【3分で読める】「君と羊と青/RADWIMPS」を聴いて小説のワンシーンを想像した。【歌詞解釈】
叩いたハイハットが震える。
その振動が壁に反響して、部屋全体に鳴る。
防音加工が施されているはずなのに、それを感じさせないほどの爆音。それは耳障りどころか、心地よささえ感じる。
握ったスティックが汗で湿っている。
練習するたびに、俺の手汗が染み込んだ木製の棒。今はまだ買ったばかりの新品だが、後1ヶ月もすればボコボコの傷だらけになる。
さて。
ここから大切なのは、イメージすること。
味噌汁でいうところの、出汁。
ラーメンでいうところの、スープ。
ショートケーキでいうところの、スポンジ。
これから生クリームとか、イチゴとか、チョコレートが乗せられていく。沢山のトッピングを支えるには、しっかりとした土台が必要なのである。
細かくエイトビートを刻みつつも、
右足で強めな拍を与える。
時折ハイハットをオープンにして、煌びやかさを演出。
ライドシンバルで上品さを残しつつ。
低音も高音もを操る。
あ、今。
フィルインが綺麗に決まった。
身体全身を駆け巡るような快感が入る。
あぁ、もったいない。
これが練習でなく、ステージの上なら。聴いてくれた誰かにも、この嬉しさを共有できたかもしれないのに。
音がどんどん、大きくなる。
の、はずなのに、不思議と音が遠のいていく。
身体が音に飲み込まれていく。身体が音と一緒になる。
文字で表現しきれない抽象的な感情。音楽をやっていなければ、一生出会うことのできなかったモノ。
音ともっと、ひとつになりたい。音に置いていかれないよう、もっともっと強くスティックをにぎる。
冷房の温度は下げておいたはずなのに、Tシャツは汗で滲む。このスタジオは、冬のように寒く、夏のように暑い。
たみな涼介
最後まで読んでいただきありがとうございます! ▶︎「4コマ漫画」「ボイスドラマ」 などで活動中のシナリオライターです。 活動費用が意外とかさむため、よろしければサポートして頂けると嬉しいです!“あなた”のサポートが私のマガジンを創ります。 お仕事のご依頼もお待ちしております!