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”衝撃” #174

 以前「作家・古川日出男さんを知る。」と題した記事を書きました。
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  この中で取り上げました本『ゼロエフ』(古川日出男著・講談社)を読み始めていまして、読み始めて間もなく受け取った ”衝撃” を今回は言葉にしてみたいと思います。お付き合いいただけましたら幸いですm(__)m。

 著者・古川日出男氏は、東日本大震災後、色々な人たちから何度も何度も同じ質問をぶつけられたのだそうです。質問の内容は、
「震災後、日本は変わると思ったのに、なぜ変わらなかったのか?」
ということ。その答えを、作家の性として努めて正確な回答を試みたい、として書いてあった文章がその衝撃でした。質問に対する2つの簡潔明瞭な答えがあって、それに続く文章…

~大衆(マス)の心性とは、天国は退屈で、地獄とは刺激的だ、と判断する類いのものである。私の心も同種の傾きを有する。これを「天国=復興」そして「地獄=復興しない被災地、被災県」と置き換えれば、事態はすっきり見通せる。復興報道は、たしかに多少は行われた、しかし紋切型だった。なぜならば、退屈なのが天国だから。そして、被災地、被災県にさらなる悲劇が萌せば(きざせば)、それは価値のあるニュースになる。なぜならば、「さらなる悲劇が起こりそうだぞ」と感じとるや人(大衆)はぞくぞくするから。そしてここから生じる問題も二つで、その一、ある程度の刺激はたしかに関心を喚ぶ、が、それが”恐怖”の域に達するや、人(大衆)は思考を停止する。

『ゼロエフ』古川日出男著・講談社より


 私にはどうしたら伝わるのだろう、伝えられるのだろう…と考えてきたことがあります。それは自らが抱えた苦しさ。誰かにわかって欲しかった私の苦しみ。苦しみから逃れるための術を教えて欲しい「心の叫び」。これはきっと私だけのものじゃない。きっと同じように苦しむ人はいるはず……そう信じて、私は伝わる文章を書けるようになりたいと思ってきました。
 上記の文章を読んで、手ごたえを感じられないのは私の技量の問題はもちろんあるでしょうがそれ以前に、人(大衆)が思考を停止させる域の内容だったのかもしれない、、、

「徹底した”恐怖”は忘却の駆動力となった」

『ゼロエフ』古川日出男著・講談社より

 徹底した”恐怖”の中に入り、ないモノとされる中に入っていたのかもしれない。

 今回のこの文章だけではなくて、古川日出男氏を知る前に、書いた記事「生き方の総決算のときのよう」でも同じようなことを書いていますが、
はっきりと線があったんだな……それが、目から鱗が落ちる”衝撃”でありました。
 
 これまでの、伝わる文章を書くにはどうしたらよいのかを考えていた最中、私は『死の刺』(島尾敏雄・作)を読んだことが思い出されました。
 実際にあったとされるドロドロとした事実そのままを書かれた 小説『死の刺』。事実を書くことが間違いではないみたいだけど、通っていた文章教室のお仲間や目にすることの多い文章とは何かが違っている、何か異質なものを書いているみたい……どう書いたらよいのだろう?と、長い間迷走し続けてきました。
 今回のこの『ゼロエフ』の冒頭部分を読んで、、、

 土壌が全く違っていたんだな…ということを理解しました。

 お陰様で、私はnoteというプラットホームで、迷走しながらも自分の中から出てくる言葉を、そのままに書き続けることができるようになりました。このような場に巡り合い救われたこと、心から感謝しています。
 

 その上で、もう少し本『ゼロエフ』から感じ、浮かんできていた言葉をここに記しておきたいと思いますm(__)m。

 思考を停止させている状態もまたラクではないと想像します。そうして、折り合いをつけ、社会の中で懸命に生きて来られた方が大勢いらっしゃり、そうした方々のご努力により成り立ってきた社会なのだと、私は想像しています。その多くの方々のご努力に感謝するとともに、停止させていた状態から動かし始めれば、弊害もあることと思いますが、その先に、本当の幸せがあるのではないでしょうか……。私はそう考え、皆様が幸せであることを願いつつ・・・すでに動き始めている人も多くいらっしゃるからこそ、私はこのような文章と出合えたのだと信じて、これまで通りの文章を書き続けていきたいと思っています。

 最後に。
 まだまだ読み始めたばかりの『ゼロエフ』です。また印象的なことが出てきたら書くことと思いますので、お付き合いいただけましたら幸いです(*^^*)。

 長くなってしまいましたm(__)m。
 最後までお読みいただきましてありがとうございましたm(__)m。


*1度アップしながら、何か文章がおかしいように思い下書きに戻し、書き直してみましたが、あまり変わり映え…ないかな。(2022年5月7日記)


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