「近所 Vol.2」一首選<1>
2023年3月16日。この日の活動は、文学フリマ東京35で発行した「近所 Vol.2」(通称:近所2)の中で、自分以外の作者ごとに1首ずつ選んで語ろうという回でした。「まくらべ通信」の時より歌数が多いので、巻いて巻いての語り回でした。
その時に選ばれた歌と選んだメンバーのコメントを作者ごとに2名ずつ、計4回に分けて紹介します。
1回目は、散田帽子さん、黒澤沙都子さんの歌です。
散田帽子
月曜日のブルーな感じと「裂く」「刃物」「血」等の一見怖い単語が合っていて、とても格好良い歌だと思います。(大住)
読んだ瞬間ぱっと空が広がる。折り紙が颯爽と、また飛行機となって飛び立っていきそう。(花江)
遊んでいるときの子どもの集中力まで感じられる。漢字が多いのも内容に合っていると思います。(黒澤)
小さな子供と親の関係は一方通行なんだよな…と箴言にも読める深い一首。(小林)
一見、面白みのなさそうな風景が「一方通行」で急に面白くなる。視点がすごい。(宮原)
トミカ、たまに買っていた頃は「意外とお値段するな……」みたいな気持ちだったのに、子供が見向きもしなくなった今は「たかだかワンコインだったのになぁ」って。言われてみれば、高級車も、特殊車両も、トミカなら同じ値段だ。「みな平等にワンコイン」が簡潔で清々しい。(本条)
大人になって現実を知ってからだと、子どもの頃は物の価値など分からずに遊んでいたことが貴重だったなと感じた。(阿部)
黒澤沙都子
とにかくかっこいい!映画のワンシーンのよう。イメージはオープンカーです。(花江)
あいにくの悪天候に見舞われた旅先での一首。こんなシチュエーションでもなければ、「家族でエアホッケーを延々とプレイする」機会はないだろう。「何個目」ではなく「何度目」なのが、ただ「何回もプレイした」だけではない、その奥にある一試合一試合のドラマのようなものを想像させる。(本条)
もう一度やろうと思っても再現できないその時の熱、青春のよう。(宮原)
子どもの頃使う当てもないのに大事にしていたこと、友人と交換して遊んでいたことを懐かしく思い出した。(阿部)
「寝れねえの」という少し大人びた言葉使いと、眠れないから母の所に来るという可愛いさがこの時期ならではの一瞬を上手く切り取っている歌だと思いました。(大住)
記録媒体の入っていた空のケースに思い出の品を詰め込むということが、塩に思い出を記録している感じで好きです。(散田)
瞑想をして内面に目を向けている時に浮かぶ丸餅。ユーモアが楽しい一首。丸餅の白さが魂を想像させて、幽体離脱のような、ちょっと怖い余韻も面白い。(小林)
<2>へ続く
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