第10話 アレがあればお外を歩けるかもね?
昼間、ママとお外に出たけど、ボクは一歩も動けなかったんだ。
公園に行ってそこで土の上に下ろされたけど、肉球がギュッと固まって足が動かなかったんだ。
これまで一度もお外を歩いたことがないんだもん、しょうがないと思わない?
ボクは、何だかカッコ悪いような気がして、ママに動けないのを気づかれないように笑ってごまかそうとした。
だけど、しっぽが垂れてしまって、怖いのがバレちゃったんだよね。
ママは、そのことをママの娘のしょうちゃんに言いつけるんだよ。
ボクを公園に連れて行って土の上に下ろしたけど、固まってしまって、その場から一歩も歩けなかったって。
それを聞いたしょうちゃんは、大きな声で笑うんだよ。
笑いながら、ボクを自分の目の高さまでボクを持ち上げ、
「へー。そうだったの?」とボクに聞いてくるんだ。
だけど、それには答えられないね。
ボクが赤ちゃんだと言わんばかりに、ちょっとバカにしてる感がするんだよね。
人間の赤ちゃんは、生まれてから歩けるまでに1年もかかるんのに、ボクはたった3週間で自分で立ったんだよ。
すごくない?
ボクはしょうちゃんの目を見て、精一杯アピールしたよ。
でも、しょうちゃんは、歩けなかったボクには興味ないみたいで、ボクを床に下ろすと、サッサと自分の部屋に戻っちゃった。
ボクにとって大問題なんだけど…。
人間はさー。
外に出る時はお靴を履くじゃん。
ママも履いてたよね。
でもボクらはお靴は履かないから、踏んでるところの感触が肉球からモロに伝わるんだよね。
公園の土はきもち悪いんだワ。
もともとボクらは野生の動物だよ。
裸足で生活しても何も問題はないんだ。
でも、ボクはペットショップにいて、そこから来たばかりなんだからね。
笑うことはないと思うんだけど!。
でも、しょうちゃんは、部屋に戻る前にママにある提案をしてくれたんだ。
「お母さん。ポッキーにリードを買ってあげたら。」
リード。
それがあればボクも一歩前に踏み出せるかも。
昨日ママとお散歩に出た時に、リードを使って、カッコよく歩いてた仲間がいたっけなあ。
しっぽをピンと立てて。
しっぽを立ててるのは、自信がある証拠だよ。
ボクもあんな風にカッコよく歩いてみたいな。
「そうね。明日、買いに行くかな?」
ママは、聞き耳を立てて注目するボクには目もくれず、さっき注いでたお茶をグイっと飲み干してそう言った。
やったー。
それがあれば、ボクもきっとカッコよくなれるんだ!
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