「発症、突破性軟便排出症候群」

最初に御断り致します、多少⁉︎長文です。
且つ多少⁉︎下品な話です。
且つ熊本県八代市の地理を存じ上げない方には多少⁉︎分かり辛い箇所もあります。

それはある日の午前中の出来事でした。

朝から車で坂本町へ向かい、仕事を済ませ戻ってくる時のこと。

この坂本町、八代市中心部より車で20分程南東へ走った、人吉市方面より流れる日本三急流のひとつ、球磨川沿いにございまして、ちょいと支流沿いに行きますと季節には蛍の乱舞も見られる風光明媚なところです。運が良けりゃ鹿とも遭遇します。(ちなみにこの出来事は球磨川豪雨災害前です)

今まで皆さんには隠していたのですが、実は私「突発性軟便排出症候群」という病を患っており、寝起きで牛乳を飲んだ後などによく発症いたします。

この日も起きてすぐのルーティンを終えたのですが、出勤時から「ゴロッ」とした発症の兆候を感じたのです。しかしまぁ大丈夫だろうと楽観的に仕事先に向かった🚐

のですが…

「ゴロッ」「グルッ」としたお腹の痛みが急に来てしまいました💦

この時点で仕事を終え、会社に戻る途中ですでに坂本町市街地を抜けておりました。道は球磨川沿いの国道219号線一本。右手は川、左手はほぼ断崖絶壁で住居が散在するのみ。ヤンキーが夜な夜な集うコンビニもなけりゃ紅茶の美味しい喫茶店なんぞもございません。

1番近いコンビニまで車で飛ばして10分強、しかし今ぐらいの痛みならそこまで我慢は出来る!と判断し、ハンドルを強く握りアクセルを気持ち強めに踏みしめたのでした。

が、時が経つというより秒を刻む度に腹の痛みが増していく。そのとき心にウィスパーが響き渡る🎶
「ヤ、ヤバい💧耐えれるだろうか」「いや耐えれる!お前なら大丈夫」弱気の悪魔と強気の天使が心の中で鬩ぎ合う。

もし私が島村ジョーだったらここで惜しみなく加速装置を使うし、のび太だったら「ドラえも〜ん」と泣き叫ぶところですが、生憎そんな特殊能力も持ち合わせていないし(それに加速対応のスーツを着用しておらず、使用したら衣服が燃えて真っ裸になってしまうという第二の試練が訪れてしまう)、すぐに駆けつけてくれそうな都合の良い同居人もいない…

そうしながら痛みが増していくとふと、悪魔が翼を広げ囁いたのか、ひとつの思いがよぎった。

「野に放つ、か…」

いやそれはプライドが許さない!適した場所(草むら)を探すのも時間がかかるしそこから更に人目につかない所まで行かなきゃならない、リスクが高すぎる‼︎

この時「ゴロッ」「ギュルッ」に加えて私ではない何かが徐々に下腹部を支配し始めており「ギューッ」という号令をかけていた。そう、虚が黒崎一護を乗っ取ろうとしてきたように…

しかし、コンビニまで耐えられる自信がなかった私は、焦りながらもひとつの選択肢を考えていた。この少し先に集落があり、その中にお寺があったのを思い出したのだ!
お寺には大概訪問者用にトイレが外に設置されている筈。そこまでだったらこの痛みに耐えられるかも。ただその寺には一度も訪れたことがなく、場所もはっきりしなかった為それは賭けでもあった。

キングダムでいえば、函谷関を連合軍が攻めていて、門破されかねない過酷な状況下、集落を視界にロックオン。

御堂は集落奥に確認出来たがご丁寧に「○○寺入口」と看板も掲げてあり入ろうとする。するとその集落入口側に祠がありレレレのおばちゃん発見!ここに厠があれば解決じゃん‼︎と車を降りて尋ねてみると

「ここにはなかばい」(※標準語訳 ここにはないですよ)

あぁぁぁぁ、なんて無情な一言!アンルイスも驚愕‼︎

こんなトコ寄らずにさっさとお寺探せばよかった😭と自分を責めたが無いものは無いし仕方ない。

この時点で私に流れるBGMはヨーロッパの「ファイルカウントダウン🎶」であり、切羽詰まった感はジェラード連邦捜査官に追い詰められるキンブル医師のようだったが(お腹の状況は逆に追い「放たれ」ようとしている)、気を取り直し集落の中で高くそびえ立つ御堂を目印にハンドルを切る、そして到着。

寺の目の前が駐車場だったが、焦る余りに白線を跨いで停めてしまう、が、そんなの構わない!山門をくぐり丁寧に砂利が敷き詰められた境内を急いで見回す、左手奥にトイレらしい建物発見!右手に住居があり人気はなかったが借りる旨の挨拶に伺う時間すら惜しむ、走って行きたかったがそうすると私の函谷関が崩れそうになり、さながらオカマの競歩のような歩調でクネクネしながら建物まで一直線に進む。
ドアを開けた、誰もいない、便座が見えた、脱いだ座った

間に合った…

事を終え、さあ仕上げだ!とトイレットペーパーホルダーを見る。

ホルダーカバーがペコンとしている、ロールの膨らみがない。

案の定だった…

オーマイガー‼︎
この世に神も仏もないのか‼︎

いや、仏はいる、お寺だけに、ないのは神(紙)だけだ…

いやいや、そんなシャレを思いついてる場合ではない💢どうにかしないと💦

恥ずかしながら携帯でお寺の番号調べて白い救世主を持ってきてもらおうか⁉︎何か代用品はないか⁉︎あゝどうしよう、と考えながら周りを見渡すと、貯水タンクの上に籠があり、試しに手を伸ばし弄ってみると

あった🎉

そして私は山門から深々とお辞儀をし、無事帰途帰還したのでした。

それから後日、そのお寺の住職とお会いする機会があり、経緯を話し感謝の意を伝えました、が、住職曰く「トイレを壊して、納骨堂建てようと思ってるんだよね」。
「いや、門徒の方々の為にも是非トイレは残した方がいいです!」と私は(私利を心に蔵いつつ)強く進言しました。

それからさらに暫くして、また住職と話す機会がありました。曰く「いやー、あれから君が言ったことが気になってねぇ、結局別のところにトイレを作ることにしたよ」

熊本県八代市坂本町西部の某お寺の門徒の皆様、今境内にトイレがあるのは私のおかげです。

※追記
先日、立派な納骨堂が完成したそうです。トイレもあるそうなので、有事の際も門徒の皆様は安心なさることでしょう🎶

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