砂利の味も悪くねぇ。2度目のRonde van Vlaanderen Challenge 後編
みなさんこんにちは。
今年は花粉の被害が少なめで助かったと思っていたら今月に入ってエグいくらい花粉の被害に遭っているKです。
今回は前回、前々回同様に3月30日にベルギーにて参加したロンドファンフラーンデレンの話を書きます。
『もう5月だぞ、いつの話書いてんだ』と思う方もおられるとは思いますが、気にせずお付き合いください。
それと、先に書いておきますが文字数がとんでもない事になっています(いつものこと)
頑張って削除してこの字数です。お覚悟ください。
準備の話
前編、中編
今回のルート
中盤なのにラスボス登場
降り続けた雨が止んで少しずつ青空が見えた15時頃、180km地点の休憩エリアを出発します。
ここから約3kmの道のりを走行すると今イベントで最も難所と言われる区間に入ります。
『もうすぐだなぁ』と思いながら顔を上げて左側を見るととんでもない光景が目に入ります。
あまりの斜度に空いた口が塞がりません。
絶望への近道、その名もコッペンベルグ
距離は500mとかなり短めではありますが最大斜度は22%、そして開始から終わりまでが全て石畳の超鬼畜区間でもあります。
当然ながら路面が濡れているので立ち漕ぎができません。
更にこの区間から全ての部門の参加者が混在して走行する事になるので運が悪いと人の壁が出来上がり全く進む事ができなくなります。
K「ここまで来た!やるしかねぇ!」
昨年の自分を超えるために、意を決して大勢の人達に応援されながら坂道へ突っ込みました。
誰だよ、これ考えたやつ
上る前から分かってはいましたが見える参加者は全員歩いています。
なぜか途中に大型電光掲示板が設置されています。
どうやら頂上付近の参加者達の映像を映してくれているようです。
そして写っている人達も全員歩いています。
なんでここで絶望感を煽るような事すんだよ。
そんなツッコミを心の中でしつつ、人には見せられない顔で上っていました。
脱落した参加者達は律儀に皆右側を歩いてくれます。
しかし中には左側を歩く参加者もいます。
そうなると進む事ができなるなるので後ろからほぼ怒鳴り声に近い掛け声で進み続けました。
K「どいてくれ!!通してくれ!」
掛け声の全てが日本語です。
参加者達は理解できるわけがありません。
しかし前に進みたいと言う気持ちは伝わっているので参加者達がどんどん道を開けてくれます。
私同様に意地でも上りたい人達も同じ様に怒号を発しながら上っていました。
ついに昨年辿り着く事ができなかった最大斜度区間を通過します。
K「次だ!次!」
このまま頂上まで一気に上り切るつもりでした。
しかし私の運はここまでだったようです。
左側を歩いていた人を無理やり追い抜いたら勢い余って一気に右側の壁側まで突っ込んでしまいました。
K「やべっ!」
なんとか軌道を修正しようとするも時既に遅し。
自転車が完全に倒れてしまったので足をつく事になってしまいました。
K『やちまったー』
最大斜度区間を完全に通り過ぎた後だったのでちょっと残念でした。
しかしここでうだうだ言っても仕方がありません。
すぐに気持ちを切り替えて自転車を押し始めました。
後ろから必死の形相で上っている人を応援しながら50m程歩き、なんとか自転車に再乗車できる場所まで辿り着きました。
すぐに自転車に乗って頂上まで上り切ります。
K「降りちまったのは仕方がねぇ。よし、次へ行こう」
すぐに次へ向けて走り始めました。
終わったと思ったでしょ
コッペンベルグを終え、次の区間へ移動します。
昨年はここでイベントをリタイアしたのでここからは完全に未知の世界です。
しばらくの間はのんびり走行できると思いながら左折をしました。
またまた石畳が始まります。
K『うへぇ😖』
しかもかなりの落差がある石畳区間でした。
この区間ももちろん横に柵がないのでコースアウトをした場合は楽しく草むらへダイブです。
そして思った以上に長い上り区間があります。
これが思った以上に疲れます。
ヒーヒー言いながら走行した後は線路へ。
石畳区間が終わってくれたので少し安心しました。
K「あっ、終わってくれ…ないんかーい!」
石畳はまだ続くそうです😭
隣の人も同じようなツッコミをしていました。
初見でこれはきついです。
合計2.5kmの区間を終えようやく舗装路に入りました。
K「あぁ、文明開化だ…」←(この言葉が何故か口から出た)
まだまだ続くよ!
