鍵盤奏者はなぜ少ないのか?
今宵の担当: noriです。
表題の件ですがプロの場合ではなく、アマチュアもしくはセミプロ(もはや死語かな)がバンドを組もうとした場合にスカウトするのに一番苦労するのはキーボードだと言うお話です。
ワタシの経験から言えば、これはバンドサークルに所属していた大学時代から現在に至るまで変わりません。高校時代はワタシがキーボードだったので感じていなかっただけで事情は一緒だったのかも。
これだけ大概の人がピアノやエレクトーンを習った経験を持ちながらも、なんでそんな事になっているのか、いくつか要因を考察してみます。
他の楽器に転向してしまう。
まずワタシがそうです。幼少期にエレクトーンを一年半ほど習いその後中学生から再開しました。
大学以降はギターを演奏する機会の方が多くなり、社会人になってからはサキソフォンなどの管楽器中心になりました。
ロックなんかだとプログレでもない限り地味なパートだし、特にハードロックなんかやっているとキーボードが弾けるスキルがあるとエレキギターに行きますよね。
ワタシはジャズを始めたのですが、ピアノやギターでジャズを弾くスキルはないので、単音のサキソフォンならなんとかなるだろうと思ったのでしょう(笑)
要するに他のもっと楽しそうなパートに行くんです。
応用が効かない。
楽譜があればピアノ弾けます、という方は結構いると思うんですよ。
よく「鍵盤奏者は探すのが大変」と言うと、「ピアノやってた人なんかたくさんいるじゃない」と言う人がいます。
クラシックピアノ習っただけではバンドのキーボードは出来ません。
まずコードが分からないって言うんですね。
ま、コードはちょいと学習すれば良いのですが、次は譜面がないと出来ないって言うんですね。
聴音のトレーニングをしたりして音感は良いかと思うんですが、楽曲をまるまる耳コピするって教育はないんでしょうね。
シンセサイザーが分からない。
ま、これは仕方ない。
ピアノとシンセサイザーは本来違う楽器、シンセサイザーのコントローラーとして最初にキーボードが採用されたがためにキーボーディストの担当になっちゃったという歴史があります。
かつて楽器雑誌のバンドメンバー募集欄でメンボしていた時代、「ピアノとシンセ両方弾ける人」という条件をよく見ました・・・そんな奏者はメンボではまず見つからなかったでしょう。
今でこそ安価なシンセサイザーもあり、音色を作らなくてもプリセット音でそこそこ対応できますが、昔のシンセサイザーは高価かつ操作も難しかったので(音色作りには多少なりの音響物理に関する知識が必要とされました)「ピアノが弾けるから」と言うだけで、そのような労苦をキーボード奏者に強いるのも酷な話でした。
エディ・ジョブソンみたいに音楽と物理が得意だった人にはシンセサイザーは理想的な楽器だったので、音作りも演奏でも巧みに操れるんでしょう。
日本でもプロであれば坂本龍一氏や難波弘之氏のように幼少期よりピアノを学習し、かつ優れたシンセサイザー奏者にもなる方もいますが、アマチュア・セミプロレベルだとYMOとかTMネットワークとかを聞いて学生時代から鍵盤を始めた人の方がバンドでは活躍しているように思います。
その他を鍵盤に任せすぎ。
ギター、ベース、ドラムとかはそれぞれのパートしか担当しませんが、バンドにメンバーがいないストリングスだったりホンセクなんかがあると、「キーボードでよろしく」ってことになりがちです。
昨年近所の広場でクレイジーキャッツのトリビュートバンドか演奏していたのですが、ストリングス、ホンセク、パーカッション、ボケの効果音など昭和歌謡に必要な「その他」を一台のキーボードだけで演奏している鍵盤奏者がいて大変感心しました、あんな方は滅多にいません。
じゃぁどうすりゃいいのよ、が結論としてあるべきなんでしょうが、今のところありません。
我がコダヌキではワタシかシホさんが仕方ないから弾いています。どうすりゃいいのか分かっても公開しないでしょうね・・・ハハハ(笑)
今宵の一曲:U.K. / In the Dead of Night (1978 / EG)
前述の音楽と物理が得意だったピアノもシンセも弾ける人の最高峰(?)にしてプログレの貴公子、エディ・ジョブソン率いるU.K.の代表曲を。
若き日のアラン・ホールズワースもご覧あれ。
今宵の担当: nori