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魯迅「薬」を読んで

みなさん、こんにちは。光文社古典新訳文庫の「故郷 阿Q正伝」に書かれている「薬」を読んだ感想を書いていきます。

簡単なあらすじです。

肺炎で苦しむ息子に薬(饅頭)を与えて、治そうとする父親の物語。黒ずくめの男から金とその饅頭を取引する。饅頭の見た目は血のように赤く、父親はその饅頭を両手で抱えたまま、息子の待つ家まで持って帰る。父親は家に着き、妻と饅頭を調理していく。息子はその饅頭を食べるが、後日亡くなってしまう。

感想です。

怪しいもの、迷信じみたものには、気を付けたほうがいい。という話に思えましたが、この話にはモデルとなる人物がいたみたいです。その人物は、秋瑾という清朝末期の女性革命家で、女性解放運動を訴えた人がモデルらしいです。本書の解説によると、この話に出てくる、夏瑜という人物がが秋瑾として描かれています。歴史の教科書を見返すと、当時の中国(清朝)は国の力が衰えており、最先端のテクノロジーを持った海外の国から不平等な条約を結ばされたり、各地で反乱が起こっていました。外からボコボコにされ、内はボロボロに崩れていく中国を見て「このままでは、海外の国には勝てない」と思ったのか、革命家が現れるようになったのかもしれません。秋瑾もそのなかの一人で、武装蜂起を計画するも、仲間の一人が先走ってしまい、失敗し、処刑されてしまいます。ウィキペディアによると、秋瑾の処刑は反響を呼び、その後の革命運動の支柱になったと書かれていました。この話に出てくる革命家の夏瑜という男が処刑された話で、登場人物があーやこーや言っている場面が出たり、革命家のお墓に老婆が食べ物を供えたり、拝む場面が出てきます。私の主観になりますが、この薬というのは、革命家の命を表しているのではないかと思えました。中国を変えようと薬(饅頭)を食べたが、後日なくなってしまう。息子というのは、当時の中国を表しているように思え、国の力が衰えているせいか、抑圧されてしまった風に見えました。国を立て直す薬というものが、当時の中国にとって必要だったのかもしれません。

読んで頂きありがとうございました。

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