性風俗産業 不健全なオシゴト?
性風俗産業を、特別応援しているわけでも反対しているわけでもないのだか、気になる気を見つけた。
「性風俗業は本質的に不健全」と。
新型コロナウイルス対策で支給される持続化給付金や家賃支援給付金の対象から性風俗事業者を除外したのは、法の下の平等に反し違憲だとして、関西地方でデリバリーヘルスを営む会社が給付金の支給を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、東京地裁で開かれた。被告の国側は「性風俗業は本質的に不健全。支給の対象外としたことは合理的な区別だ」として争う姿勢を示した。
きっと脱税や暴力団の資金源というイメージからこういう結論になるのかしら。
実際どんな営業をしているのか私は知らないし、すべての仕事を知っているわけではないが、世の中不健全なことはきっといっぱいある。
性風俗残業だけ不健全とするのもなんだかかわいそうだ。
たしかに飛沫感染・接触感染で広がるので、新型コロナウイルス感染症の流行においては、いわゆる「夜の街」のような対面的なサービスはリスクが高い。
アジアのいくつかの国では営業を止めているところもある。リスクは高いので、他の仕事に就ける人は多少お給料は減るかもしれないが、ひとまず離れてもいいと思うし、働けない人はセーフティネットを利用できるといいと思う。
同じように持続化給付金や家賃支援給付金の対象にもしてあげればと思うが、国はそうは考えていないようだ。
日本以外の世界でも同様のことは起こっていて、公的な支援を受けることができない当事者も多い。合法・非合法や、以前にも述べた納税のことにも関わっている。
日本も世界も「不健全」としている人々にはとことん冷たい。
ただ禁止・自粛というだけではなく、ハームリダクション(リスクを下げて行動する)という視点から、どうしても仕事しないといけない人たちのために、サポートするようなガイドラインが海外のいくつかの国から出ている。たとえばカナダでは、Canadian Drug Policy Coalition(カナダ薬物政策連合)という政策提言団体から、
Sex Work. COVID-19: Guidlines for Sex Workers
https://www.drugpolicy.ca/wp-content/uploads/2020/03/03.19.20-Sex-Work-and-COVID-19-2.pdf
ここには、セックスワーカー、お客さん、お店の人たち、そして支援団体向けのガイダンスが出ている。
具体的には、感染経路を断つ感染症対策は基本(ここでも手洗いは基本だ)で、その中で唾液の感染を防ぐためにキスを避けたり、できるだけ対面しない体位を選択するようにと。
いわゆる騎乗位のことを英語で「カウガール(cowgirl)」っていうなんてはじめて知った。
もうひとつおもしろかったのは、お客さん向けのガイダンスに「チップをはずめ」や「『危険なサービスだから』と断わられても、腹を立てるな」と。
我慢だ。
翻ってみると、我が国の内閣官房の業種別ガイドラインにはそのようなものは見つからなかったが、以前AbemaTVでみたswashという支援団体にはカナダのガイドラインに似たようなものをみつけた。
しないことが一番の感染予防だけど、それでも仕事しないといけないときはリスクをできるだけ減らそうと。
書いてあることは基本同じだ。業種別ガイドラインが掲載されていないのは、いろいろな理由があるかもしれないが、坂爪さんの本にもあったように当事者による組合や結束力のようなものがないのかもしれない。
どの仕事にも言えることだけど、新型コロナウイルス感染症の流行以前には、きっとみんな今ほど体調に気をつかってなくて、現代の遊君たちはちょっとくらい風邪ひいていてもお仕事を営んでいただろう。
逆にサービスを購める側も、体調悪くとも足を運んでいたと思うのだけど、典型的な性感染症だけではなく、飛沫感染の代表選手であるインフルエンザやRSウイルス感染症が広がったりしていなかったのかしら。
みんなが体調に気をつかって無理して職場に出てこなくてもいいような世の中になることはいいことだ。
新型コロナウイルス感染症の流行がおさまったとしても、具合が悪い時は無理せずステイホーム。
きっと健全な社会に向かっている。
変異株のことは気になるが、ワクチンがよりいっそう導入されてCOVID-19の収束がすすめば、また世の中はもと通りに近づき、よりよくなるだろう。
(写真はベトナム北部で撮ったホテルの写真。不健全な営業をしているわけではない)