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タヌキの親子見聞録 ~萩往還編~

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萩往還とは、江戸への参勤交代での御成道として開かれた、日本海に面した萩城下町(萩市)から瀬戸内海の海港・三田尻(防府市)までを結ぶ、全長約53㎞の街道。たぬきの親子による歩破記録。
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2023年5月の記事一覧

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編~ 外伝 参 藍場川散策

 萩往還第4弾 明木市~唐樋札場跡 の時に、歩くのが精いっぱいで、よく見ることができなかった藍場川を散策してみた。  藍場川とは、18世紀半ば 6代藩主毛利宗広が、参勤の折に岡山城下に立ち寄った際、岡山城下で瀬戸内海に注ぐ吉井川から、城下へ倉安川という大きな溝を掘って水を引き入れ、生活に活用されていたのを真似て、延享元年(1744)、農業用水路程度であったものを川舟が通れるように大きく開削したもので、2.6キロメートルにわたり市内を縫うように流れている。  萩市では、大川(

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編~ 外伝 弐 まぼろしの明木まんじゅう

 萩往還を歩くために集めたパンフレットの中に、「明木まんじゅう」について載っていた。調べてみると、「明木まんじゅう」は萩市明木の名物で、自然の素材だけで作られたその味は、毎日食べても飽きないおいしさということだ。これはぜひとも食べてみたいと思った母ダヌキは、一週間後、タヌキ一家によびかけ、「明木まんじゅう」を探すことにした。  「明木まんじゅう」は、なぜ「まぼろし」かというと、めったに売られていないからだ。唯一売られているところは、国道262号「農産加工販売所つつじ」である。

タヌキの親子見聞録 ~萩往還編④~ 明木市~唐樋札場跡

第1章 兄ダヌキ苛立つ  2022年のお盆は、新型コロナ感染症が拡大し、患者数も特に多くなった。タヌキ一家は、普段なら同県内の母ダヌキの実家に泊まりに行くのだが、それさえも控えておいたほうがよいだろうと判断されるぐらい、周りの人々が新型コロナに感染していた。そのため、今年のお盆はやることがない。萩往還第4弾となる、明木市から萩往還の起点である唐樋札場跡のルートを歩くのに絶好の機会であった。しかも、コロナ禍のお盆ということもあって、観光地といえども人がほとんどいないだろうから