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奥多摩・北秋川白岩沢(沢登り)

冬の沢登り第1弾として北秋川最奥の沢を訪れた。以前、同じ北秋川の支流でシンナソーと言う変わった名前の沢を遡行したことがあるが、今回はそのさらに奥、風張峠付近を源頭とする白岩沢を遡行する。同行はシンナソーを遡行した際と同じmh氏。

アプローチ

いつもは山行のアプローチにマイカーを使うことが多いが、北秋川最奥エリアは駐車場所が限られて計画に制約が多くなるので、今回はJR武蔵五日市駅から路線バスでアプローチすることにした。
乗車する「藤倉」行のバスは、武蔵五日市駅発7時40分。少し早めに到着したのでバス停でしばらく待機。先行する数馬行のバスが発車すると並んでいる人は殆どなし…と思ったら、高校生か大学生かのグループ(20人くらいいたかもしれない)が後ろに並んで、想定外の超満員での出発となった。終点の藤倉までは50分ほどだが、途中の小岩までに我々以外の乗客は全部降りてしまったので、最後の20分は貸し切り状態だった。

藤倉バス停前でトイレを借りて、北秋川沿いの道をさらに奥へと歩を進める。好天だが、谷底で陽が差し込まずに少々寒い。

北秋川沿いの車道(車は殆ど通らない)を奥へ奥へと…

入渓からCo825二俣まで

道の終点から沢に入るが、入渓後しばらくは少し荒れた渓相である。入渓後10分ほどで最初の滝場となる。手前が4mほどの3条の滝、奥にのっぺりした感じの6m滝と続く。最初の滝は特に困難もなく登れるが、奥の滝はちょっとやっかいそう。登って登れなくもないようにも見えるが、ちょっとぬめっている感じである。こんなところでケガもしたくないので、ぱっと見登れそうな左岸斜面から小さく巻こうとしたら崩落斜面があって結構嫌らしい。面倒だが最初の4m滝の下まで戻って左岸斜面の仕事道を拾ってトラバースする。滝場に差し掛かかったところで先を見ると、6m滝横の崩落斜面は思ったよりも大規模で、どうしても嫌なトラバースをしないと先へ進めなさそうだ。トラロープが張ってはあるが頼るのも躊躇われるので、念のためロープを出して安全を期した。滝を越したところから懸垂下降で沢へともどったが、こんなところでロープを出すことになるとは思わなかった。想定よりも少し時間がかかってしまった。ネットの記録では滝本体の右壁が登れるようだが、ちょっとリスキーな感じもする。

最初の滝場の4m滝を登る
奥に6m滝が落ちているのがちょこっと見える
高巻き中に6m滝を見下ろす
右壁が登れるというのだが…

6m滝を越えると、第二の滝場となるが今度は問題なく越えて行ける。越えた先はナメが発達して結構いい景観を見せてくれる。

第二の滝場は問題なく越していける
上流はナメが続いていた
ちょっと凸凹で荒れた感じはあるが、ナメが続いていい雰囲気

Co825の二俣は右俣の仏岩沢に入るのだが…

最初の滝場を越してから30分ほどで顕著な二俣。時間的にまだCo825ではないだろうと思って左へ進むが、しばらくしてGPSを確認すると、あれ?Co825を通り過ぎてしまっている。Co780くらいで右に枝沢を分けるはずで、顕著な二俣はてっきりその分岐だと思っていたのだが、思ったよりも先に進んでいたようだ。
回れ右をして先ほどの二俣までもどるが、地図を見る限りCo780付近の分岐は分かりずらい感じもせず、見逃したことがちょっと釈然としない。

気を取り直して右の枝沢へ進む。右は仏岩沢、左はムジナヤ沢という名前が付いている。仏岩沢の上流にはその名の通り「仏岩」という大きな岩があるらしい。
仏岩沢に入ってすぐ沢が大きく左に屈曲するが、そこはのっぺり気味の滝が続く連瀑帯で奥には大きな滝が懸かっている。水量は多くない。高さは15mくらいだろうか。仏岩沢の大滝と言っていい規模だ。帰宅後にネットの記録などを見直すと「下出の滝」と名前が付いているようだ。
手前の連瀑を登って、大滝の直下へ行ってみた。