ようやく終わったのも束の間、間髪入れずに上り区間が始まります。
上り坂だけならなんとかなりそうです。
やってまいりました。
石畳です。
K「またかーい(笑)」
斜度5%でかなり道が狭いです。
そしてここも距離が長いです。
このコースは横に溝があり、そこへ避難する事で石畳区間を半分やり過ごす事ができます。
疲れてしまった私も避難しようとしましたが他の参加者達で埋まっていて入る事ができません。
結局石畳です。
疲れと揺れで目が回りそうです😵💫
K「もう勘弁して欲しいんだけど」
結局最初から最後まで1人虚しく石畳走行です。
長かった石畳が終わり、ようやく平坦区間に入り…ません。
もう1発石畳の上りが待っていました。
主催者は私達に恨みでもあるのでしょうか?
最後の休憩エリア
201km地点、このイベント最後の休憩エリアがあるロンセに到着しました。
いつもの様にバナナコーナーへ直行です。
K「せっかくベルギー走ってんだからワッフルも食べておくか」
と言うことでワッフルも食べました。
美味しいのでポーチにも突っ込んでおきました。
奥へ行くと何やらホースが設置されています。
どうやらここで自転車を洗車する事ができるそうです。
道中でクランクやチェーン周辺が泥でキーキーと嫌な音を発していたのでここぞとばかりに洗車します。
自転車も綺麗になってちょっと嬉しそうです(私の主観)
綺麗になった自転車を横目に残りの距離を確認します。
残すは33km。
K「あと少しだ。頑張ろう」
自転車に語りかけながら気合を入れます。
そして再び走り始めました。
休憩からの落差激しくない?
出発後、すぐに上り坂を走行します。
街並みは綺麗ですがやってられません。
そして当たり前の様に石畳が現れます。
こいつももちろん上り坂です。
どんだけ上らすねん。
これだけ上り坂を連発されたら当然脚も疲れてきます。
休憩させたいのか脚を削らせたいのかよく分からないロンセを抜けて再び静かな道を走り始めました(もちろん上り坂)
静かな道とは?
この区間、長すぎんだよ
216km地点、しれっとあいつが現れます。
このイベント3つ目の難所区間、オーデクワレモントです。
距離は1.8km。
他の区間以上に道が狭く前の走者を追い抜く為にはかなりの覚悟が必要な場所でもあります(雨は止んだが路面がぬかるんでいるのでよそ見をするとタイヤが石畳に取られて転倒する)
それと、恥ずかしながら途中までいつもの石畳区間だと思って走行していました(斜度がなかった為)
観客が大勢いたので『あっ、ここクワレモントか』と気づきました。
石畳とは別の問題にやられた
思った以上に道が滑ります。
そして石が凸凹しているので走行するのにかなり神経を使いました。
しかしここで思わぬ問題が発生します。
前の人が遅すぎます。
抜かしたくても後方からは速い人達がかなりの強度で私を追い抜いていきます。
後ろを確認したくても思った以上に路面が滑るので後ろが向けません。
思い切って車線を変えようかと思いましたが万が一後方の走者と被ってしまった場合、接触して転倒してしまう恐れがあったためそのまま前の人の後ろを追走せざるを得ない状況になってしまいました。
あまりにも遅すぎてこれ以上追走すると危ないと判断した私は意をけして後ろを確認、誰も来ていない事を知るとすぐに車線を変えようとしました。
その時です。
なんと前の人がブレーキをかけたのです。
後輪と前輪がほぼ重なっていた状態で走行していたため接触すると判断した私は慌ててハンドルを切りましたが運悪く前輪が滑ってしまい転倒しそうになってしまいました。
K『やべぇ!』
幸いな事にすぐにペダルと靴が離れてくれたので(靴はペダルに固定されている)転倒は免れましたが、まさかこんな所で脚をつかされる事になるとは思ってもいませんでした。
後ろの人を巻き添えにしなくて本当に良かったです。
K「もー!なんでこんな所でブレーキすんだよ!」
降りてしまった自分とブレーキをかけた人に怒りつつもペダルを固定してすぐに走り始めます。
(その人は知らぬ顔でそのまま走って行った)
長くない?
