法律学の勉強③【条文も、主語・述語】
皆さん、こんにちは。もう7月ですね。私は、講義の報告、レポート、自分の研究(世に発信されている論文を調査する段階)、就活にと1日24時間では足りないくらいの日々を過ごしています。皆さんは、いかがお過ごしでしょうか。
今回のお話【条文も、主語・述語】
今回も【法律学の勉強】シリーズです。前回は、【まずは、条文!】と題して、条文の重要性、条文の構成について書きました。今回は、法律そのものの「読み方」についてです。
文構造の重要性
前々回のnoteで、【国語力を鍛える】として、国語力の向上のススメを記しました。その際、文構造(特に、主語と述語)を意識するように伝えました(まだ読んでない方は是非。本記事執筆時において、最も「スキ」を集めた記事です。「スキ」を押してくださった方、ありがとうございます)。
法律で書かれている文が読みづらいと感じませんか。法律は、一般的・抽象的な規定(ルール)であることが多く、どうしても、「一文が長く」「わかりづらい」文となります。しかし、条文を読解する際に、主語や述語を意識することにより、いくらか読みやすくなります。
文構造を意識しながらの読解
まずは、シンプルな文構造の条文から見ていきましょう。刑法199条には、殺人罪が規定されています。
かなり、平易かつ簡潔に規定がなされています。法律を学んだ事がない方にとっても、わかりやすい条文です(殺人罪の条文が法律を学んでいなければ理解できないものであれば、それはそれで問題な気もしますが・・・)。
この条文の主語は「人を殺した者は」、述語は「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する」です。
このような「簡単な」条文でこの話をすると、「なんだ簡単じゃん」となります。しかし、「簡単な」条文を読むときから、主語や述語を意識しなければ、文構造を意識する読み方が定着しません。現実の法律において、このような簡潔な文構造をもつ法律はかなり「少数派」です。
では、この条文はどうでしょうか。刑事訴訟法103条です。先ほどよりも、文が長くなったのではないでしょうか。
この条文の述語は何でしょうか。「押収をすることはできない」です。では、この条文の主語は何でしょうか。実は、主語が省略されています。「・・・とき【は】」とあることから、ここを主語であると思った方もいるかもしれません。確かに、助詞の【は】があると主語だよと教わった方もいるかもしれません。しかし、「押収」するのは「人」です。捜査するのは、主として、警察官もしくは検察官です。そういった「捜査担当者」、平易にいうと、「捜査をしている人」がこの条文の主語です。刑事訴訟法は、捜査や刑事裁判に係るルールを規定する法律です。
もっとも、「本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは」という文にも着目する必要があります。
「・・・ときは」は文の修飾語です。英語の読解だと、「修飾語は括弧でくくる」と教わった方もおられるかもしれません。実際に条文をよむとき、「括弧でくくる」はした方がいいのですが(その方が、文構造がより明確になります)、その部分を着目しないのは間違いです。
この条文では、「本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたとき」、捜査担当者は押収してはならないとしています。つまり、捜査担当者が押収してはいけないときを限定しているのです。「本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたとき」にあたらなければ押収してもよいということになりますし、あたれば押収してはいけないということになります。
まとめ
今回は、文構造を意識して条文を読解することについてでした。実際、刑事訴訟法103条よりも長く、複雑な条文はあります(特に、新しく作られる法律はそうなる可能性が高いような気がします)。主語や述語を意識することは、条文を読むとき以外にも、文章を読解する際には必ず必要になります。この記事を読んで、「文構造を意識しながら読んでみよう」と思っていただければ幸いです。
今回もお読みいただき、ありがとうございます。
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