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大怪獣のあとしまつ

 観てきました「大怪獣のあとしまつ」
 まだ公開したばかりですので極力粗筋には触れませんが、話の流れでちょっとネタバレもあるかもしれません。ごめんね。

 僕は、河崎実監督作品の初日舞台挨拶は有給取って欠かさず見に行くタイプの映画ファンですが、河崎実版の「大怪獣のあとしまつ」と言えば、そう、「三大怪獣グルメ」を想起される方も多いことでしょう。
 ひょんなことから怪獣の肉が意外とイケるということを知った人類が、国立競技場をドンブリにして巨大海鮮怪獣海鮮丼にしてしまうという、痛快低予算コメディー怪獣映画です。衝撃のラスト、合羽橋からアイツが出撃するなんて誰が予想したでしょうか(あのシーンで予算使い切っちゃったんだろうなぁ……やれやれ)。
 「大怪獣のあとしまつ」は、怪獣肉が美味しくなかった、むしろ臭かった世界線を描いた「三大怪獣グルメ」の姉妹作のような雰囲気の作品でした。そう、本作のジャンルは、紛うことなきコメディー怪獣映画です。違いは、予算と劇場数が段違いなこと、なべやかんが出演していないことくらいでしょうか。

(ちなみに河崎監督はnoteに色々たのしい記事を書かれていますので、とりあえず有料記事を全部買ってください。よろしくおねがいします!)

 三木聡監督も、僕がとても好きな監督の一人で、特に「時効警察」のシリーズは録画して繰り返し観て、好きな回はセリフを覚えているくらい大ファンです。一番好きな話は「帰ってきた時効警察」の第4話「催眠術は、推理小説にはタブーだと言っても過言ではないのに…」かな。アマプラで全話観られますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
 三木監督の魅力は、一撃必殺の大爆笑を狙うのではない、まるで浸透勁の奥義「双按」を喰らったかのように遅れてズシンと来る不思議な間を持ったコメディー表現だと思います。俳優さんの魅力や、ちょっと変テコな部分を強調して、全体として独特の笑いの世界観を作り上げるのが本当に上手だなと思うのです。

 「大怪獣のあとしまつ」の冒頭、ゆるい閣議のシーンで、時効警察でも名演技を見せてくれた、岩松了&ふせえりコンビが登場した瞬間、三木監督ファンとして、ボルテージは最高潮。
 中盤でオダジョーが登場するに至っては、
「もうこれ、実質、『時効警察 -The Movie-』やん!」
と、ひとり大興奮していました。
 三日月くんが見た変な夢みたいなオチも、観た瞬間はポカンとしましたが、三木監督らしくていいんじゃないかなと思います。

 「大怪獣のあとしまつ」僕はこの映画を最初から最後まで大変楽しく観させてもらいました。
 世間の酷評を散見しますが、おそらく全ての元凶は「シン・ゴジラ」を想起せざるを得ない予告プロモーションが生み出してしまった壮絶な勘違いです。僕は「シン・ゴジラ」も好きすぎて劇場公開中に3回観に行きましたが、この映画は「シン・ゴジラ」だと思って観に行ったら駄目なのです。だって「時効警察 -The Movie-」なんだもん。楽しむベクトルが全然違うよね。
 でも一方で、このタイミングで、あのプロモーションを打ちたくなる宣伝担当の気持ちも、分かるような気がします。「スパイダーマン」に「スパイダーVSマン」ぶつけたらみんなネタだって分かってくれるよね、くらいの気持ちでやったのに、デキが良すぎてみんな本当に勘違いしちゃったってオチ。そんな裏方の葛藤を想像しながら観るのも、楽しいかもしれません。

 本作、三木監督のファンはきっと、楽しめると思います。あと、世界一映画におおらかであろう河崎監督のファンのみんなも、たまには予算潤沢な映画を鑑賞してもいいのかもしれませんよ!(笑)

雑におわり


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丹沢 悠一(黒帯ゲームズ)
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