現地の自転車のロックが外れた瞬間はキャッシュレスというか、IoTとして感動しました。
上海市内ではシェアサイクルサービスの自転車がそこら中に置いてあり、時間帯問わず乗っている人をよく見かけました。

出店・テイクアウト
これは個人的な感想ですが、出店やテイクアウト商品の購入時には現金を持っていてもモバイル決済やカード決済をしていました。というのも現金が日本以上に汚い。折れ曲がったりシミがついたものが多いので、決済の後に食べ物を持つと思うとキャッシュレスに無意識になっていました。ここら辺の代替手段(現金)の負の要素も、キャッシュレス社会の浸透には少なからず起因していそうです。

その他気づいたこと
街中QRがとにかく多い。ここまでQRが流行っているのは、QRが先なのかモバイル決済の流行が先なのか分かりませんが、決済以外にも商品説明目的でのQRが多いなぁと言う印象でした。
あと、日本でも決済サービスが沢山誕生していますが、中国では決済サービスのロゴを街中の店先で確認することができ、それだけでも認知効果はすごいんじゃないかと想像しました。中国ではAlipay、WeChat Payは決済において当たり前のサービスになっていますが、決済の覇権争いにこれからなる日本では、店先という誰もが生活の中で触れる箇所にロゴが表示されることが、マーケティング上も重要なんだなぁと改めて思いました。


一方で、覇権争いが顕著化すると上海のディズニーランドや杭州のショッピングモールのようにAlipayしか使えずWeChat Payが使えなかったりと、ユーザが決済出来ないという体験にも繋がるので、そこは今後の日本では中国以上にユーザの実生活や業界の浸透における問題になりそうと感じました。

まとめ

ここまでキャッシュレスと書いてきた一方で、上海でも地元民が経営している個人商店ではカードすら対応していない店があったり、観光客が現金を使うためか周りでも現金決済がされている光景を見て、想像していたよりもキャッシュレス社会という印象は強く持ちませんでした。日本でキャッシュレス生活をしている一部の人が中国に行ってそれ以上のものがあるとは思えなかったです。その一部の人に止まっている日本の現状が、面的に広がっているのが中国という印象でした。
ただ、確実に利便性とそれによる周辺サービスも含めた経済効果はキャッシュレスの方が高いと実感できたので、早く日本でもキャッシュレスの面的な展開、それによる周辺サービスが新規に生まれる環境になれば良いなと思った旅でした。

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