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#24【私犯人、解っちゃいました!/フリー脚本】


警部…安心してください。
私犯人、解っちゃいました。

…まぁまぁ、そう慌てずに!(落ち着かせるように)
とはいえ、鑑識の結果が出るまで待っていたら犯人を取り逃してしまいますから。今順を追って説明します。

さて、この密室殺人事件。
犯人と思しき人物はここに集まってもらった5人のみ。
被害者が亡くなった部屋の鍵はしっかりとかかっており、
皆さんのアリバイは全て証明されている…と。

そうでしたよね?警部。

実質、人間には不可能な犯罪…
そう、まるで言わずとも知れた人気推理小説
「怪奇探偵マルボロ」のワンシーンそっくりです。

まぁ、皆さんがそう思われて当然でしょう。何故なら…
”犯人がそう仕立て上げた“のですから。

つまり犯人の筋書きはこうです。
一見人間には不可能な殺人に見せかけて被害者を殺害。
密室に見せかけるトリックを用意し、
怪奇な化け物の仕業に見せかけて私たちを恐怖で混乱させる。

つまり、そういうことです。

…えっ、あっ、犯人ですか?
そうですね、少し冗長過ぎましたか。
結論からハッキリと申し上げましょう。
ズバリ、犯人は(指を差し)貴方です。

あなたはまだ気付いていないようですね。
完全犯罪だと思われていたこの事件、
実は一部、実に不自然なことがあるのですよ。

ふふっ…気付いていないようですねぇ!
私はこの部屋を訪れた時からずっと気になっていたのですよ。
貴方のその、腰パン具合がね!!!(キメっぽく)

貴方は恐らく犯人となんらかの方法で接触を試み、部屋へと誘導。
事前に用意された何らかのトリックを使って被害者を殺害し、
自分はコッソリと部屋から出る。
勿論、事前に脱出の方法は用意していたでしょうから、
この完全犯罪は随分と容易いものだったでしょうね。

ただ流石に入念な準備を行っても、
自分の身なりには気を配る事が出来なかった。
殺人を行った後にトイレで身嗜みをチェックするなんて、
並の神経を持つ人間には出来っこありませんからね。

貴方のその…このホテルに相応しく無い格好こそ、
貴方が犯人であることの絶対的証明です!!(ズバッと)

もう…言い逃れできませんよ。
この事件、私にかかりゃあおちゃのこさいさいよ!(決め台詞)


…あれっ?何ですか、このアウェイ感は。
おっ、鑑識の結果が出ましたか。
ふむふむ…。“ニコチンの多量摂取による心肺停止“
…なるほど〜。


警部…安心してください。
私、死因が解っちゃいました!(ドヤ顔で)

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