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"The LEPLI" ARCHIVE 90/ 『モードにおける新しさは進化している。  ”MEKERS”と”Iris van Herpen”他。』

文責/平川武治:
初稿/2013年2月13日。

 昨年の12月の話、渋谷PARCOで行われたトークの会での
僕の発言がもう既に世界レベルでは、”時代の新しさを生み出した。”
そこで、その日の僕のデジュメをここに改めて、紹介しておく。

1)マイノリティたちの“nation identity"が情景化し始めた。/
 ユダヤ教を信じている正統ユダヤ人たちの民族衣装の日常化と
マグレブのニュージェネレーションたちの民族衣装の日常化。
 ファッション広告に現れたイメージとしてのユダヤ人。
 ここで,白人社会における現実は
完全に、”The image no more making a realty.
The realty making a image."
という時代性が日常化し始めた。
 参考/
映画"NewYork,I love you."から、N.ポートマン、
―マグレグニュージェネションズの民族衣装の日常。
ーD&Gのグラスの広告写真。

2)もう一つ,感心した新しさ。/
 巴里のそれなりの路上に於かれた”リサイクルボックス”。
まだ、限られた地域ではあるが、要らなくなった古着を
リ・ユースするための回収ボックスが登場し、
新しい日常の風景となり始める。

3)巴里で出会ったモード誌、“vestoj”/
 北欧からの南下組たちが作っている本。
ここ10年来、この街へ押し寄せて来た”遅れて来た北欧の白人組”たち、
モードの世界では、一足先に”H&M"の登場によって彼らたちは肩身が広い。
Yohojiの販売をやっていた女性が立ち上げた新しい視点でのモード誌。
http://www.vestoj.com/

4)なぜ、「秋元康の一人勝ち」か?/
 AKB48の登場とそのイメージング。
久しぶりに降りた渋谷駅構内、
此処で”ギンガムチェック”の駅ばりポスターが目に着く。
日本の豊かさの後の、豊かさを象徴するものはこれであろう。
すなわち、”ヤンキーの後の、マイルド・ヤンキーたちの世界”。
彼らたちが完全に従来の戦後日本のエンタメ世界のビジネス構造を
変革させた事。
 これが現在、日本社会の豊かさのシンボルンであり,日常性となった。
僕的視点で、彼の発想の根幹には、
発想の違い/ここには江戸時代の『大奥』の構造仕組みが読み取れる。
時代の読み方の新しさ/誰でもがそれなりのことが出来る豊かさの表れ。
           誰でもがデザイナー、アーチストという時代性。
構造としての情報社会を熟知/構造の強さと脆さ、情報の生身さを熟知。
それを新たな”コンテキストと構造”によってメディア化した現実/
 ”リアリティの集団化”。
 これらによって,ブランド”秋元康”は現在のエンタメ世界で独り勝ちだ。
彼らは、白人たちのアートの世界へ引っ張り出されたアートブランド
”TAKASHI MURAKAMI"と同類人種であろう。
自分達の”ジャパニズム”をメディア上で創造し、視覚化した集団。

5)新刊『MAKERS』21世紀の産業革命が始まる。/
 3Dプリンターを使う事によって出来得る新たな可能性。
作り手と消費者の距離と際を完全に超越出来る事を示唆した入門書。
http://pr.nhk-book.co.jp/makers/book
―「今時は全員がインディーズなのだ。」
―「これはアマチュアのルネッサンスなのだ。」
―「機械化された手工業」
―「ハードウエアーはソフトウエアーになりつつある。」
そして,「ゴールドやシヴァーという色はもう特別な色では無い。」
 彼ら世代の”POINT”は、
ここで、“豊かさ”によってもたらされた新しさとは,
「みんなが作り手。」であり、
「全員がアーチスト又はデザイナー若しくは書き手。」
此処で、“THE REALITYの新しさ”を熟知する事。

この”新しさ”を今後のファッションの世界で考えてみると、
「秋元康の一人勝ち」+「機械化された手工業」/3Dプリンターの登場
 =新たなファッション産業の手工業化。
と言う新しい図式が見え始めることに気がついてください。
「第四次産業革命」+「クラフトマンシップ」=
「新・ファッション パラダイム」の構築。

ここで、『新たなアパレル構造の構築化。』が必然となる
新世代向けファッションビジネスを考えよう。
”IT"技術と情報とそのメディア化による「自分確認」と言う孤独な世界と、
その孤独さを”集団化”させる構造のパラダイムが「今後の新世界」。

6)結論的な眼差し。/
 僕の本心は,
若い人たちがより,“自分たちがやりたい事、世界観”で
実産業へコミット出来るか?コミットして欲しい。
そして,社会に寄与可能な自分世界を持って欲しい。
その大いなる意志を持ってほしい。
『現代という時代の豊かさの現実とは、もう既に,誰でもが,
デザイナーぶったり,アーチストぶりたいのが当たり前である時代。
GOLDはもう特色ではないという事。』
従って、この豊かさから生まれたリアリティの”新しさ”。
 『もう,誰でもがデザイナーであり,アーティストである時代という
新しさとは,誰でもがそれなりの資金と手順を踏めば,
何でも作る事が可能になるということ。』

