眠れなかったのはコーヒーを飲みすぎたからか、家賃の安い団地に引っ越すべきか悩んでいたからか

5月(1)
月曜日
昼ごはんは、畑で採れたキヌサヤを入りの他人丼。昨年末で会社を辞めて以来、昼食は家で食べるようになった。当時は朝、Fに弁当を作ってもらっていたが、今は朝食と昼食を別々に用意してもらっているので、Fの料理時間が長くなっているかもしれない。一度、弁当時代のルーティンに戻そうと試みたけど、結局戻らなかった。前も書いたけど、料理や食べ物にかける時間がうちはかなり長いだろう。畑仕事も含めると「エンゲル時間係数」はかなり高いのではないかと思う。何の指標になるのかはかはよくわからないけれど。

火曜日
昼ご飯に「出前一丁」を食べる。先日、飛行機の中で観た中国の映画で、金城武が出前一丁を異常なほどのこだわりで作って食べるシーンがあり、それ以来、Fが食べたいと言っていたのが実現した。最後に生卵を割り入れたが、固まらず、ズルズルと飲み込むように食べるかたちになる。こんなことなら卵かけご飯にすればよかったと思っていたら、Fはラーメン鉢のなかで黄身だけを崩さないように残し、それをご飯の上に乗せかえて食べていた。ちょっと騙されたような気分。家のラーメンでは、スープの中を探し回って、ゴマやネギの最後の最後まで食べられるのがうれしい。店では格好悪くてできないだ(油断するとやってしまいそうだが)。家庭ならではの味といえる。

水曜日
夕ご飯はポトフと昨日のカレー。タラが入ったカレーで、2日目だからかちょっと魚の匂いが強くなっていた。子どものころは、肉といえばざっくりひとまとめで肉だった。牛か豚か鶏かなどは意識になかった。学生時代に部活で焼き肉食べ放題に行くと、鶏肉をたくさん取っているのを見た先輩が、お前はアホか、と言う。「ここでチキン食べるやつどこにおんねん、牛やろ、牛」。牛のほうが偉いと初めて知った。脂を好んで食べる人がいるのも驚きだった。肉の脂身は果物でいうと皮のように邪魔なものだと思っていた。肉の話になってしまった。困ったらチキンカレーだなと思ったからかもしれない。

木曜日
コーヒーの出が甘かったような気がしたので、出がらしを鍋に入れて煮出して飲んでみたら、悪くなかった。外国で飲むコーヒーの味。こういう提案はたいていFに却下されるが、今日は珍しく受け入れられた。

金曜日
買い物するFについてスーパーに入り、おつとめ品のバナナを買った。食料はほとんどFが選んで買うが、これは自分の意思で買った。バナナはウツに効くと何かで聞いて、それが正しいのかどうかは知らないが、なんとなく気分が上がるかもしれないと期待してしまう。関係ないが、普通がいちばんすごい、というコンセプトを思いつく。

土曜日
某大学の勉強会(授業のようなもの)に行って、昼食に学食でタコライスを食べる。前回来たときに学生風の男子が、ここ来たらタコライス食べなあかんやろ、と言っていたので、そうか食べなあかんか、と思って食べたら、夕食もタコスだった。Fには昼にタコライス食べたことは黙っておこうと思ったが、食後に「昼、何食べたん」と聞かれて、白状する。食べる前でなくてよかった。タコスディナーの高揚感を半減させたくなかったのだ。夜眠れず、深夜2時から5時まで仕事をする。

日曜日
昼食にねぎ焼き。お好み焼きの生地が緑色になるほど大量にネギが入っていて、うれしい。腸内細菌の健康のためには繊維を摂るべし、ということを意識しはじめてから、野菜を食べるのが楽しくなった。昨日の学食では、職員らしいおじさんが、サラダと味噌汁ともう1品、卵とじか何かおかずを頼み、「ご飯はいいですか?」と食堂の人に聞かれ、いいですと断っていた。糖質を控えているのだろう。たしかに炭水化物を食べ過ぎると、きまって午後は眠くなるので、次回の授業前は炭水化物抜きを試してみてもいいかもしれない。そういえば、昨日は大学にコーヒーを水筒に入れて持参したにもかかわらず、追加のコーヒーを買って飲んだ。パンの耳を揚げた50円のおやつも食べた。これらはFには言っていない。眠れなかったのはコーヒーを飲みすぎたからか、家賃の安い団地に引っ越すべきか悩んでいたからか。

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