\失敗から学ぶ/探偵のあり方を考えた結果、責任の重さしかなかった。
今一度、改めて、自分のやってきたことを振り返って、『探偵のあり方』を考えてみました。
その結果、責任の重さ、しかありませんでした。
今回は、過去を振り返り、自分を戒(いまし)めよう、と思った記事です。
『寄り添う』と『カウンセリング』を履き違えると苦痛でしかない。
探偵の役割は、
必要とする調査結果の提供
とことん話しを聞くこと
こんな選択肢もありますよ、というキッカケ作り
だと、わたしは思っています。
よく、『依頼人さんに寄り添う』、という言葉を使いますが、これって、とっても難しい言葉だと思います。
寄り添い方を間違えると、依頼人さんにとっては、重く負担がかかり、苦痛でしかありません。
また、『カウンセリング』という言葉も聞きますが、これも、また、難しい言葉だと思っています。
依頼人さんは、精神的な病気を抱えている訳ではないので、目の前の問題から解放されるには、問題の根本を終わらすしかない、んです。
どの選択をするかを決めるのはご本人であり、どのように進めるかを決めるのもご本人です。
扱っている事例が事例だけに、依頼人さんの内面まで関わります。
しかし、『寄り添う』と『カウンセリング』を履き違えると、依頼人さんは苦痛でしかありません。
探偵の入り口は『ボロボロ』でいいんです。
わたしが、依頼人さんに接する時に気をつけていることは、
どんな話しでも、決して否定をしてはならない。
余計に辛くさせてはならない。
です。
『探偵』は、不倫された人の側(がわ)にいます。
悩み、苦しんだ末にたどり着いたのが『探偵』という選択なので、心身ともに『ボロボロ』になっている方が多いです。
そのような状況にいる方が、「はじめまして」でお会いした数時間後に、何十万円といった契約(=依頼)をされます。
「探偵を選択する」ということは、ものすごく勇気と覚悟のいることだと思います。
これまで関わってきた依頼人さんの中には、望んでいた方向に人生が大きく変わった方もいます。
目先の慰謝料へのこだわりを捨ててもらい、長期的にみた離婚の条件にシフトしたことで、はるかに良い条件で離婚した奥さまもいます。
綿密に計画を立て、何度も打ち合わせを重ねて挑んだ示談交渉の結果、奥さまの不倫相手から、800万円の慰謝料を勝ち取ったご主人もいます。
お二方とも、初めてお会いしたときは、身も心も『ボロボロ』でした。
藁をも掴む思いで来られて、お話しをさせていただく中で、少しづつ、色々な選択肢があることに気づかれます。
迷い、悩みながらも、徐々に、自分のゴールをどこにするかを決めていくので、いいんだと思います。
だから、最初は、身も心も『ボロボロ』でいいんだと思います。
ゴールは、いつでも作ることができます。
依頼人さんを怒らせたことから学んだこと。
満足いく結果とは程遠く、依頼人さんを怒らせてしまったこともあります。
それはそうですよ。
人生の岐路に立たされた方にしたら、みなさん必死なんです。
しかしながら、すべての調査が上手くいくわけではありません。
調べられてる相手も人間なので、自分に不都合な証拠を撮られたくなくて、必死になっている人もいます。
いろいろな失敗を経験していく中で、次第に、調査に対する考えが変わりました。
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調査の失敗には、必ず原因があって、その原因を追求することの大切さ。
現場の探偵から、「こういう状況で失敗をしました」と報告を受ければ、「そうか・・・。それなら仕方ないか・・・」、という捉え方をしていました。
⬆とあるキッカケが起こる前のわたしです。
そのキッカケとは、数年前、ある失敗した調査があって、現場からの報告を聞いても、「え?、その説明、おかしくないか?」、という疑問しかありませんでした。
現場からの報告は、到底、依頼人さんの納得を得られる説明が出来るものではありませんでした。
どうしても腑に落ちないので、翌日の同じ時刻に、失敗した現場に出向いてみました。
それまでは、一度も、やったことはありませんでした。
そうすると、「失敗の原因って本当にそれ?」という、さらなる疑問が生まれてきます。
抱いた疑問をどんどん追求していくと、失敗の大半は、『人為的なミス』であることがわかってきます。
できるだけ早くミスを認めて、依頼人さんに説明をすれば、修正が可能な小さな傷口で済みますし、その後の調査プランを変えればいいだけです。
これが、失敗から学んだ教訓の第一で、自分が会社を作った基本な考え、となっています。
もちろん、直後は、依頼人さんからは怒られます・・・。
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調査は『100』を求めるのではなく、依頼人さんにとって必要な『20』が得られれば、それでいい。
完璧な結果を求めようとすると、現場には無茶な要求もしますし、その分、時間もかかってしまいます。
かつて、わたしは、このタイプでした。
今思えば、自分の理想に当てはめていた、『自己満足』だったんだと思います。
調査って、完璧な結果を『100』とすると、依頼人さんにとって、本当に『100』の結果が必要なのか?
