11月第一部 平家女御島 俊寛@国立劇場

初俊寛。好色の清盛と俊寛の二役演じ分け、さすがの吉右衛門さま。下卑た清盛のいやらしさ意地の悪さで、俊寛の悲劇が際立つ。かつての錦のボロが一行の品の良さを引立てる。又五郎さんの瀬尾のいい意地悪具合。瀬尾を斬りつけるところこそ見せ場と見えた。


かわいい千鳥。雀右衛門さんはいつも可愛らしく愛らしく、あのようにありたいと願うばかり。思わず、守りたくなるかわいい人。あれなら成経さまも捨てはしないよねぇ。品よく美しい成経さまは錦之助。ひときわの男前であらしゃった。

話としては、俊寛は千鳥のために身を引いたことになってる。でも、瀬尾への成敗を大義善行に隠したとも言えないだろうか。「五穀に離れし餓鬼道に、今現在のこれ修羅道。硫黄の燃ゆるは地獄道、三悪道をこの世で果たし、後生を助けてくれぬかやい。俊寛が乗るは弘誓の船」

僧都でありながら、いや上り詰めた僧都だからこその迷いがこの台詞に凝縮されているよう。

「思い切っても凡夫心」弘誓の船に、私も乗りたい。

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