まず「それってこういうことですか?」と投げ返してみる
前に読んだ佐藤可士和さんの本が参考になったので、もう1冊
『佐藤可士和の超整理術』を読んでみた。こちらの方が先に出された本で、話題にもなった本だ。
内容はうなずかされる点が多く、自分が問題だと感じていたことが言葉になっているので、頭の整理に役立つ本だった。そう、まさに整理をテーマにした本である。
整理といっても、身の回りのモノをうまく片付けましょう、ということではない。実際、片付けのアイデアとして役立つ部分もあるけれど、それは見た目をすっきりさせるという話ではなくて、あくまで情報の整理、思考の整理をするための環境づくりという位置づけである。
著者によると、アートディレクションの仕事とは、物事を整理することで一番大切なものを見つけ、それを磨き上げてデザインすることだという。そのうえで、ポイントを「空間の整理」「情報の整理」「思考の整理」という3つの段階に分けている。
「空間を整理」するためには、プライオリティをつける必要があり、そのためにはある視点を導入して、「情報を整理」しなければならない。そして、その視点を見つけるにはまず「思考の整理」が必要である。そういうステップである。
自分も仕事で整理することの大切さを感じているので、このスタンスには共感できた。たいていの依頼は、情報がこんがらがった状態でやってくるので、それをうまく整理して伝えることを考えなければいけない。デザインするにしてもコピーライティングするにしても、まずその前段階での情報の整理が必要になる。そのあたりのことが、この本を読んではっきりしてきた。
つまり、整理と言語化によって、これまで見えていなかったもの、認識されていなかったものを見出すこと。それがクリエイティブと呼ばれるものだと思う。
そのときに重要なのは、クライアントからの問診(ヒアリング)である。それはわかっていても、いざ打ち合わせの席では相手の説明に飲まれて、なかなかうまく質問ができないことがある。この本にはそういうときに具体的に使えそうな技術が、ひとつ書かれていた。
それは相手の言っていることに対して、「それってこういうことですか?」と自分が知っている言葉に置き換えて投げ返してみること。これを繰り返すことによって、徐々に本質に迫ることができるそうだ。テクニックとは、効果を感じて初めて自分のものになるとも書いてあったし、これは実践してみたいと思った。
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