法律学の勉強①【国語力を鍛える】

皆さん、こんにちは。6月に入りました。そろそろ梅雨ですね。雨は「恵みの雨」と呼ばれています。水不足にあえぐ地域の方や農家の方、植物などにとって、雨は「恵み」になります。しかし、(少なくとも)私にとっては、少し悩みの種です。というのも、雨が降ると、服が濡れる、靴が濡れる、「傘」という荷物が増える、など、雨の日にあまりいい想いをした記憶がなく・・・。雨も、人が生きていくうえで必要なんですけどね・・・。

「法律学の勉強」シリーズの始まり

本記事から、私の専門たる「法学」の勉強のあれこれについて語るシリーズを(不定期ですが)始めます。題して、「法律学の勉強」。インターネットや書籍等、様々な媒体を通して法学の勉強の方法論に関する情報を得ることができます。なので、今更初めても・・・感がありますが、私も「法学の研究者」の端の端にはいる(はずの)人間です。あくまで「私自身の」見解となりますが、読者の方や法学の勉強で困っている方、これから法学の勉強をしようと思う方(法学部新入生、ロースクール入学希望者・新入生、司法試験(予備試験)受験希望者など)に向けて、役立つ情報を届けられたら幸いです。
また、法学を勉強している(しようとしている)方以外の方々にも、何かお役に立てる情報が発信できるよう頑張ります。
(今回は特に、法学を学んでいる方以外にも重要なお話です。)

初回は【国語力】のお話

栄えある第1回目は、【国語力を鍛える】というお話です。「【法律学の勉強】と題しているのにどうして『国語力』?」と思われた方もいるかもしれません。しかし、法学の基本書・論文は基本的に「日本語」で書かれています(講義や研究の際に外国語の文献を用いることがありますが、それは法学部高学年や大学院生以降の話です)。また、法学では、判例を分析・検討・考察することがよくあります。判例も、もちろん日本語です。ということは、法学の知識の修得、判例・論文の分析・検討には【読解力】が必要になります。さらに、大学の定期試験や司法試験(予備試験を含む)、各種資格試験(司法書士試験や行政書士試験など)、公務員試験といった試験や、レポート等の課題、(卒業)論文を執筆する際には【文章力】【作文力】が必須です。
以上のことから、法学を学ぶ上で、まずは【国語力】の向上を図るべきである(と私は考えています)。

【国語力】とは

国語力を向上させる具体的な方法論の前に、【国語力】の定義をしておきます(法学では、「定義」を立てることがかなり重要になりますが、その話は別の機会に)。本記事において、【国語力】とは、「読解力」「文章力(作文力)」とします。この2つの力の前提として、「語彙力」の向上が必要であるということに注意が必要です。

読解力の向上

まずは、読解力の向上について。法学に限らず、高校入試、大学入試における現代文や普段の仕事にもあてはまるのですが、文章を読むときには2つの「目線」が必要です。1つは、「アリ」の目線。もう1つは、「鳥」の目線。前者は、1文ごとに、語彙や文法に従って読み進めることを表します。後者は、段落ごとの関係や文章全体の論理構造(:話の流れ)を読み取ることを表します。

「アリ」の目線(1文単位)

「アリ」の目線で読むうえで必要なことは、【文法】、特に文構造を意識することです。日本語を母語とする皆さんは、日本語の文章を「感覚的」に読む方が大勢いらっしゃいます。しかし、文構造や文法に注意して読むことで、正確に(速く)読むことができます。

私は、特に以下の2点に注意して読むことがあります。
 ・主語、述語、修飾語
 ・接続語
 ・助詞

「鳥」の目線(段落単位、文章全体)

「鳥」の目線で読むうえで必要なことは、【論理構造】を読み取ることです。差し当たって、以下の3点を意識することが重要です。
 ①同義(言い換え)、抽象→具体(:A=B)
 ②対比、逆接(A⇔B)
 ③因果(A→B)

これらを読み解くうえで必要となるのが【接続詞】【接続助詞】(以下、「接続詞」という)です。
  ①・言い換え
    「つまり」「要するに」「すなわち」「いわば」
   ・抽象→具体
    「例えば」
  ②・対比
    「一方で」「他方で」
   ・逆接
    「しかし」「だが」「けれども」
  ③・因果
    「・・・(だ)から」「なぜならば・・・」

(特に最初のうちは、)文章を読解するとき、接続詞に印をつけながら読む、論理を示す矢印(例:→、⇔、=)を書き込みながら読む、ということはしてはいかがでしょうか。構造を図示することにより「見える化」することにより、段落ごとの関係や文章全体の論理を意識して読むことができます。

文章力(作文力)の向上

文章を書く時にも、「アリ」の目線・「鳥」の目線を意識することが大切です。むしろ、作文するときの方が「読解力の向上」パートで話したことを意識する必要があります。ただし、上記の事項以外にも、注意しなければならないことがあります。

「アリ」の目線(1文単位)

まずは、1文単位で注意しなければならないことを挙げます。

 ・主語と述語のねじれ
 ・修飾語(修飾―被修飾の関係)
 ・読点の位置
 ・言葉の使い方
 ・文の長さ(1文あたり40~50字程度が目安)

「鳥」の目線(段落単位、文章全体)

次に、段落単位、文章全体で注意しなければならないことを挙げます。

 ・接続詞の使い方
 ・読者に「伝わる」論理展開になっているか
 ・因果関係に関しては、本当に「原因・根拠→結果」の関係が成立するか
 ・(3つ目の事項と関連して、)論理の飛躍がないか

私がおススメしたいこと

以上の事項を踏まえ、文章を書くときに「これはやってみたほうがいいのではないか?」と思っていることを挙げます。

 ❶文章を音読する
 ❷文章を書くときには、【アウトライン】を作成する

❶文章を音読する
文章を音読した際、調子やリズムが悪かった場合には、その文の文法や言葉の使い方が間違っている可能性があります。また、文法等が正確であっても読者に伝わりづらい文章になっているかもしれません。

❷文章を書くときには、【アウトライン】を作成する
文章を書くとき、いきなり文を書き始める方もおられると思います。しかし、文章の内容が「伝わりづらい」論理展開になっている可能性があります。そこで、特に、正式な文章(:レポート、報告書、論文など)を執筆する際には、アウトラインを書くことをお勧めします。例えば、「高校において、制服と私服のどちらがよいか」というお題で小論文を書くとします。アウトラインは下記のような感じになるのではないでしょうか。

【主張】高校では、制服のほうが良い
【主張の理由】①・・・
       ②・・・
【制服のデメリット、私服のメリット】①・・・
                  ②・・・
【それに対する反論、それを上回る制服のメリット】①・・・
                        ②・・・
【結論】高校では、制服の方がいいのではないか

これはあくまで一例です。このような感じで、何を書くのか項目建てすると、文章を書く手前の段階で論理関係の見直しができます。

まとめ

今回は、法学を学び始める方にとって重要なことを書きました。しかし、今回の内容は、いかなる場面においても、共通して当てはまるものです。本記事を読んでくださった方に少しでもお役に立てれば幸いです。

なお、法的な文章の作成方法や大学における論文・レポートの書き方に関して、いくつか本が出版されています。そういったものを1つは読んでおくことを推奨します。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。

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