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なんでもない話


4人のメンバーで構成されたバンド。
その中の1人が最年少の僕だった。
僕以外のメンバーは数々の
バンドを経験してきた
キャリア10年以上の猛者達。
僕はコピーバンドを
何個か経験した程度。
その猛者達の中で
ほぼ初心者ながらも
必死で喰らい付いていった。
曲なんか作ったことも無かったし
まして作詞なんてもってのほかだ。
僕はボーカルだった。

バンドのリーダー兼ベースが
「このバンドのフロントマンはお前だ」
「お前がこのバンドの方向性を決めろ」

いきなり無茶言いやがる。
でもやるしかなかった。

「次のスタジオまでに2〜3曲頼んだぞ」

マジかよ。

それでもみようみまねで
何とかの何とかっぽいどっかで
聴いたことある風の曲が出来た。
そのコード進行に
鼻歌でメロディをつけた。

次のスタジオでコード進行と
鼻歌まじりで弾き語りしたら
ソレに個々がアレンジを思いつき
あれよあれよという間に
曲が完成していった。
3時間のスタジオで
ほぼ全曲アレンジが完成した。
そんなこんなを2〜3回重ねたら
あっという間に10曲程完成。
なんだか初めての出来事に
戸惑いながらも少しだけ達成感を
感じていたらリーダーが急に

「とびきりの歌詞を頼んだぞ」

また無茶を言いやがった。

するとメンバーそれぞれが

「色んな映画を観たほうがいい」

「本読め、本」

「英和辞典からテキトーな単語拾い集めろ」

どいつもこいつも無茶しか
言いやがらない。
色々なこと言われたけど
結局僕は自分自身と
向き合う作業を始めた。
今思うと本当にしんどい作業だった。
3日3晩何も降りてこなくて
才能のなさにほとほと
嫌気がさしていた。
それでも次のスタジオまでに
3曲ほどデタラメな詞が書けた。
おそるおそる処女作を
みんなにみせたら

「よくわかんないからとりあえず歌ってみろ」

と言われ仕方なく歌って
歌詞を伝えてみた。
そしたらリーダーが

「お前の純粋でロマンチックな部分が出てていいじゃん。俺たちはパンクバンドだけどこういう歌詞もアリだな」

と言ってくれた。
そうこうしてしてる内に
曲も詞も対バンライブなら
こなせるくらい出来上がっていた。
そこでリーダーが友達のバンドに
対バンのお願いをしに行くというので僕も一緒について行ってみた。

つづく


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#日記 #エッセイ #小説 #戯言

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