#25【長旅とブーツ/フリー脚本】(シナリオライターが〝本気″で作ってみた。)
旅は道連れ世は情け、とはよく言ったものだ。
かつての旅仲間は飢餓に襲われ、
道に迷い、はぐれ、敵に襲われ…
今や俺1人になってしまった。
見渡せば何もない自然風景。
食糧をその場で調達してその場で食べる。
手に入らなければそこまで。
丸一日お腹を鳴らしながら歩き続ける羽目になる。
まるでこの世界に俺1人になってしまったような心地がする。
この無音の世界で俺はなんとしてでも生き延びなくてはならない。
…命なかばに死んでいったあいつらの為にも。
地元を出る時にはおろしたてだったコートも、
いまや元の色を忘れてしまっている。
大好きな家族の顔や、
美しい地元の風景もいまや思い出せなくなった。
あれから何年経ったのか。
考えれば考えるほどわからなくなる。
…果たして、俺は一体どこを目指していたのだろうか?
履き潰したブーツの向かう先には、一体何があるのだろうか?
いや、きっと目的など無い。
ただ生きて、生きて、生き延びる。
もはや“旅”そのものが、俺の生きる理由だ。
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