狒々のうた

彼女が泳ぐ海にデカイ恐竜の群れ

きっとおまえは山の狒々

極楽の枝先で葉が

ガシガシと揺れる

きっと誰のせいでもなく

おまえは自分で狂ったに違いない

彼女は陸へと逃げ、さらに過酷な世界へ

考え過ぎるのはよくないと言い

おまえはそれも一つの考えだと半年後に

気づく

おまえのことなんか誰も気にしちゃいない

好きにしろ


彼女も

彼女の愛したたくさんのゴリラたちも

愛し過ぎて疲れ

おまえは愛などどうでもよく

とにかく乳房を煙草の葉みたく

噛みしだく

精神の離脱してしまったゴリラたちは

涎に塗れた林檎を齧り

怯えながら仲間や小さな者の

肉を喰らい

いつも下痢してる

一方でおまえは火山のごとく堂々と弱音を吐く

海から笑気ガスが立ち昇ったみたいに

笑いが起きる

彼らは足元でおまえの目玉を抉るために

口を開けている

おまえはそこに愛の小便を垂れる

彼女の幽霊が

炎の神が

お怒りだそうだ

くだらねえ

おまえにとって

その行為こそ神

おまえは彼女の舌が伸びるのを

待つのみ

遊ぶことを忘れた子どもになった気分で

彼女は得体の知れないおまえに

石を投げる

彼女もまたおまえなんか気にしちゃいなかった

彼らはまたろくでもない戯言に引っ掛かり

海へ連れてかれる

すべての演目が終わると

おまえはアクビをして

また木から木へ

女たちが楽なおまえを崇める

そしてすべて終わって

そうやって詩が回りだす

だからしょげるな

きっとおまえは山の狒々






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