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おじいちゃんの戦争の話

孫が聞いた話をしよう。


祖父の家は大阪で商人をしていたそうだ。

海外まで足を延ばし品物を手に入れ

貿易船で帰国するような仕事だと聞いている。


そんな祖父の少年時代に第二次世界大戦が起こった。

祖父は兄弟と共に、母方の田舎に早々に疎開したようで

祖父から聞く少年時代の思い出のほとんどは

豊かな自然、広がる田んぼ、澄んだ小川等の景色ばかりだ。


田舎に行ったとはいえ、どうやら商人の血はあったらしく

山に入っては蛇を捕まえ、片手の指の隙間に蛇を4匹

片手に1匹捕まえ計5匹。

薬屋に持ち込むと、子供のお小遣い程度の金額で買い取って貰う。

数年続く戦争で物資が少なくなっていく中で

意外と楽しそうに暮らしている印象ばかり受ける。



そんな祖父の家に、ついに赤紙が届く。



赤紙とは召集令状。

つまり戦争に兵士として向かうための書類だ。

「誕生月の月末に」指定の集合場所へと来るように書かれていた。

家族は悲しみ、本人も「ついに来た」と。

月初めの祖父の誕生日は、ささやかなお祝いをした。

豪華な食事やケーキもなく、畑で採れる芋や野菜を

「来年はもう、こんな事も出来ない」

「街の方はもう焼け野原だ」

「大きな空爆があったらしい」

召集のために何を持っていけるだろうか

誕生日を数日過ぎて、準備に追われていた中で


戦争は終わった。


今日、8月7日はおじいちゃんの誕生日。

戦争に行かなかった話。


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