世界中の人々に公平に新型コロナウイルスワクチンを提供できる仕組み、COVAXファシリティについて
転職して情報源からかなり離れているのでまちがっていたらごめんなさい…。
秋頃から新型コロナウイルスワクチンの臨床研究の結果の一部が少しずつニュースになってきて期待が高まっています。
現在COVID19ワクチン候補は100以上あり、そのうち20以上のワクチン候補が臨床試験に入っています。
それぞれの国は早期の医薬品承認の仕組みを検討しています。
もちろん承認されたとしても、市場販売後のワクチン接種の効果や、ワクチン接種による長期的な影響、ワクチンを輸送するためのコールドチェーンなど、さまざまな課題は残っていますが、新型コロナウイルス感染症対策に向けて、世界が少しずつ前進しているのは世界中の人々にとっていいことだと思います。
世界保健機関(WHO)は、2020年4月、新型コロナウイルス対策としてACTアクセラレーターを掲げ、このACTアクセラレーターには、診断、治療、ワクチン、そして医療施設の強化の4つの柱(ピラー)が含まれます。
感染症対策において、ワクチンは重要なピラーのひとつです。
一般的にワクチン開発には長い時間と巨額のコストがかかります。
高い開発技術も必要とされるため、開発できるのは先進国のメガファーマのような国際的な製薬会社が多く、実際に現在、医薬品承認にたどり着きつつあるのは米国や欧州の大手メガファーマです。
またせっかく製造販売されても、お金のある国がワクチンを買い占め、自国民のためだけに利用されてしまうと、途上国の人々は恩恵を受けられず、新型コロナウイルス感染症対策の格差がますます大きくなる可能性があります。
グローバル化が進んだ世界全体で感染症対策を取る必要があることから、一部の国がワクチンを独占するような状況になってしまってはいけないでしょう。
そこで、開発されたワクチンを世界中で効率よく公平に分配するために、世界保健機関(WHO)と、ワクチンの官民連携パートナーシップであるGAVIアライアンス、CEPIが主導して、COVAXファシリティという仕組みを作りました。
※Gaviアライアンス:子どもたちの予防接種プログラムの向上をミッションとしているアライアンス。ビルゲイツメリンダ財団がサポートしているので有名ですね。
※CEPI(感染症流行対策イノベーション連合、Coalition for Epidemic Preparedness Innovations。「セピ」と呼んでました):エボラやジカウイルス感染症など、世界で脅威となる感染症のワクチン開発を促進するため、2017年1月のダボス会議(世界経済フォーラム)において発足した世界の官民連携パートナーシップ。
英国、ノルウェーなど、日本政府も立ち上げに関わっています。こちらもビルゲイツメリンダ財団が関わっています。(厚生労働省の説明が詳しいです)
(GAVIやCEPIなどについてはまた機会があればそのうちNoteに書きます)
COVAXファシリティとは?
COVAXファシリティ(COVID-19 vaccine global acccess facility) とは前述したWHO、GAVI、CEPIが主導で行っている新型コロナウイルス感染症のワクチンを共同購入するための国際的な仕組みです。
日本は9月15日に参加に係る拠出金への予備費の使用についての閣議決定がなされたことを踏まえて、参加することになりました。
現時点で、欧州や日本を含む150以上の国と地域が参加しており、これは、世界の人口の64%をカバーすることになります。
この共同体に参加することで、すでに個別の供給契約を結んだ候補ワクチンが失敗に終わっても別のワクチン供給を確保することができて、保険のような役割を果たします。
高所得国の拠出金は開発や製造設備整備に使われます。また低所得の国や地域はGAVIからの寄付金によってワクチンが確保できるようになります。
COVAXファシリティは、年内に20億ドルを集め、世界中にワクチンを配布することを目指し、2021年末までに20億ドーズのワクチン開発を目指しています。11月には欧州連合、フランス、スペインからビルゲイツメリンダ財団から3.6億ドルの拠出が決まっていますが、2021年の低中所得国へのワクチン配布のためにさらに50億ドルの調達が必要なようです。
今のところ米国、ロシア、中国は参加していないようですが、また状況次第で変わってくるかもしれません。中国やロシアは自国で開発したワクチンをそれぞれで提供することを検討しているようです。
中国は不活化ワクチンを開発しており、ロシアではスプートニクVというワクチンが開発され、すでに国内では承認されているようです。
COVAX: Ensuring global equitable access to COVID-19 vaccines
英国ではすでに米国ファイザー・ドイツのビオンテックのワクチンが承認され、米国では早ければ12月上中旬に承認となるようです。効果・副反応や輸送の方法、接種者のプライオリティ(優先度)も含め今後の動向が注目されます。