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賢い人になれるかな?『ゲーテとの対話』のどこかに意義があるのかも
図書館で借りた上中下の3巻、
『ゲーテとの対話/エッカーマン著山下肇訳/分類B940.2ゲテ』
これは老ゲーテと過ごしたエッカーマンの9年間の毎日じゃあない日記(記録)。やっと読み終えたので読んだメモをする。
「これは私のゲーテである、と。」(まえがき13頁より)
「今こそ自分はよきひとの特別の導きの下にあり、この旅は私のこれからの人生にとって重大な結果をもつだろう、と。」(序章48頁より)
初対面は1823年、ゲーテ74才、エッカーマン31才。
(ちなみに日本は江戸時代の後期、この年にシーボルト来日)
ゲーテ邸には蒐集物がいっぱい。美術館のような博物館のような図書館のような感じ。ゲーテは勤勉、社交的。地位も名誉もある。来客が多く、用事も多い、やりたいことがたくさんあるけど年をとったので誰かに手伝ってもらわないととやりきれない。タイミングよくあらわれたエッカーマン。ゲーテもエッカーマンの人柄が気に入ったから親身に導き、助手として頼りにしたのだろう。
ゲーテの朗読は感動するらしい。「色彩論」この話が出るといつもゲーテはピリピリする。ゲーテの日常にマンネリズムはなさそうだった。「驚嘆」がいっぱいの日記(記録)に驚嘆した。
主観的な性質の人は、僅かばかりの内面をすぐに吐き出してしまって、結局マンネリズムにおちいって自滅してしまう。
ゲーテも諸行無常の響きあり、といいそうだ。
「私は何千年もの歴史を学びながら生きてきたので」と彼はいった、「立像や記念碑の話を聞くと、いつも妙な気がする。功労者のために建てられる彫像のことを考えると心の中に、それが将来軍人の手で倒される破壊される光景がすぐに浮かんできてしょうがないのだ。
年をとると賢くなるのか、そうじゃない。年をとるとボケてくる。ボケは悟りと思って可笑しめばよさそうだ。
われわれは、子供のころは、感覚論者だ。恋をして、恋人に、現実には存在しない性質を見るようになると、理想主義者になる。この恋もぐらつきだして、誠実さというものを疑うようになると、いつのまにやら懐疑主義者になる。そうなると、あとの人生はどうでもよくなる。われわれは、なるがままに任せるようになり、ついにはインドの哲学者たちみたいに、静寂主義になるというわけさ。
われ自身、みんなも一度は通過する心の成長か?どの時代の偉人さえも、と。
ナポレオンの愛読にゲーテの『ヴェルテル』があった。ゲーテは自分にはデモーニッシュはないが、ナポレオンに完全にあったという。デモーニッシュについてゲーテはよく語る。
「デモーニッシュなるものとは」と彼はいった、「悟性や理性では解き明かしえないもののことだ。生来私の性格にはそれはないのだが、私はそれに支配されている。」
ゲーテは自分の作品『ヴェルテル』は胸の内、感情、思想がいっぱい入っているから読みたくない。若さゆえの葛藤、鬱々とした時代があったんだ。
あの本は出版以来たった一回しか読み返していないよ。二度と読んだりしないよう用心している。あれは、まったく業火そのものだ!近づくのが気味悪いね。私は、あれを生み出した病的な状態を追体験するのが恐ろしいのさ。
『ヴェルテル』ゲーテが避けるもの、私は手を出せそうもない。
私はあらゆる暴力的な革命を憎むのだ。そのさい良いものが得られようとしても、それと同じくらい良いものが破壊されてしまうからだよ。
ゲーテは植物を友として薔薇を愛する。自然に芽吹くさま、若葉、つぼみを愛でている。葡萄酒をけっこう飲む。恋する心を忘れていない。ドイツ語の発音まちがえのエピソードで盛り上がる。自身の物忘れを可笑しむ。年だから無理しない。自然の中でのびのびする。毎年、冬至前の数週間を憂鬱な気分で過ごすのがふつうという。そういうふつうなところに人を感じたよ。
エッカーマンはあまり社交的ではない。ゲーテをひたすら敬愛し誠実。ときどき何か煩わしさがある。恋人はいたようだ。特技は弓づくり、鳥類の生態に詳しくて自慢げに話をする。それをゲーテはうんうんそれで?みたいにおおらかに聞いてくれる。落ち込んだ風を気づけばゲーテが葡萄酒をのめのめと注いでくれる。
エッカーマンはいう、「多数の人たちがみなそれぞれの関心をもっているとすれば、ある人が読みすごしてしまう箇所も、他の人はきわめて意義があると受けとり、そして取り上げるだろう。」と。
ゲーテ(1749ー1832)
エッカーマン(1792ー1854)
賢い日々を過ごす、互いに刺戟しあう。平和だなぁ
よきひとから学ぶって、いいなぁ
ではでは