のっぺりした小滝の連瀑の奥に、細く水を落とす大滝が懸かっている

大滝自体は直登が難しいので高巻くことになるが、左右を見比べると右の植林から高巻くのが良さそうに思える。ただ、右から巻いて難儀をしたという記録を読んだような記憶があり、敢えて左(右岸)からの巻きを選択。右岸尾根は岩壁になっているので、安全優先でザイルを出しながら結構無理やりに上部の樹林帯まで登ることになった。登り切ったところからは沢床まで10mくらい降りねばならないが、傾斜が少しあり灌木もまばらな裸の斜面なので念のため懸垂下降で沢に戻る。
降り立ったところはちょうど大滝の落ち口だったが、左岸を見るとうっすらと踏み跡が通っている。偵察してみると、植林帯の上部をトラバースする踏み跡が続いていた。下の方までは確認しなかったが、トラバースする踏み跡までは連瀑帯の手前から植林の斜面を登れば、比較的容易に上がってこれそうな様子であった。こちらを巻いて難儀をしたという記録については、帰宅後に確認しても行き当たらないので、記憶違いだったのかも…。結果的には無事に高巻けてよかったのだが、他人の記録ではなく現場での判断を信じるべきであった。猛省…orz。
ここでも高巻きに時間を取ってしまったが、この上は何もなさそうなので、大滝上の河原で大休止とした。

詰めと下山

休憩後は10分でCo920の分岐。ここは左へ進むと左岸の斜面に壊れた小屋掛けを見る。そこから10分強で沢の中に大岩が鎮座している。石灰岩だろうか、表面に滑らかな凹凸がある。裏に回ると表とは違う表情。深く抉られた穴がたくさん。
横に寝ている状態でこんな穴が開くことあるのだろうか。昔は穴のある方が上を向いていたのか…。何とも不思議な岩である。開いた横穴で寝泊まりができそう。まさに奇岩と言っていいだろう。特に現地に案内があるわけではないが、この岩が「仏岩」だろう。しばし奇岩を眺め、写真を撮ったりして過ごす。

不思議な形の仏岩
穴の中で寝泊まりができそうだ

仏岩のすぐ上流で沢は二手に分かれる。当初の計画ではここを右に進み、風張林道へ詰め上げて藤倉へ戻るルートを考えていたのだが、バスの時間などを考えると浅間尾根を乗っ越して数馬の方へ降りた方が効率がよさそうなので左へと進む。こちらは詰め上げると奥多摩周遊道路に出るはずだ。
このあたりは既に水流も無く、やがて沢型もほぼ消えて急傾斜の斜面を登らされる。上部に何やらコンクリートの構造物が見えたが、道路の擁壁ではなく堰堤だった。左端を回り込んで越えると、上流は土砂に埋まっていた。Co1030の分岐から20分ほどで、ようやく奥多摩周遊道路に飛び出した。

詰め上げると車やバイクが行き交う奥多摩周遊道路に飛び出す

しばらく車道沿いを歩いて、浅間尾根駐車場の少し先で浅間尾根の登山道に入る。駐車場からは都心方面がよく見えたので、しばし景観を楽しむ。

浅間尾根駐車場からは都心方面の眺望が開ける

登山道に入ると最初だけ少し登りがあるがすぐに平坦になり、やがて降りに転じる。駐車場から20分ほどで「数馬バス終点へ」と書かれた古い案内板の立つ分岐。案内板の示す方向へ進むと、道は支尾根に沿って急激に高度を落とすようになる。ところどころ踏み跡が乱れるが、尾根をはずさないように進むと分岐から35分で仲の平バス停の近くの檜原街道に出ることができた。
車道脇の駐車スペースの片隅を借りて装備を解除して、数馬の湯へ向かう。

数馬の湯は料金が少し高いようにも思ったが、最近の諸物価高騰により値上げをした温泉施設も多い。今後、日帰り温泉施設の相場はこれくらいになるのかもしれない。
入浴後はバスで武蔵五日市駅まで出て、そこからは電車を乗り継いで帰宅。

まとめ

最初の滝場と大滝の通過に少々時間を要してしまい予想より遡行に時間がかかったが、気になっていた沢の様子が分かったのはよかった。ただ、内容的には苦労したわりには…という感じである。
周辺にはまだ少し気になる沢筋もあるので、また時期を見て訪れてみたい。


  • 日程:2023年12月17日(日)

  • 天候:晴

  • メンバー:mh(L)、tapiola

  • 地形図:猪丸

  • コースタイム:藤倉バス停(8:35)-落合橋(8:42)-入渓点(9:10/35)-6m滝上(10:50)-Co825二俣(11:20/45)-大滝上(13:10/40)-Co920分岐(13:50)-仏岩(14:10/15)-Co1030分岐(14:20)-奥多摩周遊道路(14:39)-浅間尾根駐車場(14:55)-仲の平分岐(15:15)-仲の平バス停(15:50/16:05)-数馬の湯(16:10)


遡行図-北秋川白岩沢(2023.12.17)

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