再び走行を始めて数分、思わず呟きます。
K「ここ長くない?」
実際の距離は2kmもありませんが渋滞していたこともあってか思った以上に道が長く感じられました。
観客の方々が応援してくれていたので気は紛れましたがやっぱり長いもんは長いです。
何分走り続けたかは覚えていませんがいつ終わるのかが分からない石畳にうんざりしながら走り続けました。
やっと終わったよ
石畳区間が終わりようやく舗装路に入りました。
K「長すぎだって、飽きちゃうよ」
思わぬトラブルと区間の長さに文句を言いながら再び走り始めます。
イベントの内容詰め込んだ?難所のテンポが早すぎる
オーデクワレモントを通り過ぎて約3km、穏やかな道を走って右に曲がったら石畳が現れます。
石畳にげんなりしつつも右を見るとPaterberg(パーテンベルグ)と書いてある看板が目に入りました。
最後の難所区間、パーテンベルグです。
さっきの場所から3kmしか走ってないんだけど(笑)
隣の方もおそらく初参加なのでしょう。
私と同じようにとても驚いていました(そりゃそうだ)
思った以上にここやべぇ
距離は80mしかないのであっという間に終わります。
どう見てもコッペンベルグ並みの壁の様な坂道が見えます。
距離は5分の1しかないのに物凄い高い位置に前の走者が見えます。
K「この短い距離であの斜度上るんかい(笑)」
笑うしかありません。
エグいって
序盤はのんびりペダルを回していましたがここで問題が発生します。
脚が攣りそうです。
休憩エリアでしっかりと補給と休憩をしてきましたがさすがに身体が悲鳴を上げていたようです。
いつ攣ってもおかしくない状況で困り果てた私は試しに立ち漕ぎをする事にしました(立つ事で使う筋肉を変え、疲労を分散する事ができる)
今までは路面が濡れていたのでペダルに体重をかけると後輪が空転して転倒する恐れがありましたがこの時は乾いていたので立ち漕ぎをする事ができました。
そして中盤の激坂区間に突入します。
イベント後半にこの斜度はマジでやばいです。
そして脚が「もう我慢できないから攣るね!」と元気よく教えてくれているのがよくわかります。
(攣るの)もうちょっと待って。
この斜度(20%)で攣ったらさすがに転げ落ちるって。
幸いにも走行していた左側にはイベントスポンサーの手すりがあります。
いつ攣っても良いように左手はすぐに手すりに掴まれる準備をしながらペダルを踏む強度を上げました。
K「頼む(脚)後少しだ!」
脚「じゃあ攣るね!」(大腿部ビーン)
K「攣るんじゃねぇ!!」(全力で大腿部を殴る)
予想通り攣られたら最も危ない場所で攣った大腿部(ふともも)を即座に全力で殴りそれを無かったことにした私は坂道を最後まで一気に上り切りました。
何かを得るためには痛みは必要だよね
上り切る事に成功した私はその場でペダルから脚を外して大腿部を伸ばします。
あまりの痛さに(主に殴打)変な笑い方をしていました。
隣の参加者の引いた顔が今でも忘れられません。
見なかった事にしてくれ。
K「あと13kmだ。後少しだ。頑張ろう!」
そしてゴールへ向けて出発しました。
気は抜くなよ
パーテンベルグを出発しエスコー川を渡った後はゴールまでほぼ一本道です。
余程の事がない限り必ずゴールまで辿り着けます。
しかし最後まで気は抜けません。
昨年参加したパリルーベにて残り2つの石畳区間を残してディレーラーハンガーがへし折れ(度重なる石畳の衝撃に自転車が耐えられなくなった)残りの数kmを自転車を押して走る羽目になりました。
『今回ももしかしたら…』と不安になりながらもペダルを回し続けます。
そして自転車のチェーン付近からは再びキーキーと変な音が鳴り響いています。
K「よく頑張ってくれた、後少しだ。一緒に頑張ろう」
今回はずっと誰かの後ろについて走っていましたこの時だけは完全に1人旅です。
心は元気ですが脚はもう限界のようです。
後ろから来た他のローディー達の後ろに付いて行く力はもう残っていません。
