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セッション3回め:Exposure Practices
1〜2回めのセッションは、インテイクアセスメントといって症状を把握し、対策を練るための質問に答える時間だったので、割愛します。
2回めの終わりに「あなたの揺れ恐怖症は、高確率で克服できる」と言われてからの、3回め。「対策について話しましょう」と言われていたので、期待と緊張が入り交じる気持ちでのぞみました。
私に最適だと思われるセラピーは、
「Exposure Practices」
というもの。
エクスポージャー=暴露・露出
プラクティス=訓練・練習
つまりエクスポージャー・プラクティスとは、「恐怖の対象に少しずつ慣れていく訓練」。
私の場合、恐怖の対象である「揺れるもの」に接して、なれていくわけですが、
やはり、そうきたか……。
という感じ。
つらいな……。想像するだけで吐きそうなほどつらい。
でも、恐怖対象にあえて接していく荒療治って、素人が思いつく解決法ナンバーワンじゃないですか?
例えば幼少期に犬に噛まれて犬が怖い人が、犬を飼うことで恐怖を克服する、みたいなことでしょ?
現実はそんなにかんたんにいかないから、40年近くも恐怖症をわずらってるわけで。
ドクターに疑問をぶつけてみると、
そう、そのとおりです、と。
専門知識がない人が、荒療治的にやってしまうと逆効果になるので危険、Exposure Practiceは専門家の監視下のもとで正しく行われないと効果が発揮されない、
とのこと。
恐怖症といっても、トラウマ体験に基づいて起きている恐怖と、本来ならば怖がる必要のないものに対して抱く恐怖があり、私の揺れ恐怖症は完全に後者なわけですが、
本来ならば怖がる必要がないのに怖いと感じてしまう、つまり認知のゆがみがどこかで生じていて、その認知のゆがみによる恐怖を繰り返し経験することで「揺れるもの=恐怖」という回路が強固に出来上がってしまった……という流れのようです。あくまで私の場合、ですが。
つまり自分で意図せず恐怖の学習を繰り返し行い、恐怖症を構築してしまったというわけです。
ちなみにこれは1920年にアメリカで発表された「Little Albert experiment」という実験でも証明されています。簡単に言えば、パブロフの犬と同じ原理で、ベルを鳴らして餌を与えるという経験を何度も繰り返すことで、ベルの音を聞くだけでよだれが出てくるという条件反射が起こるしくみとほぼ同じです。
実験台にされたアルバート君は、ちゃんと恐怖症の克服のケアを受けたのかな、なんてことが気になってしまいますが。
揺れ恐怖症を自ら強固にしているという自覚はあって、恐怖症が発生した当初はブランコなどの振り子運動が怖いだけでしたが、スピンしたり回転するものやユラユラ揺れるものなども怖くなり、遊園地のライドは全てダメになってしまったし(見るだけでもダメです)、自動車や電車など視界がぐんぐん変わっていくのも恐怖を感じるようになってしまいました。マリオカートみたいなゲームも一切ダメ。年齢を経るごとに、怖いと感じる範囲が広がっていくばかりで、どんどん生きづらくなっていると感じます。
セラピストさんにそのことを伝えると、「まさに恐怖症とはそういうものなのです」と言われました。
恐怖の感情は、抗おうとすればするほどより強くなるそうで、Exposure Practiceでは、「恐怖の感情を受け入れる」という訓練なのだそうです。
長くなったので、いったん切ります。