見出し画像

ナイアガラレーベルCDのプリエンファシス盤について

こんにちは。前回の投稿でEACH TIME初版のCD [35DH 78] の比較の際にキャプションだけで触れていた「プリエンファシス」について書いてみます。

初期のCDにはプリエンファシスと呼ばれる、高域が強調されて記録されているCDが存在します。記録時に高域を強調して記録し、再生時に高域を下げるという、カセットテープにおけるドルビーのようなイメージです。

前回、初版EACH TIME [35DH 78] と初版Complete EACH TIME [32DH 555] に収録されたペパーミント・ブルーを比較しましたが、このうちEACH TIME 初版CD [35DH 78] がプリエンファシス盤でした。

上から【初版ET】ディエンファシスノーマライズ、【初版cET】ノーマライズ、逆相ミックス

現代、CDをPCに取り込み、ファイルを再生して音楽を楽しむ機会が多いかと思いますが、このプリエンファシス盤、デジタルデータをそのまま正確に取り込んだままですと「高域が強調された音」のまま保存されてしまいます。

iTunesやTuneBrowserといったソフトを使った場合、プリエンファシスであることを認識して高域を戻し(ディエンファシス)て保存してくれるようです。

プリエンファシス盤の扱いの難しさ

「プリエンファシス盤であること」の判断は、データにプリエンファシスフラグが立っているか否か、によるのですが、このフラグが立つ場所が2ヶ所あります。

  1. TOC(Table Of Contents)と呼ばれるCDの目次部分

  2. 実際に音が入ったトラックのサブコード(音以外データの収録部)

CD取り込みソフトによっては1.のTOC部分だけを見てプリエンファシス盤か否か判断するようなのですが、盤によっては1.のTOCにはフラグが立っておらず、2.のサブコードにだけ立っている、というものがあるので、1.のTOCだけで判断するソフトの場合、高域が強調されたままのファイルが出来上がってしまいます(下記リンク「プリエンファシス」項)。

先に紹介しましたTuneBrowserというソフトは2.のサブコードまで調べてくれますし、ディエンファイシスについても16bitの音データを24bit化したうえでフィルターをかけてくれているようなので、おすすめです。

前回の音の比較の際にはTuneBrowserを使ってディエンファシスした[35DH 78]と、[32DH 555]の逆位相をミックスして綺麗に消えましたので、正確にディエンファシス処理されていることもわかりました。


ナイアガラレーベルのプリエンファシス盤

さて、SONY時代、ナイアガラ2期の初期のCDでは、[35DH 78] 以外にも何枚かプリエンファシス盤が存在します。

  • [35DH 1] A LONG VACATION 初版 (1st, 3rdマスター)

  • [35DH 2] NIAGARA TRIANGLE VOL.2 初版 (1stマスター)

  • [35DH 12] NIAGARA SONG BOOK 初版

  • [35DH 28] NIAGARA CM SPECIAL Special Issue 初版

  • [35DH 78] EACH TIME 初版

  • [35DH 111] NIAGARA SONG BOOK 2 初版

  • [32DH 250] B-EACH TIME L-ONG 初版

B-EACH TIME L-ONG 初版まではプリエンファシス盤が確認されていますが、 次のComplete EACH TIME初版 [32DH 555] はプリエンファシス盤では無いようです。
そうなるとプロモ盤のSNOW TIMEあたりが、プリエンファシス盤か否かの境界の時期でしょうか

この時期のCDお持ちの方は是非とも確認してみてください。

また日本人のCD第1号であり、3つのマスターが存在することで知られているロングバケーションCD初版[35DH 1]ですが、これは最初のマスターと3番目のマスターがプリエンファシス盤でした。そして3番目のマスターにはクランプ部分の刻印に「131」「141」の2種類があり、これが先に書きました「プリエンファシスのフラグの立ち方の違い」になります。

131、141のフラグについては以下のサイトが詳しいです。

ちなみにNIAGARA TRIANGLE VOL.2の初版 [35DH 2]にもマスター違いがあります。こちらは最初のプレスがプリエンファシス盤、2番目がプリエンファシス無しでした。