No.073 ミステリクイズ


問題文

山奥のある別荘で死体が発見された。

被害者はその別荘の主人で、腹部をナイフで刺されたことによる出血多量が死因となった。血の飛び散り様から、犯行現場は別荘で間違いない

警察は捜査を開始し、さっそく最有力容疑者の奥島 輝(31)が浮かび上がった。

漫画家の奥島は被害者に多額の借金をしており、かつ事件当日は自宅の書斎で一人で執筆していたとの証言でアリバイもない。

警察は奥島への本格的な捜査を開始した。

だが数日後、奥島にアリバイが証明された。

奥島の自宅の書斎から盗撮用のカメラが発見されたのだ。

カメラを仕掛けたのは、かつてのアシスタントの寺濱だった。

1か月前、寺濱は奥島のパワハラが原因でアシスタントを辞めていた。

盗撮用のカメラは奥島のパワハラを録画するために設置したもので、回収するのを忘れていたとのことだった。

書斎の盗撮カメラの映像を確認すると、奥島は事件当日ほとんど書斎にいた。書斎にはほとんどモノがなく、窓には遮光カーテンがかかっていた。

奥島が書斎からいなくなったのは数回だったが、いずれも20分ほどで戻ってきた。

奥島の自宅から犯行現場まで車で片道40分ほどかかる。犯行は不可能である。

(刑事A)「奥島はシロ、これで捜査は振り出しですね」
(刑事B)「う~ん」
(刑事A)「映像にどこか気になる点がありましたか、先輩?」
(刑事B)「いや、大したことじゃないんだ。ただこの映像、ところどころほんの僅かだがブレる瞬間があるんだ。ほら、こことか」
(刑事A)「ほんとだ、気が付きませんでした。カメラの性能が悪いんですかね?いや、地震か?」
(刑事B)「いいや、どちらも違う。だとすると…可能性だが調べてみる価値がある」

結局、その後の捜査で奥島が捕まった。

さて、奥島のアリバイトリックはどのようなものだったのでしょうか?








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ヒント

映像がブレるというのは、振動で設置したカメラが揺れたということです。
つまり、ところどころで部屋が揺れていたことを意味します。
これはどういうことでしょうか?
カメラが映していたのは本当に書斎なのでしょうか?



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解説

奥島は書斎と全く同じ内装のトレーラーハウスを作りました。

トレーラーハウス

事件当日、奥島はトレーラーハウスで作業します。

次に協力者にトレーラーハウスを運転してもらい、犯行現場の別荘に行きます。

到着後、奥島は被害者をナイフで刺し、すぐにトレーラーハウスに戻り作業をします。

こうすることで奥島は犯行時間には自宅の書斎におり、犯行は不可能だったというアリバイを作ったのでした。

ではトレーラーハウスを運転した協力者は誰か?

元アシスタントの寺濱です。

寺濱と奥島との対立は嘘で、隠しカメラを設置する口実です。

書斎にモノが少なかったのは移動中の揺れをバレにくくするため、遮光カーテンを閉めていたのは日光の陰によって書斎ではないと発覚するのを避けるためでした。



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