わたしの舟はたこやきの舟 紙でできている 薄い茶色のベージュの白い舟 わたしの舟はたこやきの舟 2、3人乗れそう だけど、後ろで喧嘩を始めるから わたしの涙で沈んでしまう わたしの舟はたこやきの舟 沈没するとひっくりかえってうかぶ 船底に体を預けて しばらく水に浸かって過ごすのが好き わたしのたこやきの舟 いつか たこやきが乗ってきたその舟
大きな流れの中にいる 視点が変わるとき 私たちは神様になる 放り出された夜空に 知らないうちに浮いていて 光りながら 周りの星を認識し また されたりされなかったりしている 繋がれば名付けられるその形式は 星座であり 神話であり また 浮かんでいる自由のようである どこにも触れていないけど 何かに見えている 何かはわからないけど そこに存在している それは 怖くても怖くなく 怖くなくても怖くても 言葉にはできないようなときに そんなようなときに でもなんか あるような気がする
船出の日 少しだけ雨が降る 手放してかいこう テープははなれるの 戻らないかいこう 越えれば それでいいかいこう それは そのためのかいこう なんだかうっすらさむくて 新しく布団を出す 暖かくして 眠る
メカラモーチェ ソラッセヒヨ グネグネと辿りつくタツの落とし子 ゆきにみあうかい 逃げ出したのはだれ逃げ出さなかったのはだれ みつかったのはだれ みつからなかったのはだれ さんはひらくしよんはあく ぎゃくにしたのはだれ かみさまでかみさまと あそんだのはだれ しんじないのはだれ 信じたいのはだれ おばあがすてたにほんのや 辿り着くよ ときはなつよ しんじ ないのはだれ 揺れ動く 波濤の波頭であたしは踊る マドラス・ジョン・ウィック ルモイの果てまで 踊る
ほら、みてごらん もう、そこまで来ている ホタテのリゲル 貝柱の根っこに 寄り添った立て髪の荻 そよ そそや そよ そそや 棘持たぬ水辺の硅酸塩 おぎ をぐなれ おぎ をぐなれ ミスカンサス 風に聴く荻の声 浜荻の露 朝の うるおしきめざめの空気
泣かないで泣かないで きみはいつも笑いながら泣く 笑って笑ってきみはいつも 泣きそうな顔で笑う そんな顔しないで笑って どんな顔してるか気になる 笑って 笑わないで 泣いて 泣かないで かなしいね そのままの そのままのきみが好きなのに 悲しいね僕は どんな顔しても こんなそんなへんな ご自慢のへんなかお そんなへんなどんな ごじまんの変なかお ばあとでる ごじまんの変なかお
ソー クラテスの弁明 彼は何か罪を犯したか? ノー プランクトンの弁明 私たちはまれにそのように生きようとするのではないか バカと ノープランの ノーテルミーなはんこう なかれるのはやだやだ かくしてかくして 逃げ出しなあそんなとこは そして 泳ぐ魚の鱗は おちながら輝き光る 落ちる光の反射が クラクラとそれを光らせている みえるかい? 君は光っている バカとノープランの猪突はもうしんする だから とても光っている その火花が その鱗が その海が光っている ぜんぶもって
夜泳ぐ魚の鱗 アムステルダムの残存 こっぱみじんこの のっけから打って出たホームラン音 カキン カキン カキン 諦めろロッカーのそのキー むせかえる経堂 ウィーンクラシカルな夏の衝動 おんぱ でんぱ ろんぱ 歯切れなく擦り続ける超音 安牌の指紋は取れないよ 外し続けるキーノートの落丁 それすらも 愛おしく懐かしい 愛おしく懐かしむ君の硬派
夜行列車でゆく きみは牢獄 昼に向かい夜に乗る きみは牢獄 昼につけ夜につけ 難題を持ちかける 甘い牢獄 レモネードはちみつを入れる きみは牢獄 笑顔さえ苦しいよ もう きみは牢獄 僕を連れ出した世界の その先にいたのは牢獄 あまりにも好きだから 僕は幸せさ牢獄 でも 君を連れ出したいんだ、 牢獄
流星ながれぼし雨の空 傘さして歩いた りゅうせい流星くもりぞら 少しだけ見上げた 先生 行ってしまうのですか 尾っぽを掴めば止まってしまう このへんにいてくれた先生 先生 もう終わりたいのですか たぶん 頭を独り占めしたいのだ 読んだり書いたり 先生 先生は すごいけど優しいから すごい人ですね わたしは べんきょうがすきじゃないけど せんせいがすきだから せんせいのほん 読んでみたいから ふじゅんなどうきでいいですか でも 読んだら多分
あのロープ あのロープはどうするのだろう 舟へ 山へ 風を避けたあの 切り立てた山頂のロープ あのロープ あのロープはどこへいくのだろう 私が投げだした その先に居たロープ ぺグを刺し 呼んだかと思えば もう居ないロープ どうなったのだろう 山頂に残されるあのペグ どのようになるのだろう 降り立ったその先 この世は知らないことばかり 鬼が こちらへと手を叩くような その先へかえりつく 期待のような 或いは まるで誰も知らない 見もしない地表のような
捕まりたくないけど 宝探しならいいな 宝物見つけたら あなたが捕まって おんなじ牢屋に入るなら つまり 捕まってもいいな どこかに逃げ出しても あなたがいなければ 戻ってしまうな 抜け出して あみあみの窓から お花を差し入れたりしよう なるべく 地面と同じ高さの牢屋がいいな あまり金のない王国の あまりやる気のない見張り番の あまりにも居心地のいい牢屋で 見張り番も一緒に 歌を歌ったりして 食事係もびっくりして 笑ったりしたらいいな
ごい ごい さがしている ことば ことば ことば いみのないもの だれもつかってないもの なににもたとえていないもの ことば ことば ことば かんがえのないもの だれかのものじゃないもの なにかのもの ことばでないもの ごだけであるもの それがつたわる なににもつながらないものが ほしい
olé o 弾け飛んで草 種 そのままの君でいて どんなふうに 蔦を伸ばし 登ってゆくのだろう olé o 星 暗くなって空 雨漏りに似た音が キラキラと弾けるの 眩しくて宇宙の 真ん中に立って 夜に浮いているみたいだ 風 風 風 涼しくして つめたい夜のこのうみに わたしが泳ぎ出すように
わたしにとって進むとは つまり終わっていくようで悲しいのです。 大切すぎる思い出に あなたがいなくなることが悲しいのです。 そのままにしておきたい いつまでも あの時のままの気持ちでいたい 先をゆくあなたを見ると 離れてゆくあなたを見ると わたしは思い出が 悲しくなって 悲しくなってしまって 悲しくなってしまうから 知らなくていいから 大切にしておきたいのです
シェ バッハ 思うことと口に出すことは違う 言葉に出す事は考えることと違う しこうのしこうの 土台のようなもの ハンマーみたいな鐘を鳴らしてよ あの人の声が号法 走り出す時に 絵が重なればあってる シェ バッハ 無くならない沢山のものも のこさない素敵なものも みんな大切だって伝えて 黙ってるのは大事だからだけど 喋りまくるのは自慢なんだって伝えて 待ってるのは 困ってるのは 全部シカトしてやるって 言っといてよろしく