
次代を創る「スマートビル・スマートシティ」:その27「12.4.一口 コラム 「日本に必要なIT投資」(2017年9月6日)」
12.4. 一口 コラム 「日本に必要なIT投資」(2017年9月6日)
夏休みで海外に行かれた方も多いと思う。
海外でのIT環境の充実度に驚いたので、それについて考えたい。
デンマークのような小国でも、屋台であれ、スーパーであれ、すべての場所において、カード決済できる環境が整っている。1週間いたが、現金を使う場面はほとんどない。街のコンビニでも、屋台でもカード決済できるし、動物園の飲料自販機でさえ、カード決済できる。結果、空港で両替した現金はそのまま残ることとなった。更に、デンマークの無料Wi-Fiの普及のすごさだ。あらゆる場所、例えば公園でも、レストランでも、電車も、バスもWi-Fiの利用が可能だ。コペンハーゲンのバス停でも、何分後にどこ行きのバスが来るかだけでなく、乗り換えバスの待ち時間も教えてくれるデジタルサイネージが、いたるところのバス停についている。
タイも一般向けのITが進んだ国のひとつだ。屋台の支払いも「ピッ」でおしまい。現金取引はなし。日本でもラインを使っているユーザーは多いが、世界的に見れば、たった1割。残りの多くはアジアがほとんど。タイ人のラインユーザーは人口の6割にも達する。ラインが金融決裁を日本でなくタイで始めるのも納得できるところだ。タイ人の買い物はフェイスブックで、具体的な商品の問い合わせはメッセンジャーというSNSを使って、対話しながら買い物が進む仕組みだ。Amazonでないところがおもしろい。それだけSNS好きのタイなのかもしれない。
アメリカでも大きな公園や図書館等で自由にWi-Fi使えるし、ロンドンでもオリンピックを契機に、どこでも使える携帯キャリアWi-Fiが充実している。
一方の日本。観光庁調べによれば、海外から来日した人の最も困ったことの第一位が、「無料公衆無線LAN環境の少なさ」。実に3割以上の人が困ったと言っている。言葉の障害以上のクレームだ。これを受け、観光庁も総務省もWi-Fiの普及に向けて取組んでいるが、海外旅行者の求めは無料Wi-Fiの開放だ。日本のWi-Fiが普及しないのは、安全性の確保が優先されるからだ。確かに、無料Wi-FiのほとんどはセキュリティなしのWi-Fiが多い。しかし、どこでもアクセスできる利便性は高い。
これ以外にも、キャッシュレスの未普及、自動運転の実用化、ウーバーの利用など、さまざまな面で海外よりも遅れてきているのが事実だ。光回線の普及率では世界1位かもしれないが、遅れたIT先進国になりつつあるのが現実だ。
最も大きな問題は、日本が規制の多い社会になっていることだ。早く規制改革を進めることが最も重要な経済対策であり、イノベーション社会を創造する契機となるはずだ。
次世代無線サービス、いわゆる5Gをオリンピックまでに整備する予定としているが、それと同時に、どこでも誰でも、いつでも繋がる無線サービスを全国的に提供してほしいものだ。オリンピックに向けて更に施設面のハード整備を進めることは当然だが、世界の常識を超えるIT先進国日本の実力を世界に見せるためにも、もっと無線環境やITへのインフラ投資も増加、強化すべきではないか。

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