節目。
サラリーマン時代の最後に携わった2タイトルが同時期にサービス終了となります。僕自身は既に会社を離れているので、その判断に関わっていないですが、自分の人生の数年間、心血を注いだプロダクトの終わりを目前にすると、否が応でも様々な思いが去来するものです。
書ける話、書けない話、色々とありますし、特にコロナ禍の発生以降はアーケード業界的には辛いことばかりでしたが、暗い話ばかり振り返っても建設的ではないので、サラリーマンクリエイターで良かったと思う部分を振り返ってみたいと思います。
まず何より、無謀とも言える数々の企画にチャレンジをさせてくれたことは、本当に有り難かったと思います。可動筐体については、企画立ち上げから発売直前まで上司から猛反対されていましたし、新規に設計したカード筐体のデザインもリリースまで全くいい顔をされませんでした。バズを狙った某Twitterプロモーションも「やりすぎ」と、お叱りを受けましたし、全国行脚の交流戦や、ビッグサイトでの大会開催、ライブや居酒屋コラボ、秋葉原駅ジャックイベントなどの企画モノは、ほぼ全て反対を押し切る形で実施していました。
思い返してみると、上司にとっては、全く言うことを聞かない頑固で面倒くさい部下だったのだろうなと申し訳ない気持ちでいっぱいです。だけれど、最終的に予算承認してチャレンジさせてくれたのも上司だったわけで、今思えば最後の最後では、任せてくれたのだなと思うのです。
……いや、単に呆れて諦めていただけかもしれないけれど。
チャレンジする中で、成功したものもあったし、失敗したものもありました。成功してもほとんど給与は上がらなかったけど、逆に大失敗しても、賞与が吹っ飛ぶくらいで済んだのは、サラリーマンの特権だったと思います。また、企画に悩んで足踏みしている時期でも、きちんと毎月給与が振り込まれるというのは、フリーランスになった今にして考えると、とても贅沢なことだったなとしみじみ思います。収入的に安定した状態で企画を練りたいのであれば、会社に所属しているメリットは大きいです。
僕がフリーランスになって、早いもので9ヶ月ほど経過しました。今、僕自身はこの働き方のほうが自分のスタイルに合っていると感じていますが、同時に、サラリーマンでしかできなかったクリエイティブというのも確実にあったなと思います。
会社を離れた後、後輩や若手のゲーム制作者から「フリーランスと会社勤めのどっちがいいですか?」と聞かれることがあります。当然ながら、それはその人が何を実現したいのかに依ります。若い(若くなくても)ゲーム制作者さんたちは、ぜひ、自分自身の実現したいことを見据え、そこへの近道を見つけて突っ走って欲しいと思います。
自身にとって一番良い環境で、面白いゲームをどんどん作りましょう!
===以下おまけ(フリーランスの懐事情に興味がある人向け)===
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