はじまりの日
147センチ 65キロ BMI30(肥満2度)
かつての私の身長と体重、そしてボディマス指数である。
そう、この数字を見ただけで一目瞭然ではあるが私は数年前までデブだった。
当時付き合っていた彼氏と別れ、またその別れ方が地獄のような惨劇だったためあまりのストレスにより食欲が制御できなくなった私は、当時痩せているわけでもなくなんなら元々太り気味だったにも関わらず炭水化物中毒になり朝から晩までとにかく炭水化物を摂取しまくっていた。
うどんとカレーライス
パスタとサンドイッチ
ラーメンと炒飯
挙句の果てにオムライスとおにぎりなど(米+米って何)炭水化物のメニューひとつでは飽き足らずありとあらゆる組み合わせでひとつでも多くの炭水化物を楽しむことを生き甲斐としていた。
私がどうしてデブの仲間入りを果たしてしまったのかはとりあえずご理解頂けたことと思う。
そして今もそのままの体型だったらこのnoteに体重を書くこともなかっただろう。
そう、私は挫折を繰り返しはしたが4年ほどかけてマックスから15キロ近くのダイエットに成功することができた。
ダイエットのことについては書きたいことが沢山あるし、noteを始めた時これだけはコンテンツとしてちゃんとしっかり書こうと決めていた。
とりあえず手始めに今回は私がどうして「痩せよう」と思ったのかを書こうと思う。
きっとダイエットを成功させた人全員がわかっていることだとは思うけど、「何も考えずに過ごしていたけど気がついたらなんか痩せていた」みたいなことは人生においてまず起こらない。
きっとみんな何かしらのきっかけがあって「痩せよう」と明確な意思を持ち、目標を立て、日常に変化を持たせ始めた、言わば【はじまりの日】があったはずだ。
私はその【はじまりの日】を明確に強烈に覚えている。
その日私は午後、出勤するために電車に乗っていた。
その電車は混むわけでもなければ座れるほど空いているわけでもなく、ちらほらと立っている人がいるような何の変哲もない平日午後の東京を走る京急線だった。
私もその電車に乗り込み、空いている席がなかったので車内中程まで進み片手で吊り革を握り窓の外を見つめていた。(余談だが身長が147センチだと吊り革を握るのも割とつらい)
その瞬間まであと数秒である。
天気もよくて暖かくて、ほんとは仕事じゃなくてこのまま終点の三崎口まで乗ってマグロでも食べたいな…たっぷりのホカホカご飯に新鮮なマグロ…
そんなことを考えながらうつらうつらとしていたその時。
私の前に座っている女性が席を立って、目の前にいる私に対してこう言った。
「どうぞ」
ん???????????????
どうぞって何が????????
大混乱極める私に対してその人は続けた。
「席、どうぞ。」
席????????
何????????
どういう???????
待った、この人なんかわたしの腹部をチラ見してる。
しかもなんか若干「やべえ」みたいな顔になってきてる気がする。
いくらポジティブな私でもわかる。
私、妊婦だと思われてる…!!!!!!!
念のため言っておくが私は今も当時も妊婦ではない。
妊婦ではないのに妊婦だと思われる理由などひとつしかない。他にあるのなら誰かそっと教えてほしい。
「あ、いや、大丈夫です…😊」
そこからの記憶はほぼないけど、どうせそんな感じのことを言って無理矢理切り抜けたのだろう。
妊婦さんには席を譲らなければと思えるような優しい人にも気まずい思いをさせて、実に迷惑な存在。
本当に信じられない話であり、そしてこれが私の贅肉増量に自分自身で待ったをかけられなかった何よりもの原因だと今は痛感しているのだけど、147センチ65キロでBMIが30、ダイレクトに「肥満2度」とまで言われているにも関わらず、私は自分で自分のことを「そこまで太っているわけではない、まだ大丈夫」と本気で思っていた。
肥満2度とは言っても、まあ確かにね、ぽっちゃりしてるとは思うけど、そんな明らかに見るからにデブって感じではないしわざわざダイエットする程ではないよね、と思いながら毎日炭水化物に明け暮れていた。
いやいや
ぽっちゃりという都合のいい言葉に逃げるな!!!
お前は明らかに見るからにデブ!!!!!
肥満1度ならともかく2度なんて普通に巨デブだから!!!
と、当時の自分に言ってあげたいけどきっと聞き入れないと思う。
そう、結局他人から指摘されないと自分の醜さはなかなか受け入れられないし、自分で鏡を見て(うわあデブだなぁ、やばいな、よし、ダイエットしよう!!)と決意できる人なんて実は一握りなんじゃないかなと思っている。
ダイエットが苦しいことだということは、やったことがなくてもなんとなくわかっていた。
お金さえ払えば1日で綺麗な体になれるわけでもなく、さほど苦しい思いをしなくても1週間後にはスリムになっているなんてこともありえない。
長い長い年月をかけて、空腹と苦手な運動のつらさに耐えなくてはいけない。その現実に向き合うのがダイエットの第一歩。その第一歩を踏み出すのがとてつもなく大変なことだった。
私がやっと自分の体型の醜さを自覚できて、記念すべき「はじまりの日」を迎えられたのは、身内以外の赤の他人に悪気なく、且つダイレクトにその事実を指摘されたからだと思う。
私に席を譲ろうとしてくれた人は私にとって名前も知らない他人で、今どこで何をしているのか、なんなら生きてるのかどうかすら知る術はないけど、本当に感謝している。大袈裟ではなくあの日、私の人生は大きく動き出しました。
あの時無駄に気まずい思いをさせてしまったこと、なんとかして謝りたいけどおそらくそれは難しいので今ここで記事として供養させてもらいます。
ダイエットを始めてからも本当に数え切れないくらいの苦しみやトラブルがあったし、恥もかいたし何度も諦めようかと思ったけどなんとかここまで来られた軌跡についてはまた気が向いたら記事にします。半年後になるかもしれないが
痩せてお気に入りの靴の底が長持ちするようになったことが何より嬉しい晩餐です。
ありがとうございました。