オミクロン株XBB.1.5、CH.1.1、CA.3.1による中和抗体の免疫回避について
オハイオ州立大学のチームから、今米国で増えているXBB.1.5やBA.2.75から派生したCA.1.1やCH.3.1が中和抗体(ワクチンなど)に対してどのくらい免疫回避しているのかを調べた論文がプレプリントから。
結論としては新しいオミクロン変異株のサーベイランスを引き続き実施することとそれらに対してのワクチンの有効性を確認していくことは大切という内容。
Extraordinary Evasion of Neutralizing Antibody Response by Omicron XBB.1.5, CH.1.1 and CA.3.1 Variants
以下、一部を解説。
この研究では、3回ワクチンを接種した医療従事者、オミクロン株ブースターを摂取した医療従事者、それからBA.4/BA.5流行中に感染してしまった人からの血清中の中和抗体を評価しているものです。
その結果、これらのオミクロン株たちは3回接種のmRNAワクチンで刺激された中和抗体からほぼ完全免疫回避がみられましたが、オミクロン株ワクチンでは中和抗体能が見られました。しかし、CH.1.1およびCA.3.1は、いずれのmRNAワクチン接種に対して高い抵抗性を示していました。BA.4/5流行中の感染者の血清による中和抗体能を調べたところ、免疫逃避が認められています。しかし、XBB.1.5は最近優勢になっているBQ.1.1ほど中和抵抗性を増強することはなかったということです。
XBB.1.5については細胞への感染実験で他のオミクロン株に比べると感染しやすいことから人々の間で広がりやすいことは言えるかもしれませんが、重症度にはそれほど影響しないかもしれないと。
論文の限界としてはサンプル数(14ー20人)がやや少なかったことが述べられています。
新しいオミクロン変異株のサーベイランスを引き続き実施すること、それらに対してのワクチンの有効性を確認していくことはこれからも重要のようですね。
注意:プレプリント(MedRxivやBioRxivなど)は査読(ピアレビュー)前に公開されている論文
画像:PIRO4D https://pixabay.com/users/piro4d-2707530/