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【テキスト】はじめて取手に来た時の記憶・記録|2024.06.23|大内伸輔

「なぜTAPに関わるようになったんですか?」
「はじめて取手に来たのはいつですか?」

いろいろな人に聞いている分、自分でも記憶を頼りに説明する。学生の看板を下ろしてふらふらするフリーター1年目。いかんともしがたい「超就職氷河期」を免罪符に、流れ着いたのが取手。ちょうど20年前。

曖昧な記憶のまま何度も語り、それが事実として取って代わろうとしていたところ、ふいに当時の日記に出くわした。知らない土地のイベントに出かけて行って、知り合いもなくサポーターとして立ち回っている。とにかく何か、手がかりを探している。受け入れられている感もある。記憶に残っているよりも、切迫していたのだな、と思う。

20041114
取手ストーブ 黒豆茶
 桜台にて起床。あまりにも寒いのでとりあえず時間はないもののいったん家に帰ることに。風呂で解凍。5分だけ布団を味わい取手へ出発。中野駅前天理天命。着くなり少しインフォセンターの仕事を説明してもらい程なく一人で任されてしまう。お客さんにいろいろ聞かれ返答に窮す。仕事でもよくあることだがこういうときに適当なことを答えてしまう。性格が出る。デパートの前の特設テントの足元に石油ストーブ。今日は木枯らしだという。酷く寒い。心細いというよりはまぁ、気楽でよかったのだが。求めてくる人・なんとなく来る人。様々。ほんの少しの会話でもそこに会話が始まるということがどうのこうの。右隣のマックから聞こえてくるのは有線かと思いきや同じ曲がループしている。左隣のコロちゃんコロッケの宣伝ソングが1分くらいの地獄のループ攻勢。おかげさまで程なくして胃痛が再発。

 休憩。折角地方に来てるのだからチェーンではないお店へ。寒いのでやっと見つけた蕎麦屋に飛び込む。「そば・天麩羅」と看板にあるのだからそれが売りなのでしょうから天ぷらそばをオーダー。しかしなぜちゃんとした蕎麦屋だと天そば頼むと海老天だけ、とかなのか。かき揚のほうが好きなのに。申し訳程度に彩るインゲン天。でもやっぱりあったかいのはうどん。冷たいのは蕎麦。の個人的鉄則に従ったほうがよいのだろうきっと、という結果。ふと見たカレンダーは皇室カレンダー。食後に温かいお茶を頼もうとするとすかさずホットコーヒーが運ばれてくる。メニューはすべて和食なのに。お茶にかえろとも言えずコーヒーを啜ってごちそうさま。

 ややもして担当時間終了。折角なので展示をみて勉強する。そもそもわかってない人間がインフォしてはいかんのではないか。10人目の小林さんにたしなめられる。ふらっとカフェに立ち寄ると忙しそうなので手伝うことになる。立ち寄る人に黒豆茶を入れてあげる。そういうのは喜んでやる。国道6号をはさんだ白山商店街はよくある田舎の風景、というよりはやはり「茨城」のそれだった。渡り鳥のために残された柿とか。秋の静かな夕暮れ。枯葉と鳥の声だけの金毘羅神社で作家の鈴木さんに遭遇。展示場所を教えてもらう。キワモノイメージを持っていたが凄く紳士な方。ごめんなさい。神社に悪戯してるような作品は間違い探しみたいで結構くすぐられる。同時になにやら満ち足りた気分になった。なんとなくカフェに紛れて暗くなったので辞し。
 


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