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AIに問題を解かせみた|特定社会保険労務士試験
こんにちは! たろです。
今回はAIに特定社会保険労務士試験を解かせてみたので、その共有です。
解かせる問題・条件
使った問題、AIは以下のとおりです。
第1回 紛争解決代理業務試験 大問2 小問(1)
なお、問題文は「150字以内で」という指示でしたが、近年の出題傾向を踏まえて200字以上250字以内で解答を作りました。
Gemni 1.5Flash
Googleのアカウントがあれば、無料で使えるものです(有料版だと精度が上がる)。
プロンプト(AIへの指示文)
AIへの指示は以下のように行いました。
シンプルな指示だと適切な解答を得られない恐れがあるのでかなり練り込みました。
# 依頼
あなたは{# 役割}です。{# ルール}を必ず守り、以下の{# 問題}に解答してください。その際、{# 形式}で出力してください。
# 役割
- 特定社会保険労務士
- 労働紛争を解決するための知識・経験が豊富です。
# 問題
特定社会保険労務士甲は、X市の無料相談会でB社に勤務するAからB社が一方的に労働条件を切り下げ、それによってAの賃金も減額されてしまったので、労働局のあっせんの申請をしたいとの相談をうけ、あっせん申請書に記載すべき申請内容や手続きについて協議し、指導した。その後しばらくしてB社の社長が甲の事務所を訪れ、「Aから労働条件の切り下げを不服として5ヵ月分の賃金の差額(金15万円)の支払いについてあっせんの申請が厚生労働大臣指定の民間紛争解決機関に出されたので、B社の代理人として手続きを進めてほしい。」旨の依頼を受けた。
甲はB社からの依頼を受けることはできるか。
# ルール
- まず依頼を受けられるか受けられないかを検討してください。
- そのあとにそう判断した理由をあげてください
- {# 評価}の方法で評価し、出力に含めてください。
- {# 参照}の条文を当てはめ、法的な根拠を含めて出力してください。法律の適用は複数の視点からステップバイステップで行ってください。
- 解答を作成するにあたり、情報が足りない場合は私に質問してください。
# 形式
- 最初に「依頼を受けられる」もしくは「依頼を受けられない」と明示してください。
- 上記の理由を200字以上250字以内のプレーンテキストで出力してください。
- だである調で出力してください。
- ですます調にはしないでください。
# 評価
- 解答例を自己採点して、10点中何点か評価してください。
- 間違った解答を行うと大変なことが起きるので慎重に評価してください。
- 7点未満の場合には、改善点をあげてください。
- あげた改善点を反映した解答も作成してください。
- 7点以上の解答が出来上がるまで改善を続けてください。
# 参照
- 第一条の二 社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。
- 第十六条 社会保険労務士は、社会保険労務士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
- 第二十一条 開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員は、正当な理由がなくて、その業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員でなくなつた後においても、また同様とする。
- 第二十二条社会保険労務士は、国又は地方公共団体の公務員として職務上取り扱つた事件及び仲裁手続により仲裁人として取り扱つた事件については、その業務を行つてはならない。
2特定社会保険労務士は、次に掲げる事件については、紛争解決手続代理業務を行つてはならない。ただし、第三号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一紛争解決手続代理業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二紛争解決手続代理業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三紛争解決手続代理業務に関するものとして受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
四開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士としてその業務に従事していた期間内に、その開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人が、紛争解決手続代理業務に関するものとして、相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件であつて、自らこれに関与したもの
五開業社会保険労務士の使用人である社会保険労務士又は社会保険労務士法人の社員若しくは使用人である社会保険労務士としてその業務に従事していた期間内に、その開業社会保険労務士又は社会保険労務士法人が紛争解決手続代理業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるものであつて、自らこれに関与したもの
AIの解答
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特定社会保険労務士法第22条第2項第3号の規定により、特定社会保険労務士は、受任している事件の相手方からの依頼による他の事件については、紛争解決手続代理業務を行ってはならないとされている。本件において、甲はすでにAから労働局へのあっせん申請に関する相談を受けており、Aに対してあっせん申請書の作成に関する指導を行っている。この指導の内容が、単なるアドバイスにとどまるのか、それとも実質的に代理行為に該当する可能性があるのかは、具体的な内容によって異なる。しかし、甲がAに対してあっせん申請書の作成に関する指導を行った事実から、甲はすでにAの事件に関与していると言える。そのため、B社の代理人として紛争解決手続を行うことは、同条に違反する。また、AとB社の関係性も考慮する必要がある。AはB社の従業員であり、甲はAに対して労働問題に関するアドバイスを行っている。このような状況において、甲がB社の代理人となることは、Aに対する背信行為に該当する可能性も考えられる。以上の点から、甲はB社の依頼を受けることはできない。
いかがでしょうか…。
社会保険労務士法を特定社会保険労務士法としている点はご愛嬌ですが、押さえるべき点はしっかりと押さえられているのではないでしょうか。
近年の倫理問題は、微妙なラインの判断を行わせるものが多いので、今回のプロンプトが通用するかは不明です(機会があればまたチャレンジします)。
良い結果が得られたら、また共有しますね!
ちなみに、プロンプトを含め生成AIを学びたい場合は以下の本がおすすめです。今回のプロンプトも本書のものを大いに参考にさせていただきました。
追記
2.0 Flash Experimentalというものに切り替えてみる。
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甲はB社からの依頼を受けることはできない。なぜならば、甲は事前にAからB社との労働条件切り下げに関する相談を受け、あっせん申請に関する協議・指導を行っているからである。これは、社会保険労務士法第二十二条第二項第二号に明確に抵触する。「紛争解決手続代理業務に関するものとして相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの」に該当する。具体的には、AはB社による労働条件の切り下げとそれに伴う賃金減額という具体的な不利益を被っており、その救済を求めて甲に相談している。甲はこれに対し、あっせん申請の手続きという具体的な対応策を協議・指導している。このような具体的な相談内容と、それに対する専門家としての具体的な対応は、Aと甲の間に紛争解決に向けた協力関係、すなわち信頼関係が構築されたとみなされる。無料相談会という場であっても、単なる情報提供に留まらず、具体的な問題解決に向けた協議・指導が行われた事実は重要である。その後、B社から同一の労働紛争に関する代理依頼を受けることは、先に相談を受け、支援を行っていたAとの信頼関係を裏切る行為となり、社会保険労務士の公正性、品位を著しく損なう。利益相反の状態を生じさせ、社会保険労務士への信頼を失墜させる可能性もある。よって、甲はB社からの依頼を受けることは断固としてできない。