自分主導、他人主導。
幼稚園の頃、鼓笛隊の練習があった。
僕は、当時今とは違いとても活発で明るく男女分け隔てなく誰とでも仲良く接する優しい子供だった。
それに加え当時から背も高かったので良い意味で目立っていて先生からも園児からも引っ張りだこだった。
ある時、年長さん全員が体育館に集められることになった。
僕はさくら組(だったような)の1番後ろで体育座りをしながら隣の列の女の子にちょっかいをだして遊んでいた。
今思えばその子に恋心を抱いていたのかなと思うけどもう名前すら思い出せない。今でいういわゆるツインテールがよく似合うかわいらしい優しい女の子だった。
全員揃ったところで先生達が大きな声で今日集まったことの説明をしてくれた。
『今日からみんなで鼓笛隊の練習をします。』
『そこで今からみんなをパート毎に分けていきます。』
『呼ばれた子達から各パートの先生の前に集合してください。』
『わかりましたか?』
『はーい』
パートをざっくりと分けていくと
ピアニカ
カスタネット
トライアングル
大太鼓
小太鼓
シンバル
旗
指揮者
上から大人数
下に向かうほど重大要職
園児の6割がピアニカ
カスタネットトライアングルが3割
大太鼓 数人
小太鼓 数人
シンバル 数人
旗 4人
指揮者 1人
だった気がする
どんどんどんどんパートが
割り振られていく。
僕だけいつまで経っても名前が呼ばれない。
少し不安な気持ちになってくる。
その時
『TARくん』
『はーい』
『TARくんは、指揮者をお願いします』
するとみんなから盛大な拍手
👏👏👏👏
『はーい』
その時はことの重大さをまったくもって理解していなかった。
無理もないまだ年長さんだ。
気づいたら僕は1人だった。
え?なんで僕だけ1人なんだ?
きょとんとしていたら
指揮者担当の先生が
指揮者の役割の説明をしてくれた。
その話しを聞き終えて
TAR少年は顔面蒼白
僕は自分の意図しない形で
自分がフューチャーされることが
イヤだった
自主的に自発的に目立つことは
大好きだった。
なぜならお調子者だから
けど他人主導で自分が意図しない形で
目立つことは顔が赤くなるくらい
恥ずかしくて
本当にイヤだった。
それから毎朝、僕は家のトイレに鍵をかけ閉じこもり3ヶ月以上登園拒否。
次に僕が幼稚園に登園した時
鼓笛隊での僕の要職が
指揮者から旗に変わっていた。
それは親と先生たちの協議によって
変更されていた。
けれど僕は
『そうじゃない』と
心の中で叫んでいた。
次の日からまたしばらく
毎朝トイレに鍵をかけ閉じこもり
小さな頑固者のストライキ決行
次に僕が幼稚園に登園した時
鼓笛隊での僕の要職は
みんなと一緒のピアニカ部隊に
変更されていた。
その日を境に僕が登園拒否することは
二度となかった。
活発でお調子者で人気者だからといって必ずしも目立ちたいとは限らない。
指揮者をやらせてくれるならせめて自分から立候補したかった。
まぁそんな時間も状況でもなかったのだろうけどね。
僕は、目立つなら自分の意思で
目立ちたい。
良かれと思って振ってくれる
他人からのお膳立てには
今でもNOと言い続けている。
嗚呼、めんどくさい男。
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