【作品紹介】卵が先か、メトロポリスが先か。【メトロポリスの卵/石原三日月】(ネタバレ無し)
石原三日月さんが、第17回の坊っちゃん文学賞の佳作に選ばれた【家の家出】に続き、またとんでもない作品を世に生み出しました。本当にとんでもないです。
まず題名から、とんでもないです。【メトロポリスの卵】という文字面を見ただけで思ったはずです。
『メトロポリスは卵を産むっけ?』
産む訳ないです。だってメトロポリスは鳥類でも爬虫類でも無いですから。
いや、実は私達が知らないだけでハシビロコウを彷彿とさせるメトロポリスという鳥がいるかも・・・
メトロポリスをwikiってみましょう。
日本語では中心都市あるいは大都市。
そんな鳥はいません。やっぱり都市です。圧倒的都市、なんなら都市オブ都市、都市の中の都市です。そして私達はこの現実を前にして、改めてハシビロコウのように動けなくなります。
『メトロポリスは卵を産むっけ?』
そんな疑問を石原さんは作品の冒頭で華麗に宇宙の彼方へふっとばします。読者の疑問をどこかへふっとばすなんて、とんでもない事です。しかし私達はすぐに納得します。
『そうか、メトロポリスは卵を産むんだ。』
石原さんのファンタジーをリアルに落として納得感を高める手法は凄すぎます。そしてそんな高度な技術を使っている事は私たち読者には微塵も伝えずに、優しく面白おかしく物語世界へ私達を誘います。
これが石原三日月さんの作品の凄さです。毎回作品を読ませてもらう度にため息が出ます。
さて、卵が先か、メトロポリスが先か。
この難題に対する私の見解としては、どちらが先かという事を議論する前に【メトロポリスの卵】を読むのが先であると思うのです。
作品はこちらから無料で読めます。
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/shisei/machizukuri/kotoba/bocchan.files/19th-05-metropolis.pdf
おススメです。