依頼人さんによっては、必要なことって『20』でよかったりします。
『20』でよければ、時間も、リスクも4分の1で済みます。
これも、依頼人さんから怒られながら学んだ、ひとつの答えです。
でも、勘違いしないで頂きたいのは、『20』の力で手を抜いていい、ということではありません。
仮に『20』であっても、『50』であっても、『100』であっても、全力でやることは変わりありません。
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バレていい調査など、ひとつもない。
これは、失敗から学んだことではなく、本来の考えです。
調査をしていると、明らかに、こちらのミスではなく、被調査人の行動がおかしいケースがあります。
尋常じゃなく振り返る、エスカレーターで後ろ向きに立っている、角を曲がってダッシュで走る、などなど。
その場合、「途中であっても中止するのが正解」だと思います。
語弊無く言いますが、「まだ、次に繋がる余白があれば、途中でやめる選択が正解」、だと思います。
バレて良い調査など、ひとつもありません。
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書いていて、「あの方にあんなことで怒られたなー」、「あんなことがあったなー」、と、色々と思い出しました。
今思うと、そのどれもが、これから出会う方へのサービスのキッカケであったと、感謝しかありません。
人生を変える選択に関わる重圧。
探偵は、人生の岐路に立たされた人が、人生を大きく変えかねない選択の局面に関わります。
その責任は、重大です。
そもそも、探偵という業種が『うさんくさい』、と思われています。
中にいるので、「やっぱり、まだ、そう思われるんだ・・・」、と凄く良くわかります。
そんな、業種への信用性もままならない相手に、お金だけではなく、一生を左右し兼ねない局面を預けます。
相当な覚悟をもった決断だと思います。
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探偵に相談されるほとんどの方が、『人生の岐路に立たされてしまった人』です。
不倫された女性の悩みは、
・離婚となったら、この先、お金どうしよう。
・子供を一人で育てていくの自信がない。
・悩み疲れてメンタルがボロボロ。
・義理両親から、夫の不倫をわたしのせいにされている。
・慰謝料、ちゃんと支払ってもらえるんだろうか。
などなど・・・。
一方、男性は、
・子供の親権、なんとかして取りたい。
・財産分与、できるだけ渡したくない。
・誰にも相談できない。
・まわりにバレないようにしないと。
・仕事が手につかない。
などなど・・・。
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そのどれもが人生の岐路に立たされています。
これからする選択で大きく変わってきます。
そこに関わっていることを考えると、探偵の責任は極めて大きいものだと、改めて認識します。
まとめ
「あなたたちにお願いしてよかった」、と言われて始めて、探偵の存在意義があるのだと思います。
探偵に相談される方に共通しているのが、身も心もボロボロになっています。
不倫された人の中には、『占い』や『メンタルカウンセリング』に相談される方がいます。
『占い』や『メンタルカウンセリング』に相談される方は、「心の内を少しでも楽にしたい!!」、と考えている方です。
一方、『探偵』や『弁護士』に相談される方は、「目の前の問題を解決したい!。そして次に進みたい!!」、と現実的に考えている方です。
そんな、一歩を踏み出した方の背中を、ほんの少しでも押すことができれば、幸いです。