それでも確実にゴール地点へ向かって進み続けました。
長い旅路の終着地、オーデナールデ
223.5km地点、ついにゴールゲートが見えてきました。
残り500mをのんびり走行していましたが他のグループに追い抜かれます。
よく見ると仲間同士で並んで喜んでゴールしています。
K「やっぱりゴールする時は誰もいない写真、撮ってもらいたいよね」
ここまで来たらそんな事を考える余裕もあります。
後ろから来る人達にどんどん前に行ってもらい私も1人でゴールしようとしました。
しかしゴール直前、後ろを見たら凄い集団が迫ってきます。
K「やべっ、あれは(人が)多すぎるわ。あれ待ってたら時間なくなっちゃうよ」
仕方がないので一気にペダルを踏んでゴールゲートを通過しました。
ゴール後に見た景色
ゲートに誘導されて道を進みます。
ふと左を見たらいつの間にか見知った顔のお兄さんがいました。
中盤あたりからずっと前を走り続けてくれていたお兄さんです。
どうやらどこかのタイミングで追い抜いていたようです。
K「お礼が言いたかったです、ありがとうございます」
お兄さん「気にすんな、それにしても頑張ったな!」
K「はい😊」
話しているうちに中心部のマーケット広場に到着しました。
このイベントに参加した人達の家族や友人の方々がゴールする他の参加者達を最高の笑顔で迎えてくれます。
ゴールした時は呑気に走っていたのにここに来て涙が止まらなくなってしまいました。
よく見たら同じようにゴールした人達も泣いています。
本当に大変なイベントだったんだなとここに来て実感しました。
そして先程再会したお兄さんに再び話しかけます。
K「あなたの背中、最高に格好良かったです。本当にありがとうございました」
お兄さん「こんなにキツイなんて思ってもいなかったよ。今夜はパーティーだな!」
K「ビールパーティーだー!」
話に夢中になりすぎてお兄さんの名前を聞く事ができなかったのはとても残念でした。
しかしこの一期一会もイベントの醍醐味なのでまた会える日を願っておきます。
イベントが終わったらこれしかねぇ
前日にも来た受付会場に到着した私は朝に預けた荷物を回収、その後は天国へ上れるシャワーコンテナへ向かいました。
コンテナ内は超狭いですがそんなの気になりません。
みんなで楽しく温まりました。
着替えが済んだら会場内へ向かいます。
お目当てはもちろんビールです🍺
20時になる頃『この楽しい雰囲気の中帰るのか』と後ろ髪を引かれながらもバス乗り場へと向かいました。
帰宅は21時過ぎ。
宿舎で待っていてくれたさんたろうさんと再会した私はこの日の事をいっぱい話して楽しい時間を過ごしましたとさ。
それと汚れに汚れた自転車はシャワー室で洗いました。
(最近知り合いの自転車仲間が風呂場で自転車を洗って超絶炎上していたから写真は載せない🤫)
2度目のロンドファンフラーンデレンチャレンジ、今回は無事に終了です🤗
最後に
昨年初めて参加した際、仲間の足を引っ張ってしまいリタイアする羽目になってしまいました。
あの瞬間から2024年の目標をこのイベント完走に設定しました。
1年間練習を重ね、そして天候に負けないように対策も立てました。
残念ながら全ての難所を走破することはできませんでしたが無事に完走、そして自身3つ目のモニュメントイベントの完走を達成する事ができました。
今年の目標は達成しましたが自転車シーズンはまだ始まったばかりです。
ここからまた新しい目標を設定して走っていきます。
前編、中編、そして今回と3部作に分けて長々と書きましたがまさかここまで長くなるとは思ってもいませんでした。
お付き合いくださった方々、本当にありがとうございます。
次回は何を書くかは決めていません。
ですがこれから始まる夏にワクワクしながらまた書くので気分が良い際にはまたお付き合いください。
ではでは👐
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?