【短篇】ハイライトを置いていかないで。
ゴールデンウイークも終わりが見えてきた頃
僕は24歳になろうとしていた。
ただ、目の前の事をこなしていく内に
年を取っていたのだ。
春の風が頬を揺さぶるこの季節に
僕は昔の友人と喫茶店で落ち合った。
僕が大学を転科したために、
同級生のはずの彼女は僕より1年先に社会人になっていた。
約1年半ぶりの再会であった。
よく会っていた21歳の頃と同じように
いつもの喫茶店で彼女はたばこを燻らせて待っていた。
「カラン」と喫茶店の扉を空けて、
春の風と共に店内に入ると
彼女の周りの