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さんぽみちの青

完璧を求めてしまう。

二つ折りの紙は、端と端が1ミリでもずれていると気持ち悪い。
片方なくした靴下は、もう用はない。

誰からも好かれる人なんていないのに、誰かから嫌われるのが怖い。

そのくせ、誤字脱字はするし、間違えるし、そのたびに完璧でない自分に嫌気がさす。

完璧な人間なんて、この世のどこにも存在しないなんてことは分かっているのに、
一つ傷を見つけるとずっとそこに執着してしまうのは、腐ったプライドがあるからなのだろうか、それとも他にも傷がたくさんあることに気付きたくないだけなのか。

最近、散歩をよくする。
運動不足の解消のためでもあるが、散歩は気持ちいい。

清々しいほど澄みきった青に、遠い日の思い出や未来への期待を映し出して、ああ、眩しいなと手をかざしてみる。

いつでも、どこにいても、上を見上げれば空があって、
世の中がめまぐるしく変わっていく中で、変わらないでいてくれるものがある。

風が頬をさする。
外の刺激は、五感を奮い立たせてくれる。

そんな素晴らしいことなのに、私は完璧を求めてしまう。

散歩に目的はいらない。
目的のない散歩をしてみたいと思う。

私にはそれができない。
目的地を決め、そこまでどうやって行けばよいかスマホの地図アプリで見ながら散歩をしてしまう。

極論、自分がどこにいようがどこに向かっていようが関係ないのが散歩の醍醐味であるのに、位置情報は液晶の小さい地球に閉じ込められる。

下向いてばかりの散歩道。


今までもずっと、下向いてばかりの道を歩いていた。
「私なんて…」
「どうせ無理だよ…」

完璧を追い求める欠点だらけの自分、という自己矛盾。

前を向いて歩くと疲れてしまうタイプなので、
上を見上げながら、ゆっくり、歩みを進めていきたい。

ありのままの自分を受け入れて、別に死にやしないさ、と笑いながらつぶやきたい。
生き急ぎたくない。


いつになったら、この空の素晴らしさに気付くことができるのだろう。



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