タラ夫と行く「分離派建築会100年」展
パナソニック汐留美術館で開催中の「分離派建築会100年」展にきたよ🐟💨
「分離派」とは、古い伝統から離れるという意味。
去年の「クリムト展」(東京都美術館ほか)や「ウィーン・モダン展」(国立新美術館ほか)を見た人にはセセッションという言葉でも聞き覚えがあるかもしれません。クリムトはウィーン・セセッションの創設者であり初代代表でしたね💡
既存の体制や様式から離れ、独自の価値観を打ち立てるーーそんな動きが20世期初頭のヨーロッパで活発になる中、日本の建築界でも「分離派」を標榜する人たちが現れます。
それが今回の主役、分離派建築会なのです👀
ではいったいどんな展覧会なのでしょうか。
分離派建築会、結成
いまから100年前、大正時代。
文明開化以降、西洋の様式建築の習得が一段落した日本では、徐々に「日本独自の建築とは何か」と模索が始まります。
同時に、世間ではモダニズム建築が広がりを見せ、質実剛健な構造を重視する風潮が高まります。
そんな機運に対し、「建築は芸術だ!」という信念のもと、様式から離れて自由に建築しようともがいたのが、東京帝国大学(いまの東大)建築学科の石本喜久治、瀧澤眞弓、堀口捨己、森田慶一、矢田茂、山田守。
6人は、1920年、卒業設計を集めた展覧会を開催し、ここで分離派建築会の宣言を発表します。
曰く、「我々は起つ」。
日本初とされる建築運動誕生の瞬間です。
本展では、発足から1928年の解散までわずか8年という短い期間ながら、展覧会や出版活動など精力的に活動した彼らの軌跡を、図面や模型、写真映像、関連資料をもとに紹介します。
自由で人間味あふれる建築
こちらは山田守さんの卒業設計図。端正なファサードとは裏腹に、高くそびえる中央の塔や背後のドーム型の構造体との組み合わせなど、自由な発想が近未来SFみたい!👽
山田さんはのちに京都タワーや日本武道館を設計したことで有名です。そのほかにも個性的な建築がたくさん…
街でよく見かける四角い箱みたいなビルとか家と違って、曲線が多用されているのがわかります。
ギリシアの神殿みたいな装飾が特徴のいかめしい明治時代の「様式建築」から離れて、より自由に――
そんな彼らは建築だけでなく、ロダンなどの彫刻にも大いに影響を受けたそう。会場にはロダン彫刻や、そこから影響を受け制作された習作なども展示されているよ。
あ!「バベル展」をやった朝日新聞の昔のビルも分離派建築会の人が手掛けたんだ!🙄
意外なところでつながりが…
図面や資料もたくさんあるよ。
壁がベニヤ板でつくられているのが面白くて、若い分離派たちのエネルギーが伝わるような空間でした。
分離派建築会100年展
会期:10月10日(土)~12月15日(火)
会場:パナソニック汐留美術館
開館時間:午前10時~午後6時(入館は30分前まで)、水曜休館
入場料:一般800円、65歳以上700円、大学生600円、中高生400円、小学生以下無料
問い合わせ:ハローダイヤル(050-5541-8600)
巡回情報:2021年1月6日~3月7日、京都国立近代美術館
※本記事で紹介した写真は許可を得て撮影したものです。会場内では撮影ができませんのでご注意ください。