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#4【確認してもいいですか?/フリー脚本(10分・演者3or4人)】

【あらすじ】
あらすじ
コンビニって便利ですよね?
大体のモノ揃ってるし、暇なら雑誌の立ち読みも出来るし。特にこの最寄り駅近くのコンビニ○○店は凄いんだよ。
店員さんは優しくて気配りが丁寧だし、レジ前のスナックメニューが美味しいんだ。きっと、マニュアルがしっかりしてるから、なんだろうなぁ〜。
【登場人物】
店長…この謎コンビニの店長。マニュアル(元凶)を作った人
アルバイト…マニュアル徹底主義のアルバイト。
客…お坊さん。近所の葬式に参列予定。坊主姿があまりに似合っていない。
客2…最後にセブンスターを買う人。

♪コンビニ入店の音

店長とお客さん二人だけがお店にいる様子。店長が商品の在庫確認、バイトがレジを担当している。二人は離れた位置関係にあるため、お互いの仕事の様子が分からない。客は入店して、店内を少し物色し、レジへと持っていく。

アルバイトは坊主の恰好を見て吹き出してしまう。坊さんは不快に思いながらも、レジでカフェオレをバイトへ渡す。

客:あと豚まんください。
バイト:はい、かしこまりました~。

レジでカフェオレを袋に入れて、客に尋ねる。

バイト:あのぉ、ピザまんでよろしかったでしょうか?
客:いや、豚まん。
バイト:あ、豚まんですね、かしこまりました~。

バイトは明らかに不慣れな雰囲気で、豚まんを取り出す。

バイト:(豚まんを半分に割って)中身をご確認ください。
客:えぇえぇ!?!?
バイト:こちらの中身でよろしかったですか?
客:中身はそれでよろしいんですけど・・
バイト:ご確認有難うございます~。

バイトはそのまま袋に詰めて清算しようとする。

バイト:お会計が二点で248円でございます。
客:あのぉ。
バイト:はい?
客:豚まんは?
バイト:えっと…匂いも確認しますか?
客:いや、だって真っ二つにしちゃったよね?
バイト:…?あっ!
客:そうだよね!間違えて…
バイト:風味は変わりますが、味に支障は出ませんので。
客:そういうことじゃなくて!普通真っ二つにして提供するもんじゃ無いよ?
バイト:そういうことですか…大変申し訳ございません。

バイトは丁寧に頭を下げる。
その後、何もなかったかのようにお金を出すことを促す。

客:え?交換とかしてくれないの?
バイト:すみません、お客様都合での商品の交換は行なっておりません。
客:いや、あなたの都合だよね?あなたが割ったんだよね?
バイト:でもそういうマニュアルになってまして…
客:マニュアル!?そういう話の次元じゃないよね?…まぁいいや、豚まんキャンセルで。
バイト:大変申し訳ございません。困ります。
客:こっちだって二分割された豚まん渡されても困るよ!

大きな声を聞きつけて店長が近寄ってくる。

店長:すみませんお客様、いかがなさいましたか?

店長はレジにある豚まんの片割れをみて状況をすぐに飲み込む。

店長:お前またやったのかあ!クビにするぞ!
客:初めてじゃないの!?
店長:お客様大変失礼いたしました。今すぐに新しいものと交換いたしますね~(無理やり笑顔を作って)

店長は蒸し器のなかを確認するが、もう残っていない。

店長:(バイトに向かって)なんで新しいの補充してないの
バイト:え?補充は五時からでいいって店長おっしゃってましたよね?
店長:確かに言ったけど!これ最後の一つってわかってたよね?
客:(状況を理解して)あぁもういいですよ。キャンセルにしてください。
店長:いえ、そういうわけには、、。大変申し訳ございませんでした。

お詫びにこの肉汁たっぷりデラックス肉まんを無料で差し上げます。

客:とにかく、今急いでるので、早めにお願いします。

店長:かしこまりました。すぐ用意いたします。

店長はバイトとは全く異なる俊敏な動きで肉まんを用意する。

店長:(肉まんを二つに割って)最後に中身をご確認ください。
客:えぇ!?
店長:肉まんはお嫌いでしたか!?
客:二分割はマニュアルなの!?
店長:一応中身を確認いただかないと、、あっつ。
客:肉汁こぼれてますよね?自慢のたっぷりな肉汁溢れちゃってますよね!?
バイト:あのぉぉ!

バイトが急にキレる。二人はバイトをみる。

バイト:僕マニュアル通り働いてるだけですけど?なんでクビにされなきゃいけないんですか?ちゃんとマニュアル通り確認しましたよ?
店長:すまない、てっきり、、坊主頭のことでもめているのかと思って、、。
客:、、、はぁ!?
店長:あ、いや!お客様はお急ぎですよね?早くお帰りください。
客:店長だか誰だか知りませんが、失礼すぎませんか?私は買い物にきただけですけど?坊主がそんなにおかしいですか?
店長:(笑いをこらえながら)い、いえ。
客:笑っちゃってるじゃん。
バイト:坊主もいい加減にしろ!
客:坊主って呼ぶな!
バイト:大体坊主なのに豚まん食べるなんて、あなた職務怠慢ですよ?
客:あんたらにだけは言われたくなかったよ。
バイト:殺生!殺生!殺生!

謎の「殺生」コールに、店長も便乗し始める。

客:なんなんだよこのコンビニは!!!!!!!
店長:でも。

店長は重い口調で話す。

店長:先日、私の父が他界して葬式をひらいたんです。まさかおやじがこんな急に逝くなんて思っていなかったから、俺、おふくろと二人でこれからどう生きていけばいいのか不安で…。そんな時、その場にいた和尚さんが私にこう言ってくれました。「あなたのお父さんは、未来末永く家族が幸せでいてくれと願っています」と。その言葉に背を押され、毎日頑張れています。有難う和尚さん。有難うございます。
客:…だからこれからその仕事が今からあるんだよぉ!なんなんだよここは!

客は完全に怒って店を出て行ってしまう。

バイト:…行っちゃいましたね。
店長:あぁ。(葬式を思い出して泣きそうになってる)
バイト:お父さんのことは忘れて、今は一生懸命働きましょ。いつか報われますから。
店長:…そうだな!

次のお客様が来る。

客2:たばこください。
バイト:あ、はい~。銘柄は?
客2:えーっと、セブンスターで。
バイト:かしこまりました。では、(煙草の箱を開けて)中身をご確認ください。
客2:え!?!?

終演

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たみな涼介 | シナリオライター/アプリエンジニア
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