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日向坂46シングルヒット祈願から見える、今後のあり方について

過去一、過酷を極めたヒット祈願「チア」

日向坂46含め坂道グループでは、シングルやアルバムが発売されると各々の冠番組で「ヒット祈願」という企画が行われる。
過去日向坂のヒット祈願では、バンジージャンプやマラソン、ドラゴンボートなど、様々な企画が行われた。
そのどれもが体力的、精神的になかなかハードな企画であり、それでも果敢に取り組む彼女たちの姿をみて、ファンは涙を流し感動をもらう、というお決まりの流れがある。

そして今回の5thシングル「君しか勝たん」では、’チア’がその企画として選ばれた。

グループメンバー総勢22名は、それぞれフラッグチーム・スタンツチーム・ダンスチーム・アクロバットチームに分かれて、君しか勝たんの曲に合わせてチアを構成する。

この企画の模様は、「日向坂で会いましょう」で放送された。
発表された当初から、ファンの間では『果たして、これは上手くいくのだろうか?』という心配の声が上がってきていた。
それもそのはず、いくら歌とダンスを日頃からこなしている彼女らにとっても、チア演技の難易度は高いように見えた。
技術的な面で言えば、フラッグの習得は練習場所なんかも限られてくるだろうし、チア特有の体を使った技や、アクロバットに至ってはバク転にチャレンジするという。
それに加えて、チアというのは言葉のごとくcheer(応援)であり、演技や技をやりつつ’笑顔’でいなければならない。
その笑顔というのもアイドルスマイルとは違い、唇が張り裂けそうになるぐらい、目が飛び出そうなくらい、’全力笑顔’が求められる。

怪我のリスクなども考えると、明らかにオーバーしていた。

数年前とは違う状況

ただ、このような過酷なヒット祈願というのはこれだけが特例だったわけではない。
過去には、マラソン(1stシングル)やドラゴンボート(2ndシングル)なども行っている。

だが、決定的に違うことがある。
それは’彼女たちが多忙を極めていること’

日向坂としてデビューしたての2019年というのは、ひらがなけやき時代を知っているファンからすればそれでも忙しかったようにも見えるが、2020年~2021年は次元が違った。

2019年のデビュー当初は歌番組メインで、外番組は限られたメンバーが限られた番組に宣伝で出演することが多かったように見える。
というのも、ライブや握手会があったことが関係してくるとは思う。
定期的にライブそして握手会が行われていれば、そのためのスケジュールを抑えるだろう。
もちろん、ライブや握手会の体力消耗はかなりのものだろう。ただ、外から見る分には彼女らをみて『疲労困憊』や『満身創痍』などどいう言葉が出てくることはなかった。

そして、2020年、空前の’日向坂ブーム’が訪れた。

いつからだったかは覚えていない。
考えられるきっかけは「ひなくり2020が東京ドームで行われるということ、が発表された」「コロナの自粛」なのだろうか?

日向坂46には約束の卵という曲がある。
ライブの最後には必ず歌われる、ファンからも愛されているこの曲。
初収録はけやき坂1stアルバム「走り出す瞬間」
この曲は、不遇と言われたひらがな時代の彼女らが「東京ドーム」という約束の彼の地に向かってまさに走り出していく瞬間を描いている。
(なぜ東京ドームがこれだけ神格化されているのかは分からないが、ここでは割愛)

そして2019年の暮れ、ついに2020年東京ドーム公演の決定が発表された。
これまでの歴史、努力がようやく世間に認められたのだ。

そして、コロナの自粛期間について。
彼女らが最後に有観客でライブを披露したのはDASADAライブだった。
2020年春にはツアーが予定されていたがことごとく、延期、中止。
握手会も中止の措置が取られた。
そんな中、7月には無観客配信ライブが行われた。
中止となった春ツアーを再現したもので、初めて見る日向坂の世界観に魅了された人も多かったのではないだろうか。
その後も、活動の制約があるにも関わらず、工夫を凝らしファンとの壁を取り払っていた。

