北口

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6月の思い出

■アンティーク 日曜日、よく晴れたので車を借りて多摩のアンティーク家具屋へ行った。ひとりで高速に乗るのももうお手のもの。お目当てはかわいい卓上のオーガナイザー。店舗の前庭で開店待ちをしている間、入り口にかけられた白い布がたなびくようにゆれるのを眺める時間があった。中は思った通りの四角いガレージで、椅子や藤のバスケット、知らないが有名だろう照明、もちろん木彫りの熊などがあった。ほしかったオーガナイザーと一緒に、真っ赤な側に白い盤面、緑の数字のゼンマイ式トラベルクロックも購入。レ

    • 養老牛の思い出

      北海道を移動すること車で4日、われわれの間に対話はもうなかった。 いまやわれわれの娯楽といえば、オランダせんべい(見た目は小さなマンホールで、その歯ごたえは子どものころ抜歯後に噛まされた脱脂綿を思い出させる)で自分の歯の頑健さを試すことか、通り過ぎる橋々の名前を読み上げることに限られていた。 この日のスケジュールは、午前中に秘境とよばれる青い小さな池と、有名な湖の人知れぬ展望台をめぐり、午後、300キロ先のコテージへ向かうというものだったが、前半の目的は2度の交通規制(道路

      • 会社の帰り、スーパーで蟹を見つけた。ズワイガニで、555円だった。店内の右奥、鮮魚コーナーのさらに一番端にあるケースには、くらげだの亀の手だの、他の店(上野吉池を除く)で見かけないものばかりがいつも並んでいる。三日に一遍はこの店に来るが、そのたびこのコーナーの顔ぶれは変わっている。鮮魚ガチャ、そう心の中で呼んでいる。「もしかして今日はSSレアの日なんじゃないか」と、そう思ったが、俺はスマホゲームを全然しないので、この喩えが俺におけるズワイガニのレア度を的確に言い得ているのかは

      6月の思い出