その人次第

その昔、バイト先で仲良くなった子(M)のお父さん(離婚で別居)は、その道の人でした。
お母さんは、運転中に警察に止められて免許証の提示を求められた時、「にゃろめ(10年ほど前に流行っていた、なめ猫の免許証)見せてやったわ」とケタケタ笑うおちゃめな人でした。※なめ猫がわからない人は検索してね。

Mは手足にたくさんの傷跡があり、ド金髪で一見してやんちゃだとわかる風貌の子でした。
でも本当に心優しくて純粋で、私はMの事が大好きでした。
だから気にせず、よく遊びました。

Mは私と街を歩いていると、急にいなくなる時があって。
そんな時は大抵、「粒をすごく睨んできた奴らがいて、(目が悪い私が気付いてないから)調子にのってたからしばいてきた」とかいう、友達思いの?(そのせいで余計にそいつらから恨まれる私)良い子でした。


また別の昔、色々あって賃貸マンションを探しに行った時、無職だった私を心配した不動産屋の営業のSさんは社長にかけあってくれて、住む部屋と就職先を一気に解決してくれました。

入ってからわかったのですが、Sさんもまたご実家がそちらの道の方だったらしく、社長をはじめ大半が元そちらの人っぽい会社でした。
でもみんな一人暮らしの私を心配して、たくさんご飯もおごってくれたし、本当に優しくって、毎日楽しかった。

ある日の仕事中、理不尽なクレーム客の電話にひたすら謝り続けて、電話を切った後泣いてた私を見て、「うちの事務員なに泣かしとんねん」と即座に電話をかけ直して抗議?してくれた、社員思いの社長。

私が退職してから、「粒ちゃんいる間、(私に何かあってはいけないと神経遣って)ほんましんどかったわ」と言ったSさん。


世間的にはあまりかもしれないけれど、私はそんな人達に助けられたり支えられた時期がありました。

だから子供にも伝えるんです。
どこに属していようと、どこの出身だろうと、要はその人次第だと。
たしかにそういう傾向はあるかもしれない、でもそれで判断をしないこと。
そして私は、世の中そんなに悪い人ばかりではないと思っていると。

子供には、お母さんは優しすぎ、信じすぎだと馬鹿にされたりもするのだけれど。
それで良いと思うのです。


ただのおばはんのつぶやき、田尾 粒でした。

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