 この新しさを日本の低迷中であるアパレルが芯激に受け止めて
新たなコンテキストとコンセプトを持って”ファッション産業”に
寄与する為の”産業革命を興すべきである。”
「”第3次産業革命”のための発想と妄想。」
これが僕の眼差しの根幹である。

7)読んでいて不思議と今の時代観とチューニングした本。
 『虚空の彼方へ』A.ロース評論集/A.ロース著/
http://www.acetate-ed.net/bookdata/021/021.php
 僕がアパレル後,この世界、モードッ評論への切っ掛けになった
建築家,A.ロースの評論集の翻訳本が出来た。
19世紀末から20世紀初めに書かれたもの。
不思議と今の時代観にチューニングされ,読みがいがあった。
 此処に書かれている事を現代という時代性の螺旋階段に仮想すれば
例えば,現代日本のファッション世界へその異差をチューニングすれば
いろいろ,学ぶところがある。

 *そして,皆さんが可能な一番新しい社会を,リアリティを生む為にも明日の投票には是非!!『リスクある決断』を。

 参考追記−1/「現代美術に対する’30年代の視点。」
『 "The Modern Art means?"
 "Art is defined only within the story called Art History.

Artifacts shown at this exhibition are not works of art.

They are rather souvenirs, selected specimens of our collective memory."

–By Walter Benjamin.

 

 One day, long long ago, when young Alfred Barr, Jr. was in Paris,
he visited Gertrude Stein in her Salon.
During the conversation, he told Gertrude about his plans for establishing the Museum of Modern Art in New York. Puzzled,
she looked at him with a smile:
 "That's nice, but I don't understand how it can be both a museum and modern."

 
 
 Clearly, the name Museum of Modern Art was an oxymoron,
and Barr almost certainly did not have a ready answer.
It took him several years of a bumpy ride on the "Torpedo in Time" to realize what the Museum of Modern Art was going to be.
It was the 1936 exhibition Cubism and Abstract Art 
and the now-legendary diagram on the cover of the catalogue that showed Barr the way. 』


参考追記−2今年になって興った”リアリティの新しさ”そのー1。
 今年の経済雑誌、”東洋経済”誌の年頭特集にこの新刊書、
『MAKERS』/21世紀の産業革命が始まる。ークリス-アンダーソン著;
 PCと3Dプリンターを使う事によって出来得る新たな可能性が
特集化され、その現在地点と今後の可能性が報じられた。

 参考追記−3今年になって興った”リアリティの新しさ”そのー2。
 僕が考えていた3Dプリンターによるモノ造りを
このファッションの世界で試みたデザイナーがもう既に登場した事である。
先月行われた巴里のクチュールコレクションでの”Iris van Herpen”の登場。
 『オランダ出身で現在はロンドンを拠点にしているデザイナー、
Iris van Herpenがアメリカの3DプリンタメーカーのStratasys、
CAD ソフトを開発・提供するMaterialiseなどの3社がコラボレーションを
行い、パリ・ファッション・ウィークでのオートクチュール・ショウ「VOLTAGE」にて3Dプリンタで出力したドレスを披露した。』
http://www.irisvanherpen.com/
http://vsmedia.info/2013/01/25/iris-van-herpen-3d-printed-dress/

 彼女はオランダのアーネム工科大学卒業。
僕も彼女の卒業コレクション展では審査をし、
その後の、彼女の自分世界の作り方に興味を持っていて
ロンドンの”A.リー-マックイーン”のところでのスタージュ後、
幾度か会って話しをした事のあるデザイナー。

 以前、僕が論じていた、
”『もうミシンと針と糸で、』の世界ではない服作り。”で登場させた
デザイナーである。
 ファッションの世界でこの時代の新たな流れは今後どのように
”巴里のモードへ浸透して行くのか?
ただの、”プロパガンダ”で終わってしまうのか、
自分世界の”立ち居場所作り”で終わるのか、
それとも、アメリカのこれらの新産業が新たなモードの地平線として、
可能性ある新たな”モードのキャピタル”へ向けたプロローグか?

確実に、歴史的に見ると従来の”巴里”は決してこれをウエルカムはしない。
単純に、“特意性”としてその立ち居場所を与えるが”正面玄関”は開かない。
ここが”巴里のモードキャピタル”の恐ろしさで有り、
強かさで有り、弱みでもある。

 何れにせよ、これが今後どのように進展して行くのだろうか?は
見応えの在るモードにおける、一つの新しいシーンであろう。
 ここには大いなる可能性が僕たちの國にもある。
そして、新たなファッション・パラダイムによって、今後の、実産業への
寄与が存在するであろう。
 これに依って閉塞化した”アパレル産業”のリノベーションと生産構造の
再生も読めるであろう。

 僕が考えていた「PC+3Dプリンターによるモノ造り」は
”日本アパレル産業”への何らかの救世主になるという眼差しで在り、
その根幹は、”1ブランド、1デザイナー”という構造の必然性が無くなる
時代性を予告している。

 最後に、ここにもう一つ加える新しさとはに、『ARCHIVES』がある。
これはVACANTの会で話そう。
相案相忘。

文責/平川武治。
初稿/2013年2月13日。

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