見出し画像

次代を創る「スマートビル・スマートシティ」:その9「5.2 物流ロボット」


 新型コロナウイルスの影響により世界各地で外出が規制される中、無人配送ロボットは人々に生活物資を届け活躍している。そのリーディング企業となるのが、米スタートアップ企業のStarship Technologies社だ。電動無人配送ロボットは2020年6月現在までに10万回以上の配送をおこなっており、欧米の各都市で既に「普通のサービス」として認識され始めている。
 スターシップロボットのサービスは2018年ミルトンケインズで始まって以来、着実にサービスを拡大させてきた。米国ではアリゾナ州テンペ、ワシントンD.C.、カリフォルニア州アーバイン、カリフォルニア州マウンテンビュー、テキサス州フリスコなどでもサービスを開始しており、ミルトンケインズにおいてもサービス地域を拡大させている。
 大学での無人配送サービスについても強化しており、2021年の夏の終わりまでに100の大学に拡大する計画を発表している。
・大型ビル内は私有地であり、道路交通法や道路運送法の適用外。安全面を考慮した運用が可能であれば即導入できる環境。
・収益面で、ビルに入居する小売店舗のデリバリー利用を促進。小売店舗の売上増と入居者の利便性向上が図られる。結果、ビルの価値向上に繋がるため、ビルオーナーも賃料アップや稼働率アップを図ることが可能。
・森トラストは、搬送ロボット「Relay」を活用したカフェメニューのデリバリー実証実験を2019年1月に実施。
・森ビルは、自動走行宅配ロボット「CarriRo Delivery」を活用したデリバリー実証実験を2017年10月に実施。
・三菱地所は、運搬・警備・清掃を担うロボットの実証実験を2018年9月に実施。
・配送ロボの導入において、導入のし易さという点ではホテルも有利。
・日立製作所と日立ビルシステム、アイホン、フルタイムシステムの4社は2018年9月、配送ロボットを活用したマンション内宅配システム開発における協創を開始したと発表。

5.2.1.     Savioke(米) Relay

2014年に、シリコンバレーのスタートアップであるSaviokeが開発。ホテルの客室に、アメニティ等を届けるロボットとして活用されるケースが多いリース価格は高めに設定されている。


図 29 Savioke(米) Relay

本体サイズ (幅×全長×全高) :510×510×920㎜
重量: 40.8kg
連続稼働時間: 最大4時間
走行速度: 最高2.5km/h
充電時間: 約6時間
自動充電: 〇
行動範囲: 同一NW範囲内
登坂能力: 最大4.8度
段差通過能力: 最大1.3㎝
マップ作成方式: メーカー作業
※1,000ポイント以上の目的地設定可能
最大積載量: 4.5㎏
実装機能: 液晶表示機能、障害物検知、遠隔監視機能、通話機能、自動ドア連動、EV連動、暗証番号による収納部の施錠機能
通信機能: 4G通信、Wi-Fi通信
本体価格(税抜): 50万円(リースのみ)
保守費等(税抜): -

5.2.2. SUZHOU PANGOLIN ROBOT CORP.(中) Amy Waiter

中国のスマートレストランの先駆者であるSUZHOU PANGOLIN ROBOTが開発。中国での配膳ロボット市場シェアは50%以上。国内の業者にヒアリングしたところ、同社の案内ロボットは故障が多いとのこと。同じ可能性大


図 30  SUZHOU PANGOLIN ROBOT CORP.(中) Amy Waiter

本体サイズ (幅×全長×全高) :560×810×1,500㎜
重量: 56㎏
連続稼働時間: 最大10時間
走行速度: 最高2.5km/h
充電時間: 約10時間
自動充電: 〇
行動範囲: 同一NW範囲内
登坂能力: 最大3度
段差通過能力: 最大1.5㎝
マップ作成方式: メーカー作業
最大積載量: 5㎏(2段)
実装機能: タッチパネル式液晶表示機能(8型)、音声機能
通信機能: メーカー作業
本体価格:(税抜) 100万円
保守費等:(税抜) -
備考: 株式会社菊池ハイテクサプライが取り扱い

5.2.3. Starship Technologies(米) Starship

2016年にSkypeの元共同設立者が設立したStarship Technologiesが開発。米国と英国等では商用サービスが2017年に開始。主に公道利用のデリバリーを行う。大学の構内での活用事例も多い。施設内での運用に関する情報がないため、採用検討は難しい。


図 31  Starship Technologies(米) Starship

本体サイズ (幅×全長×全高): 560×690×560㎜
重量: 20kg
連続稼働時間: 不明
走行速度: 最高16km/h(通常6km/h)
充電時間: 不明
自動充電: 不明
行動範囲: 半径3km
登坂能力: 不明
段差通過能力: 不明
マップ作成方式: 不明
最大積載量: 10kg
実装機能: 不明
通信機能: 不明
本体価格(税抜): 不明
保守費等(税抜): 不明

5.2.4. Keenon Robotics(中) PEANUT


配膳ロボットの開発、販売に特化したKeenon Roboticsが開発。「中国飲食企業100強」のうち65%の企業と契約。中国国内では、1~2年のリース方式で、月額5万円程度でサービス提供している。


図 32  Keenon Robotics(中) PEANUT

本体サイズ (幅×全長×全高): 500×500×1,200㎜
重量: 60㎏
連続稼働時間: 最大10時間
走行速度: 最高3.6km/h
充電時間: 約4時間
自動充電: 〇
行動範囲: 同一NW範囲内
登坂能力: 最大5度
段差通過能力: 1㎝程度
マップ作成方式: メーカー作業
※マーカーにより目的地設定可能
最大積載量: 10㎏×3段
実装機能: 液晶表示機能、会話機能、音声機能、タッチ動作機能、EV連動
通信機能: Wi-Fi通信
本体価格:(税抜) 200万円
保守費等:(税抜) -
備考: 有限会社ワイエスティー等が取り扱い

5.2.5. 株式会社ZMP DeliRo


ミニバンからロボットまでの自動運転開発に特化したZMPが開発。宅配サービスを実現するため自律移動可能なロボット、ユーザー用・店舗用アプリ、ITサービスをパッケージ化し提供しているところが特徴。


図 33 株式会社ZMP DeliRo

本体サイズ (幅×全長×全高): 664×962×1,089㎜
重量: 120kg
連続稼働時間: 最大6時間
走行速度: 最高6km
充電時間: 約1時間
自動充電: ×
行動範囲: 同一NW範囲内
登坂能力: 最大8度
段差通過能力: 最大5㎝
マップ作成方式: メーカー作業
※無制限の目的地設定可能
最大積載量: 50kg
実装機能: 音声機能、障害物検知、遠隔監視機能、通話機能、EV連動
通信機能: 4G通信、Wi-Fi通信
本体価格(税抜): 10万円(リースのみ)
保守費等(税抜): -
備考: 1、4、8個の配達ボックスの選択が可能。
同社のRobo-HI(ロボハイ)による遠隔監視システムにより集中管理可能。

5.2.6. Rice Robotics(中) RICE


Rice Roboticsでの開発は完了。2020年2月に、ソフトバンクグループのアスラテック㈱が、国内展開を支援することを発表。現在、両社の間で契約等について協議中。

ここから先は

710字 / 2画像
このマガジンを読むと、最先端のスマートビルやスマートシティの情報を得ることができます

スマートビルの概念は、さらにあらゆる信号がネットワークで結ばれ、個々人の端末ともつながり、ワーカーにとっては、スマートフォンや顔認証の生態…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?