このような流れもあり、本来ならばアイドルの活動に不利な状況ではあったが、着実にファンを増やしていった。

彼女らの代名詞「ハッピーオーラ」はテレビ出演時にも魅力的に映っていた。
冠番組「日向坂で会いましょう」が業界人にウケたこと
芸能界にも日向坂のファン’おひさま’が増えていったこと
(冠番組MCであるオードリーが、第二次オードリーブームを迎えたこと)

常に、謙虚に、礼儀を忘れず、明るく振る舞う彼女らのホンモノの魅力は、自粛で疲れ切った我々の心に、枯れた心に水を与えるかのように、浸透していった。

歌番組を始めとして、バラエティー番組や情報番組にも出演するようになり、個人の外仕事も大幅に増えていったのだ。

そもそも、約束された’ヒット’

話を元に戻そう。
このヒット祈願という企画、名の通りシングルのヒットを願う企画なのだが、坂道グループに限ってはそんなものは必要ない。

というと語弊はあるが、間違いなくヒットは約束されているのである。

それにもかかわらず、この企画を行う意味はやはり「懸命に取り組む姿によって、元気や勇気を与える」ということなのだろうか。

もしそうならば、今回のヒット祈願は大成功だった。

結論から言うと、私は今回のヒット祈願、めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃ感動しました。
VTRの練習風景や、コーチの言葉や、それぞれが私個人の体験に似たものがあったっていうのもあるし、本番特有の緊張感と、画面から伝わってくる熱い思いが胸に響いた。
ヒット祈願企画で涙を流すなんて今までなかったし、自分の心境も相まってとても勇気づけられた。大成功だと思う。

しかし、世間の声は少し違った。
「心配するぐらいならやらない方が良かった」
「お願いだから休ませてくれ」

それも確かにそうだと思う。
演技後の加藤史帆は明らかに体力の限界を迎えていたし(放送後のブログでファンをフォローしてくれるあたり、本当に彼女は最強の女だと思う)、とにかく放送事故なく、怪我なく、無事に終わることを祈って見ていた。

でも一つ言いたい。
それは、ファンは決して言ってはならない。
特に「やらない方が良かった」なんて死んでも言ってはいけない。
(Twitterの企画で#をつけてツイートすると、っていう企画があった。#をつけてメンバーももしかしたら見えるような状況でこんなことを言うのはあまりにも酷だと思った。)

彼女たちが、ファンや日本中のみんなを元気づけようと、頑張って頑張って練習してきた時間を、絶対に否定してはいけないと思う。
実際に終わった後のメッセージやブログでは、「大変だったけど、チアを成功させられて良かった」という内容のものがほとんどだった。
大変で困難だったのは百も承知だ、でも彼女らは私たちに勇気と感動を届けようとしてくれて、そしてそれを届けられたことに対して「本当に良かった」と言っているのだ。

彼女らの努力や本番の演技は間違いなく大成功を収めたし

それに対するファンの反応は大間違いだった。

「ヒット祈願」に求めること

今回のヒット祈願は、過去一厳しく、過去一の成功を収めたといっても過言ではない。

明らかに仕事量がオーバーでしている中で、あれだけのものを届けてくれたことに、最大の敬意を表したい。

そして、これからのヒット祈願に求めること。

それを見ている全員が、笑顔に幸せになる、などという理想郷を語るつもりはないが、
「感動」の熱量と「不安、心配」の熱量を天秤にかけたときに、誰もが「感動」を優先して感じられるような、そんな企画をぜひお願いしたい。

物事には塩梅、というものがある。

日向坂46はもう十分に売れている。
きっと、彼女らにとっては売れている売れていない関係なく、常に全力!みたいなスタンスを取っていくのだろうとは思うが、
その思いは十分に伝わっている、ということを伝えたい。

私は、日向坂46にはもう少し、いや、あと10年弱ぐらいは長生きして欲しいと思っている。
(乃木坂46は今年で10年目だそう。)

芸能界で長生きしていくためには、爆発的な人気よりも、細く長くという方が、良いのだろうと勝手に思っている。
日向坂46がこれからもハッピーオーラを放ち続けるためにも、「適度」で「ちょうどいい」活動をして欲しいと、僭越ながら願っています。

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