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百人一首20番/この身が滅びようと君に会いたい物語

こちらの歌も、またまた悲しい恋の歌。
この身が滅びようと、あなたに会いたい気持ちを強く表した一句。

恋人に会えない=心も体も捨てたも同然だと言い切るこの歌にとてつもない依存性を感じてしまうところだが、またまたこの気持ちも分からんでもない。

愛を覚えれば覚えるほど、恋人を求めれば求めるほど、
まるでこの身が爆発していくように粉々になっていく様をイラストで描き起こしました。

ボロボロになった体を繋ぐのは、魚の骨・包帯・少しの花・彼女を支える中心には猫を。

体がスカスカになろうともタバコを吸う女性は、昔の自分を少し重ねた。
破滅寸前でもスカスカになろうとも、その中身はやっぱり自分が信じているものでなんとか我を保っている様を描いている。


20番.歌の意味と解釈

No.20
わびぬれば 今はた同じ 難波なる
みをつくしても あはむとぞ思ふ
元良親王(もとよししんのう)

▼歌意
身を滅ぼしてでも会いたいという激しい恋心。
うわさが立ち、逢うこともままならない今は、もはや身を捨てたのも同じこと。それならばいっそ難波潟の「みをつくし」ではありませんが、この身を捨ててもあなたにお逢いしたい。

嵯峨嵐山文華館より

16番.狸オリジナルの解釈とことば

▼狸/オリジナル解釈

愛を覚えれば覚えるほど
星が砕けて散るように
この体はバラバラになって
時に真っ赤に燃え上がる。

この身ひとつ滅びたところで届かない想い

42kgの小さな宇宙で小爆発を繰り返しては
私をまたひとつ消してゆく。

狸翻訳

「42kgの小さな宇宙」は私の体重、体積を表しています。
この体積を宇宙に例え、恋人を想うたびに小爆発を繰り返しては私の細胞を消してゆく。
宇宙の原理で言うと、小爆発を起こす=新たな星が生まれる。ビッグバン方式💥
あなたのためだけに身を滅ぼすのはまっぴらごめんだ、という私の小さな抵抗を狸版現代翻訳に入れた。

みんなそんなに弱くないはずだ。(と、信じたい。)
傷つきながらも誰かを求めて、叶わないとしても燃やして生まれてまた新しい自分を形成していきたい!

私はどこかに希望を残す翻訳をしがちかもしれない。
百人一首のほとんどは恋の歌が多い。
その中でも片思い、離ればなれ、孤独の歌が多いのだが、あまりにも絶望的な翻訳になりそうな時、少しの光や希望を残したい。

それは果たして正しい翻訳なのか?と思うけれど、そのままの翻訳にもっと愛も光も乗せたい!!と思う。

悲しいことに共感することより、ハッピーに共感する方が難しいと、歌や文章を書いていて思うことがある。

この一句については、身を滅ぼした中身を描きつつも、なんとか己を繋ぎ止めようとする包帯、魚を食べたあとの骨🦴、猫に守られている心臓🫀。
わたしの少しの希望と描いたもの。

狸(TANUKI POJRCT・Orie Tamura)




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