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コロナでバラエティ番組がヤマダ電機化してた件

4月からよ勤務先がようやくリモートワークに乗り出して、週に1~2日は自宅から仕事ができるようになりました。

おかげで片道1時間の通勤時間がなくなったのはありがたいのですが、毎朝電車に乗っている30分が集中して読書する時間だったので、ちょっと読書ペースが落ちています。家だと集中して読めないんですよね。頭に入ってこない…。

そんなわけで自宅の居間でテレビ番組を観る時間が以前よりも増えたのですが、いくつか気づいたことがあったので書いてみます。

①テレビ番組がリモート対応してた

リモートワークのおかげで朝ゆっくりできるようになり、朝食後も始業時間までダラダラと朝の情報番組を観たりしてるのですが、出演者の数が少ない&間隔が空いてるんですね。今って。

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今までスタジオに来て出演していたタレントや専門家は、皆自宅やどこかからリモートで参加してました。ああいう人たちって、生放送だから放映の何時間か前にスタジオにいって台本とか打合わせとか準備してるんじゃないかと思うんですが、それもリモートでやってるんですかね。台本書く人もリモート参加状態を想定して書いてるんでしょうか。

②既存資源をフル活用してる

いま新しい映像コンテンツが作れなくなってます。

考えて見れば当たり前なんですが、たとえばバラエティ番組で定番の「グルメロケ」や「旅ロケ」なんて、要するに集団で街に繰り出して現地の人やお店と交流することが醍醐味なので、いまやったらゼッタイダメなやつです。演者も現地の人も行きたくないし、来てほしくないでしょう。

私が好きなテレ東の「モヤモヤさまぁ~ず」も「YOUは何しに日本へ」も残念ながら今は休止してます。

バラエティ番組に限らず、映像を制作する作業も『三密』状態になるものは厳しいんでしょう。

4月からスタート予定だった新ドラマや新アニメは、続々と放送延期や中止を発表しています。

でも、テレビ局としては困りますよね。だって新ドラマや新アニメをやるつもりでスポンサーを募って放送枠を確保していたわけで。

で、どうなるかと言うと

こんな感じで、既存資産で穴埋めするわけです。

期待していた新作コンテンツが届けられない事態に遭っても、視聴者の関心が途切れないように、ある程度関連性のある既存作品が用意できるのはありがたいです。

でも、既存作品で場を繋ぐには限度がありますよね。

だって、自分のテレビ局が版権を持ってない他局の番組は使えないし、関連性の高い既存作品ばかりが都合よく用意できるとは限らないからです。
そもそも、既存資産の配信だけでいうならNetflixの方が圧倒的在庫量です。

こうなると、いまテレビ局にとって必要になってくるのは

「”三密”を避けて制作可能な、オリジナルの映像コンテンツ」です。

③テレビが映像コンテンツのショールーム化してた

「”三密”を避けて制作可能な、オリジナルの映像コンテンツ」とは具体的にどんなコンテンツなのか?

最近のバラエティ番組を観ればよくわかりますが、こういうのです↓↓

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これは日テレ系の昼のバラエティ番組「ヒルナンデス」の1コーナーで、

「プロ並み知識を持つ芸人がプレゼン対決」という企画です。

様々な特技を持った芸人がリモートで接続し、与えられた時間内に自分の「芸」をライブで披露していくわけです。例えば「手品」だったり「折り紙」だったり「バルーンアート」だったり。

その披露された「芸」を、これまたリモートで参加したタレント達がコメントしたり評価していくわけで、何ともシュールさを感じますが笑

この企画、一見すると、従来テレビ局のスタジオで芸人が一芸を披露していく類の番組(レッドカーペットや笑いの金メダル等)の延長で、それが単にリモート対応しただけのように見えるかもしれません。

しかし、このコーナーで一芸を披露した芸人とレッドカーペットで一芸を披露した芸人の間には大きな『違い』があります。

それは、彼らは「自芸の映像コンテンツを自分で制作できる」点です。いま、自分で映像コンテンツを制作できるスキルが非常に重宝されているということです。

そもそも、番組からこのコーナーへの出演オファーを受けた時点で、彼らは「一定時間内に、視聴者を飽きさせない映像コンテンツを提供できるチカラがある」と認められているわけです。それは彼らがこれまで自らの芸を映像コンテンツとして制作・発信し続けてきた積み重ねが評価されたからに他なりません。

もちろん、レッドカーペットで芸を披露していたような芸人でYoutubeチャネルを持っている人はたくさんいますが、しかし、そこで配信されるコンテンツは過去のコントやライブの映像、あるいは事務所やテレビ局の資源を前提としたものが多く、本人が独力でオリジナルの映像コンテンツを継続的に制作しているケースはそうそうないと思います。

ヒルナンデスを見た視聴者がこのコーナーを見て「あ、この人面白い!」と思ったら、Youtubeでその人が配信している他の映像コンテンツを探しに行きますよね。そんな時、独力でコンテンツを制作している人なら、こんな状況下であっても新しい映像コンテンツが展開できるわけです。

さて

「テレビ番組の1コーナーを見たことがきっかけで、Youtubeを見に行く」

ですが、このパターンって

「家電量販店で雰囲気を掴んだら、実際に買うのはAmazonで」

というパターンに似てませんか?

家電量販店はショールームとしては最適です。現物が見られるし、製品のプレゼンも充実してるし、短時間で雰囲気が掴めます。でも実際に買うとなると家電量販店の値段は割高でネットの方が安いです。だから型番だけ覚えておいて、帰宅してからAmazonでポチると。

Amazonに食われてすっかりショールーム化した家電量販店は、家電量販店でしかできない事を模索して生き残りを掛けてきました。

テレビ局もこのまま既存の映像作品だけではNetflixに負けるし、かといって個人で映像が作れる芸人に頼っているとショールーム化が加速します。

コロナショックが長期化することが予想される中、テレビ局は「テレビ局にしかできないこと」を『三密』を避けつつどう提供していくのか。

19世紀に「カメラ」が登場したことで「アート」のアイデンティティが大きく揺さぶられたのとちょっと似てる気がします(大げさ)。

なんてことを思ってたら、こんな記事が出てました。

過去の資産を消費してお茶を濁すにも、そろそろ限界が出てきたということですね。「テレビ局にしかできないこと」を追い求めて、これから意欲的な取り組みがどんどん始まるんじゃないかとちょっと期待しています。

おしまい。

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