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次代を創る「スマートビル・スマートシティ」:その26「12.3.一口 コラム 「デジタル・ディスラプション」」

12.3.   一口 コラム 「デジタル・ディスラプション」

デジタル・ディスラプションとは、「創造」と「破壊」だ。デジタル革命により、産業転換を図り、新たな産業を生み出すことだ。

富士フィルムは、2000年当時、売上の6割、利益の7割を占めていた写真フィルムビジネスが、デジタルカメラの普及により、わずか4、5年でという短期間で市場そのものがなくなる事態に直面した。米コダックがあくまでカメラ事業にこだわったのに対し、富士フィルムはフィルム事業をあきらめ、IT事業を核に、医薬、化学分野等へビジネス転換することで、産業転換を図ったことは、みなさんも良くご存知の事例だ。

大型コンピューターの製造・販売が主流であったIBMでも、ハードウエアビジネスを捨て、ソフトウェア市場であるAI(人工知能)やクラウドビジネスへとコアビジネスを大きく変えて、成功している。これもデジタル・ディスラプションのひとつだ。

デジタル・ディスラプション企業として有名な事例は、自動車配車アプリを運営する「ウーバー」だ。ウーバーの成功要因は、次のとおりだ。

携帯端末を使って、行きたい場所を入力するだけの簡単な操作で、車が呼べて、それも黒塗りのグレードが高い車が迎えに来る仕組み。支払いもアプリ上で決済され、チップや現金のやり取りは一切なし、タクシーよりも安い。これが全米だけでなく、世界70カ国、450都市以上で同じシステムで使える。当然、シェアリングエコノミーに対するミレニアル世代の抵抗のなさも大きい。更に、混雑緩和、自動車事故や公害の削減など社会的課題の解決に、ウーバー自身がコミットしている点も、多くの人が共感するところだ。タクシーの使い勝手の悪さ(「領収書を発行しない」、「タクシーメーターを倒さず、法外な料金を請求する」、「わざと遠回りして料金を請求する」等)をデジタル化により、業界に変革を促している。

彼らも言っているが、ユーザーが自社の製品やサービスをどう使い、どこに不満を感じているのか、現場を良く観察することが第一で、単純なデジタル化では、ディスラプションは生まれない。

アマゾンでさえ、デジタル化ビジネスを展開するにあたって、現場を見て、触って、感じて、はじめてデジタル化すべき領域を見出しているそうだ。

経済学者シュンペーターは、「経済発展の理論」において、日常の慣行という軌道をはずれるためには、慣行を良く知った上で、既存の価値を破壊して新しい価値を創造していく「創造的破壊(イノベーション)」が経済成長に必要不可欠である、と指摘している。

コマツは、建設機械をネットでつなぎ工事現場をデジタル化しているが、究極の目標は「無人の工事現場の実現」だ。これまでの建設現場を大きく変えようとするデジタル・ディスラプションだ。

建設産業でも、設計や施工の現行の建設プロセスを前提に「デジタル化」が進められているが、伝統的な建設プロセスそのものをデジタル・ディラプションするような変革こそが、次代の建設産業に求められているのではないか。


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